
『環境修復の科学と技術』
北海道大学大学院環境科学院
有限中間法人 北海道大学出版会 (2007/04)
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環境が破壊された、汚染が進んでいる、こんな被害が出ている、そんな情報ばかりが飛び交って、では「破壊された環境はどうやって元通りにしていけばいいのか」その手の情報はあまり流れてこない。
そんな中、『環境修復の科学と技術』なるテーマで編まれたこの本は、かなり新鮮に読める。
実際、どこまで元通りになるのかは定かではない。そもそも、困難な作業であろうし、費用は、期間は、手間は、可能性は、具体的なところはそれこそケースバイケースでもあろうし、掴みづらい。
「こんな手法もあるのか」「修復にもこんな問題点が伴うのか」概観するために読むにはいい。
第1章 環境修復とは
環境修復の概念 / 絵画や歴史的建造物の修復に学ぶ / 環境修復学の進め
第2章 物質と生体と環境
生体と環境 / 人類と物質 / 生体がつくる物質 / 生物濃縮
第3章 化学物質の生体への影響とその評価
化学物質の影響評価 / 重金属とメタロチオネイン / 動植物を用いた影響評価
第4章 環境修復技術
環境修復技術 / 物理化学的レメディエーション / バイオレメディエーション / ファイトレメディエーション / 事例研究
第5章 汚染物質回収のための新規材料の開発と代替物質の探索
機能性超分子材料 / カーボンナノチューブを吸着場として用いた環境浄化材料 / カーボンファイバー電極を利用した環境汚染物質の電気化学的除去 / 有機スズ代替品
ご家庭でできそうな「環境修復」の話ではないですね。
生物がらみのトピックで、気になるもの、興味惹かれるものがいくつか載っている。例えば、
●海の嫌われ海草、
イチイヅタ はウワサに名高い殺し屋海草(キラー海草)くんだ。
... 以下つづき...


●生物の働きを利用して汚染物質を除去あるいは浄化する
汚染物質を分解できる微生物を現場に投入する
現場にいる細菌の、汚染物質分解能力をアップさせてやる
そういえば、分解じゃないけど、こんな生き物もいたなぁ。
放射能汚染を摂り電気を作ってくれる細菌のゲノム解析
2003/12 EurekAlert Scientists decode DNA of bacterium that cleans up uranium contamination and generates electricity
2003/12 EurekAlert Tools from the human genome project reveal a versatile microbe
汚染物質を食べるバクテリアのゲノム解析に成功
2005/01 【日本語記事】ワイアードジャパン
●ダイオキシンを分解できる生物たち。
例えば
ダイオキシン分解能力を持つ細菌も新しく発見されたりしている。 例えば

●植物(菌類ではなく高等植物)の機能を利用して環境修復・汚染浄化を行なう
植物本体に汚染物質を濃縮蓄積させる
植物の体内で汚染物質を分解してもらう
金属類を根に吸着・吸収させるリゾフィルトレーション(検索結果ゼロ)。
汚染物質を植物に取り込まれにくい状態に変えるファイトスタビライゼーション(検索結果僅少)。
土壌中の汚染物質を植物に吸い上げさせ、そのまま大気中に放散してもらうファイトボラティリゼーション(検索結果僅少)。
いろいろな様式で植物を汚染除去に使うことができるんだね・・・って、あーもう、こうなんでカタカナばかりなんだろうな。ファイトなんたらかんたら、体育会系用語じゃあるまいし、直感的にわかりづらくてあかんです。日本語での呼称はないんだろうかね。

