> エネルギーについてどう思いますか?
> 「日常生活と省エネに関するアンケート調査」
おおお、もしかしてこれは、公的機関が税金を使って発注したアンケート。
実施したのは北海道経済産業局。
なにやってんの!

アンケートの結果は、設問の内容とともに、北海道経済産業局のサイト上で公開されています。
めまいがするほどの、とんでもない設問と、その結果をご覧下さい。w
平成19年10月16日 北海道経済産業局
なんと。8割近くの人が、原発は必要だと回答なさっていますよ!
こんなにドサンコから原発が必要とされていたって、ご存じでしたか?

... 以下つづき...

【アンケート調査票 PDF】
ご用とお急ぎでない方は、この【アンケート調査票 PDF】by 北海道経済産業局 をちょっとダウンロードして回答できるかやってみてほしい。どのくらい違和感を感じるか、感じないか。
●Q1 さっそくですが、以下の様々なエネルギー(省エネ)問題のうち、あなたが知っていることをお知らせください。
(回答はいくつでも)
1. 日本のエネルギー自給率は、低いといわれている食料自給率(40%)よりさらに低い4%であること
2. 日本の原油の輸入先の約90%がサウジアラビア、アラブ首長国連邦、イランなど中東に依存していること
3. 太陽光発電、風力発電など新エネルギーは、日本のエネルギー供給全体の約2%であること
4. 原子力発電所は、発電時の二酸化炭素の排出がゼロということ
5. エネルギー資源には限りがあること
6. 化石燃料の消費増大で排出される二酸化炭素により地球温暖化などの環境問題が深刻化していること
7. 人口増加や経済発展の著しい発展途上国のエネルギー消費が急激に増えていること
8. その他( )
9. この中に知っているものはない
いきなりしょっぱなの設問内容で、回答者に「エネルギー状況は深刻で、原発は環境に優しい」と情報刷り込みをかけてます。
これアンケートでやっちゃいかんでしょう
。特定の方向の情報を与えて、その後に続く設問の回答を偏らせていく、意図的にアンケートの回答を操作したいときにやる初歩的な手法ですよ。第一問からうさんくささ全開。
●Q2 エネルギー政策全般について、あなたはどのようなことを一番重視すべきだと思いますか。
あなたのお考えに最も近いものをひとつお知らせください。(回答はひとつ)
[〜中略〜]
ここからは、あなたの日常生活での省エネ活動や地球温暖化問題に対する意識についてお伺いします。
●Q3 あなたは「エネルギー(省エネ)問題」や「地球温暖化問題等」に関心をお持ちですか。
(回答はひとつ)
[〜中略〜]
〔Q3で 「4.あまり関心がない」「5.まったく関心がない」と回答の方〕
●SQ あなたが「エネルギー(省エネ)問題」や「地球温暖化問題等」に関心をお持ちでないのはどのような理由からですか。
(回答はいくつでも)
[〜中略〜]
2005年2月「京都議定書」が採択され、その議定書で日本が定めた目標「温室効果ガス排出量の90年比6%削減」の実現を目指し、夏は28℃、冬は20℃に室温設定を抑える「クールビズ」や「ウォームビズ」キャンペーンが始まりました。しかし02年の日本の温室効果ガス排出量は基準年を7.6%上回っており、02年を基準にすると14%強も削減しなければならないのが実情です。
この厳しい状況の中、個人や企業、そして行政が一体となりそれぞれの"自分たちの問題(当事者意識)"として認識し行動に移すことが必須の状況です。特に温室効果ガスのうち地球温暖化にもっとも影響があるCO2(二酸化炭素)の削減は、家庭の室温設定を調節するなど、日頃のちょっとした気配りで、誰にでもすぐに実践できる地球温暖化対策のひとつです。
ここでアンケートであることを無視して「CO2のお説教」をたれてしまうのはなぜ。
アンケートであることと、広報であることを、はなから区別できていないのか。
●Q4 では、日常生活の中で「省エネ」や「CO2削減」を意識して行動していますか。
[〜中略〜]
〔Q4で 「4.あまり意識して行動していない」「5.まったく意識して行動していない」と回答の方〕
●SQ あなたが「省エネ」や「CO2削減」を意識して行動しないのはどのような理由からですか。
[〜中略〜]
並ぶ選択肢を全部実行できている人はいませんよ。だのに、設問のせいで回答者は「これも、これも、自分はできていない」と印象操作される。
この設問は、回答者にうしろめたさを刷り込む効果があります。
●Q5 2003年度に北海道の一般家庭で消費されたエネルギーは1990年度と比べてどの程度消費していると思いますか。
(回答はひとつ)
1. 2倍以上に増加した(増加率約100%以上)
2. 約1.5倍に増加した(増加率約50%)
3. 約1.2倍に増加した(増加率約20%)
4. ほとんど変わらない(増加率0%)
5. 約0.8倍に減少した(減少率約20%)
6. 半分以下に減少した(減少率約50%以下)
7. わからない
●Q6 北海道の1世帯あたりのエネルギー消費量は東京都のそれと比べるとどの程度消費していると思いますか。
(回答はひとつ)
1. 北海道は東京の2倍以上の消費(北海道>東京)
2. 北海道は東京の1.5倍程度の消費(北海道>東京)
3. 北海道は東京の1.2倍程度の消費(北海道>東京)
4. ほとんど変わらない(北海道≒東京)
5. 北海道は東京の0.8倍程度の消費(北海道<東京)
6. 北海道は東京の半分以下の消費(北海道<東京)
7. わからない
おい。普通こんな数字知っていると思うか?
Q5,Q6のような、「ふつう知らないのに、知らないことをわざわざ認めさせる」設問は、回答者に「自分は無知である」というバイアスをかぶせて、以降の設問に対して卑屈に従順にさせる効果がありますよ。


