[ EP: 科学に佇む心と身体 ]

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科学メモ:ベンターの生命合成報はフライング

カテゴリ[科学に佇む2007年] 2007/10/10
 科学ジャーナリストカール・ジンマーさんのブログから、世界的ゲノム解析屋のクレイグ・ベンター が「マジ人工的に合成生命を作ったのか?」についての情報。

※ 追記;この手の話が好きな人、日本でも「合成生命学」は進んでますので。
  → 2007年11月26日【東京】「細胞を創る」研究会 0.0
  → 2006年 細菌の細胞破壊液から生きた細胞はできないか


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 リンク The Loom : Talking to Craig Venter
 Posted on: October 8, 2007 12:33 PM, by Carl Zimmer

 近いうちに「bloggingheads.tv」で、クレイグ・ベンター Craig Venter と対談を収録公開するつもりだけれど

 クレイグ・ベンターは1990年代に人類遺伝子/ヒトゲノム解析を推進させた有名人だ。
 先月は、ベンターは自分自身の個人ゲノム(全遺伝子情報と、両親からの染色体情報のセット)を世界に公開するというスタンドプレーもやったわけで。
クレイグ・ベンターの個人ゲノム公開
2007/09 EurekAlert  First individual genome sequence published

 海を浚って微生物たちのゲノムのきなみ解析するという離れ業もやっている。
2007/09 EurekAlert  Metagenomics of the deep Mediterranean
深い地中海のメタゲノミクス
 クレイグ・ベンターは、メタゲノム研究のパイオニア
 従前の調査はもっぱら海洋表面のサンプルだけで、深海は未着手だった。

 さまざまな生物のゲノムデータを解析しまくるクレイグ・ベンターの、目下の最大の関心は、「生命の合成」。
 科学的に、生き物を作ることを目指している。

... 以下つづき...

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 といっても、こさえようとしている「人工生命」は細菌だけどね。
 私(カール・ジンマー)は、クレイグ・ベンターと生命の合成について何度か話をしたことがある。
 今年のはじめ、クレイグ・ベンターは生命合成に向けた段取りを一つクリアした。ある種のバクテリアのゲノムを、別種のゲノムとまるっこ入れ替えることに成功したのだ。
2007/06 【日本語記事】Science日本版 合成ゲノムへ向けて一歩前進 Step Toward Synthetic Genomes
バクテリア細胞内のすべてのゲノムを近縁種のゲノムと入れ替えることに成功
2007/06 news@nature.com Genome transplant makes species switch
2007/06 New Scientist Tycoon succeeds in 'genome transplant'
2007/06 BBC News Team claims synthetic life feat
これなら合成新生物誕生もあと数ヶ月あればできるな
2007/06 Telegraph First artificial life 'within months'

 今「合成生命」目指してクレイグ・ベンターたちが取り組んでいる次の段階は、上のようにバクテリアのゲノムと入れ替えてふつうに機能する「合成ゲノム」を組み上げる実験だ。私(カール・ジンマー)が最後に接触した時点では、その実験を実行するにはまだ数カ月以上はかかる見込みだった。
 だもので、先週の金曜に「クレイグ・ベンターが史上初めて生命を合成することに成功した!近いうちに学会で発表するらしい!」といううわさが流れてきたときには、私(カール・ジンマー)は面食らった。
 よくよく情報の元を見てみると、クレイグ・ベンターは「ゲノムの合成に成功した」とは語っていないし成功を発表するという話でもない。もとよりクレイグ・ベンターが生命の合成に取り組んでいることはかねてよりみなさん周知の事実なので、今驚くべき話でもない。
合成遺伝子で新生物を創るクレイグ・ベンター
2005/07 BBC News  Venter revives synthetic bug talk

 どうもいぶかしいので、クレイグ・ベンターの代理人にメールで問い合わせてみたところ、
 「まだ合成には成功しておりません。数ヶ月はかかる見込みです。
  成功した暁にはしかるべき手続き(ピアレビュー)を経て学術誌に発表いたします」
との回答をもらった。
 デマがらみの情報を、大手のガーディアン誌が流してしまったことは痛い。この情報の真偽を確かめようとする記事を出したのは、知る限りフランスの報道機関一社だけであり、しかもデマを否定していないという…。
 この科学ジャーナリズムのていたらくは何なのだろう。
 来週のクレイグ・ベンターとの対談で、実際の進み具合について尋ねてみるつもりだ。

 リンク The Loom : Talking to Craig Venter
 Posted on: October 8, 2007 12:33 PM, by Carl Zimmer

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 以上おおまかなところ。
 はさんだ記事は、うちの過去記事庫からピックアップしたもの。
 対談は来週の月曜の予定で15日なのかな、結果は火曜に公開されるそうです。

追記:「ベンターからの成功の報はもうまもなくのはずだ!」と気にしていた人にとってはガセで迷惑な報道だったけれど、「え!?生命を誰かが合成しようとしているの!?マジ!?」状態の人にとっては、ガーディアンの報道はガセ度の低いリアルなニュースとして受けとめられたようです。

追記:対談の動画が公開されています。
2007/11 『科学なポッドキャスト:生命合成クレイグベンター ほか』


合成生命体へのカウントダウン
2007/07 New Scientist Countdown to a synthetic lifeform

バイオ版マイクロソフト(マイクローブソフト)を樹立し世界に君臨しようとする男
 この世の生命を、オープンソースにするか、特許の壁に塗り込めるか
クレイグ・ベンターの生命創造計画 〜カール・ジンマー
 命に最低限必要な遺伝子数は381
 生命合成のパテント(神のような特許)を取得しようとしているぞ!
2007/06 The Loom : New Life, New Patent
2007/06 BBC News Patent sought on 'synthetic life'
 Scientists working to build a life form from scratch have applied to patent the broad method they plan to use to create their "synthetic organism".
カナダに本拠地を置くETCグループ(バイオテクノロジー監視機構)、合成生命への適用を拒絶するよう特許庁に要請

2007/07 【日本語記事】ワイアードビジョン  合成生物研究への期待と不安


 → 『科学ジャーナリスト:カール・ジンマー』
 → 『 クレイグ・ベンターの世界:ゲノム・ビジネス戦争 』

◆ゲノムを支配する者は誰か

 『ゲノムを支配する者は誰か クレイグ・ベンターとヒトゲノム解読競争』
 ケヴィン・デイヴィーズ (著)
 日本経済新聞社 (2001/07)



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以上は2007年7月までの記述。
以降の2008年などの「合成生物学」情報はこちらへ。
 ●● 2008/06 『生命を人工的に合成する:合成生物学』



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