【遺伝子組み換えで環境汚染を】
で、この生物を用いて環境を浄化する手法には、使う生物が「遺伝子組み換え生物(細菌、植物)」である場合もラインアップする。
例えばこれとか。
2002/10 【日本語記事】ワイアードジャパン 土壌から砒素を吸収する植物で環境浄化 シロイヌナズナ
2002/10 ネイチャーバイオニュース ヒ素を吸い上げる遺伝子組み換えの草 土壌汚染を安価に解決
2005/02 【日本語記事】ワイアードジャパン 土壌浄化に新方策、遺伝子組み換えで重金属を吸収する植物
2005/02 EurekAlert Transgenic plants remove more selenium from polluted soil than wild plants, new tests show
植物が重金属を吸収・蓄積する能力を強化するために、遺伝子を挿入する。どうやって遺伝子を操作するか、その遺伝子操作の手法や、カリフラワー、タバコを用いた実施試験例の紹介、そして、当然ながら「遺伝子組換え植物を利用する場合の問題点」も、当該書 『環境修復の科学と技術』には挙げられている。
p196
1:マーカー遺伝子が土壌細菌に伝達し,抗生物質耐性菌が発生する可能性はないのか?
2:遺伝子の水平伝播は起こらないか?
3:現在ねらった染色体の位置に組み込むことはできない。したがって沈黙遺伝子 silent gene(遺伝情報として発現していない遺伝子)に影響が及び,異常なタンパク質など,毒性物質が生じるのではないか?
4:特定の目的物質(たとえば抗害虫物質)が人体に,あるいは意図しない,他の生物に悪影響を与えないか?
5:組換え植物が他の植物と交配して新たな予期しない植物とならないか?
6:安全性評価試験は現在の方法ではまったく同じ物質の影響評価を行なっているわけではない。したがって安全評価は充分であるのか?
それ以上に、現地一般人の拒否感情にも配慮しなければならなかったりするわけだし、遺伝子組み換えで環境汚染を、環境にやさしく解消するか、逆に新たに発生させるか。
劇的に効果をあらわしてくれるのであれば多少のリスクには目をつぶることになるだろうし、まあ、リスク計算、コスト計算をどうみなすのか、いろいろ微妙なところ。
追記:
遺伝子組み換えポプラに汚染物質トリクロロエチレンを吸い取らせる
2008/01 EurekAlert Fighting pollution the poplar way: Trees to clean up Indiana site

【北海道大学大学院環境科学院】
北海道大学大学院環境科学院は、この



ああ、北海道大学大学院環境科学院から出た書籍は、あとにも先にも今年のこの三冊だけらしい。へぇ〜。
どういう風の吹き回しがあったのかな。
大学院環境科学院/地球環境科学研究院 - 北海道大学
いま、地球環境が破壊されつつあります。
人類共通の複合した問題の解明と解決には既存学問領域を超えた協力が必要です。重要かつ緊急の課題に取り組む研究者及び高度専門職業人を養成していくために、北海道大学では環境科学院を設立いたしました。
・・・おや? もしかして、これはできてホヤホヤの組織なのか?
うーんうーん、上記HPを見てもいつ設立されたのか記載が見つからない。やたら新しそうではあるのだが。
2006年度に初めて修士論文が出た のかな。とすると、今年出た三冊は、ようやくまとまった研究成果を出した、その集大成を兼ねている?
・・・ 北海道大学大学院環境科学院内規 のほうは、2年前の2005年4月1日付けだなあ。
HoNet−北海道大学新聞会 【大学院】大学院研究科を「学院・研究院」に分離
2005年度からスタート 新設・改組も続々と
大学院研究科の分離は、大学院において学生と教員の所属組織を分離することで、従来の教育・研究が一体となった研究科組織よりも柔軟に、それぞれの目的や社会的・学問的要請に対応していくことが期待されている。
大学院研究科分離が行われると、大学院学生は「学院」に所属することとなる。「学院」は、教育上の目的によって編成。教育課程や教育方法・教員と学生の関係・入学者選抜等については、現状と本質的に変更はない。また、すでに従来の研究科に属している学生は、「学院」となった後も入学時の教育課程を経て学位を取得し終了することとなる。対して教員は「研究院」に所属する。「研究院」は研究上の目的に応じ、かつ教育上の必要性を考慮して編成される。
なんかよくわからんが、とりあえず、えー、2005年くらいに組織改編があったのか。
・・・

オチもなんもつけられないけど、とりあえず残りの2冊、『地球温暖化の科学』と 『オゾン層破壊の科学』も見てみようかな。
どんな科学が進んでいっているのか。

![[ EP: 科学に佇む心と身体 ]](http://homepage1.nifty.com/NewSphere/transparent.gif)







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