『マインドコントロールとは何か』 西田公昭 紀伊国屋書店 1995
『これでいいのか市民意識調査 大阪府44市町村の実態が語る課題と展望』 大谷信介編著 ミネルヴァ書房 2002/10
↑
この『これでいいのか市民意識調査』はチョーお勧めです。今回のような、ダメダメなアンケートの実例がたくさん列挙されています。アンケートの良し悪しを見分ける眼を養えます。

●Q7 日常生活の中でできる「省エネ」や「CO2削減」の具体的な取り組みを以下にあげています。
それぞれの項目について、あなたはどの程度実践していますか。(回答はそれぞれひとつずつ)
1 暖房は20℃、冷房は28℃を目安に温度設定をしている
冬季の道内は一般家庭・企業とも室温を高めに設定する傾向があり、家全体の室温を2℃下げた場合の省エネ効果は年間12,530円削減
2 冷暖房機器は不必要なつけっぱなしをしないように気を付けている
エアコン 2.2kW機器 冷房時、外気温度31℃、設定温度28℃にした場合の1時間あたりの消費電力を測定し1時間運転時間を短縮した場合の省エネ効果は年間400円削減
3 照明は、省エネ型の蛍光灯や電球型蛍光ランプを使用するようにしている
54W白熱球を12Wの電球型蛍光ランプに換えた場合の1灯の省エネ効果は年間1800円削減
[〜中略〜]
16 買い物袋(マイバッグ)を持参し、レジ袋を断っている
つくる際にも、再生・破棄する際にも、CO2を排出するレジ袋。1人あたりの1年間での消費量は約230枚 買い物袋(マイバッグ)を持参することで一世帯あたりのCO2削減効果は年間で約58kg
17 過剰包装をしていない商品を選択する
ごみ(一般廃棄物)全体の約60%が容器包装廃棄物(容積比)。包装を断るなどの買う人の工夫で減らすことができます。
18 環境に配慮している企業の製品や店舗を選ぶようにしている
わはは。なんだよこの「豆知識」オンパレード。
思いきり、アンケートを「広報」扱いしています。
ヨソの一般企業のアンケートは、こんな変な記載スタイルは使いませんよ!
Q11からQ15までは、「原子力エネルギーについてお伺いします」と断った上で、原発に関する質問(というか広報)が続きます。

ここからは、原子力エネルギーについてお伺いします。
●Q11 「原子力発電」について、あなたはどのようなイメージをお持ちですか。以下の中からあてはまるものをいくつでもお知らせください。
[〜中略〜]
●Q12 「原子力発電」の特性や現状について,以下の中からあなたがご存じのものをいくつでもお知らせください。(回答はいくつでも)
1. 燃料のウランは石油などに比べて供給が安定している
2. 原子力発電は、発電の過程で二酸化炭素が排出されず地球温暖化防止に貢献する
3. 日本の電力の3分の1は原子力発電によって賄われている
4. フランスなどのように、自国の電力の過半を原子力発電が担う国もある
5. 原子力発電所は頑強な岩盤上に建設するなど、地震に対して十分配慮されている
6. 使用済みの核燃料から再び燃料として使用できるウラン等を回収(再処理)することによって、ウラン資源の有効利用を図ることができる
7. どれも知らない
●Q13 あなたは、日本に「原子力発電」は必要だと思われますか。必要ではないと思われますか。
あなたのご意見にちかいものをお知らせください。(回答はひとつ)
[〜中略〜]
●Q14 あなたは、日本の「原子力発電」は安全だと思われますか。安全ではないと思われますか。あなたのご意見にちかいものをお知らせください。(回答はひとつ)
[〜中略〜]
回答操作です。
これまでの設問で、回答者が「わからない、自信低下」状態に操作されているところに、Q12でさらに、「こんなことも知らないのか」と「原発のいいところ」だけを列挙します。
そしてその直後に、原発の必要性を判断させる。
すごいですねー。

で、結果「77%の人は原発が必要だと考えている」という数字が出ています。
これもしかして、異様に高い数値だったりしますか?
全国平均では原発はどのくらいの支持率なんでしょう?
MRI | 安全政策研究本部 原子力、放射線安全「原子力ルネサンスの行方」
2005年に実施された国際原子力機関(IAEA)による調査(4)によれば、国民の原子力発電に対する支持率は米国の40%に対して、日本は21%であり、安全と信頼の面から信用を回復するための対策が極めて重要である。
ええええ、日本21%!?
このアンケートでは77%と出ちゃったのに!
アンケートの回答操作力がスゴかったのか!?
なお、77%の内訳は以下のとおり。
必要:17%
どちらかというと必要:60%
どちらかというと不要:17%
不要:6%
選択肢に「どちらともいえない」「わからない」はありません。上の4つだけ。そのあたりも数字に大きく作用している気配。
●Q15 あなたは、「原子力発電」についてどのようなことを知りたいと思われますか。以下の中であてはまるものをすべてお知らせください。(回答はいくつでも)
1. 原子力発電の必要性
2. 原子力発電の経済性
3. 放射線や放射能の人体や環境への影響
4. 原子力発電の仕組み
5. 原子力発電所の安全対策
6. 原子力発電所の定期検査の内容
7. 原子力発電所の数や発電量の現状と将来計画
8. 原子力発電所の故障・トラブルの状況
9. 放射性廃棄物の処理・処分の方法、今後の処分計画
10. 防災体制
11. 燃料輸送の状況
12. 核燃料サイクル(燃料の再利用)の仕組みとプルサーマル計画
13. その他( )
この設問はお行儀いいですね。
ぜひ要望に従って、正しい情報を広報して下さい。
回答操作なんぞする必要がなくなるような、良い広報をして下さい。
よく見ると、●Q15も、回答操作している。
「選択肢の多すぎる設問の場合、回答者は面倒くさがって上のほうの選択肢を選びがちになる」 そういう現象がアンケートでは発生するんですよ。
として考えると、
ほらほら、設問を作った側は、上のほうの選択肢を「知りたいと答えてほしい項目」にしているじゃないか!
下のほうの項目はどっちかというと「知りたがられるとめんどうくさい項目」になってますよね???
あちゃー!
ちなみに、回答者が最も知りたいベストスリーは以下の三つだったそうです。
★放射線や放射能の人体や環境への影響
★原子力発電所の安全対策
★原子力発電所の故障・トラブルの状況
自分なら「原発、行政、メディアそれぞれの従事者の心理」を知りたいですな。
アンケートのメイン設問は全部で20問、残りは代替エネルギーと国の話になっていきます。
ここからは、新エネルギーについてお伺いします。
●Q16 新エネルギーには以下のようなものがありますが、この中であなたがご存じのものをいくつでもお知らせください。
[〜中略〜]
●Q17 では、以下の新エネルギーのなかで、今後、主力となるエネルギーとして望ましいと思われるものを
3つまでお知らせください。(回答は3つまで)
[〜中略〜]
回答者(北海道都市部の女性)が考える望ましいベストスリーは
★太陽熱利用(太陽熱温水器などの利用)
★クリーンエネルギー自動車(電気自動車、天然ガス自動車など)
★バイオマス発電、熱利用(家畜の排泄物や木くずなど再生可能な生物資源利用)
だそうです。

【なぜ女】
このアンケートは、なぜか、ごく一部地域の「女性」だけを対象にして実施されていました。
>●調査概要
>【実施期間】 平成19年8月21日(火)〜27日(月)
>【調査地域】 北海道主要6都市(札幌市・旭川市・函館市・釧路市・帯広市・北見市)
>【調査方法】 Web調査
>【調査対象】 北海道内主要6都市に在住する女性20歳以上
>【有効回答】 1,040サンプル
都市部の、女性だけ。
なぜそうしたのか。
どのような意図で、どのような効果を狙って、そのような体裁にしたのか。
で、当然「男性に対する調査」もなさっていると推察したくなるのだが、……ん? やっていないのか?
女性にだけ調査をするその意図は?
なぜ女だけ?

平成19年10月16日 北海道経済産業局
結果内容はどうあれ、質問内容はどうあれ、隠さずに、きちんと結果を発表なさる姿勢は、たいへんお行儀よろしゅうございます。
その姿勢は今後もしかと続けていただきたい。
今後のアンケートスキルのさらなる向上をはかるためにも。
【広報用パンフレット】
北海道経済産業局は、このアンケート結果を広報用・配布用パンフレットにまとめています。
【パンフレット PDF】
原発に関する調査結果がヨソとどう違うかを始め、他のデータのヨソとの差は、比較検討されていません。なにせ77%はスゴイ数字ですしね。
その関係で、アンケート内容がやたら「知らないあなたに教えてあげます」調であったり、回答操作しまくりであったりしたのかな。
もしかしてアンケート結果の発表も、発表側としては「このアンケートで無知な女性をこのように教育できるのです」という「効果の誇示」なのかもしれません。
経済産業省の北海道経済産業局、ということは、これは道税地方税ではなく、国民皆様の税金をお使いになって行われたアンケートだったのでしょうか。とすると、北海道以外の人も、ツッコミ入れていい感じかな。

いや、77%という記録を出していなかったら、ここまでイヤミな書きようはしないんですけどね。

北海道経済産業局さん、ぜひ「北海道都市部の男」の調査もやって下さい。
もしくは、なぜ女だけを対象にしたのか、なぜ回答操作を行ったのか、教えて下さい。ぜひ。
へぇボタン:へぇ〜
と押してみるもよし
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