[ EP: 科学に佇む心と身体 ]

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科学メモ:準一卵性双生児(!)の発見と未発見

カテゴリ[科学に佇む2007年] 2007/03/29
2007/03 BBC News Semi-identical twins discovered
半同一の双子発見
 現時点では世界で初めての、特殊な一卵性双生児、「準同一」双子の例
 母方の遺伝子は同一だが、父方の遺伝子が半々。
 おそらく、一つの卵子に二つの精子が授精してしまい、できた胚がのちに二人に分かれたわけで
2007/03 news@nature.com 'Semi-identical' twins discovered
Hermaphrodite reveals previously unknown type of twinning.
2007/03 【日本語記事】goo/共同通信 1つの卵子に2つの精子 世界で初の報告例


 この記事を目にした当初は「キメラの双子?」とやや混乱してしまった。
 昨日「マーモセットのキメラ兄弟」、去年と今年1月に「人間キメラ」の話があったりしたもので。
 まあ、実際「キメラの双子」なんだけれども。

 「準一卵性双生児」。
 今回のケースは、双子の片方に染色体異常があったために「詳しい検査」をして初めて事態が明らかになった。
 人間キメラも、詳しい検査をしないとわからない、本人知らぬまま一生を終える可能性もあるわけで。
 → 2006/11 『あなたは実は二人です:本人も知らないキメラ』

 "semi-identical" twins「準一卵性双生児」(共同通信の表現)は、上の記事にあるとおり、
  ・正しく両親の子である。
  ・一卵性(遺伝子同じ)でも、二卵性(兄弟程度の遺伝子差あり)でもない。
 微妙に、従来の概念でいう一卵性とは性質の異なる一卵性なわけで(??)、これ厳密な遺伝子検査をしない限り、世の中一般の二卵性と思われている双子さんの中にも「準一卵性双生児」さんはいらっしゃる可能性が。

 「準一卵性双生児」。
 ここからシミュレーション(妄想?)を広げていくと、理論的には「父さん二人ぶんの遺伝子を持つ双子」も、ありえる。
  ・一つの卵子に「二人の男の」精子が授精してしまい、
   できた胚がのちに二人に分かれて「準一卵性双生児」に…
 父方の遺伝子二人ぶんが、ミックスされて双子に伝わる。

... 以下つづき...

〓〓〓 EP 〓〓〓

 ただし、これはめっさ幸運なチャンスの組み合わせに恵まれなければ実現はしない。
 もとより一人の父さんの場合でも
  ・一人の父さんの精子二つが一つの卵子に同時に授精して(めったにない)
  ・それが障害を起こさない組み合わせで(たいがい成長せずに流産)
  ・うまいこと2個の胚に分かれて…
というハードルをくぐり抜けてこないとありえない「準一卵性双生児」。ハードルの高さから、研究者側は「世界で唯一の例ではないか」と推察している。

 異なる男性二人の精子であれば、ことさらに
  ・同時に二人ぶんの授精ってありえるのか
  ・他人の精子の遺伝子混ぜて無事に育ちうるのか
よけいハードルが高くなる。
 実現性は薄い。でも、あ り え る。
 そこに醍醐味がある。

 もひとつシミュレーション(妄想?)を進めると、
  ・父方の遺伝子二人ぶんが、ミックスされた「準一卵性双生児」である場合、
   「父権は誰に」。
   「正しく診断されえるのか、浮気相手の一人ぶんと誤認されないか」。
  ・我が子の4分の一が、夫婦以外の遺伝子であった場合、
   「父は双子を我が子とみなし続けられるのか」。
   「母親の立場は」。

 似た例で、
  ・母親の遺伝子と、父親の遺伝子と、他人のミトコンドリア遺伝子
三人ぶんの遺伝子を引き継いだお子さんは、生殖技術によってすでにこの世に生まれている。
 また、不妊治療の人工授精の際に、入れるべきではない精子が混じる事故、というケースもあったと思う。

 あなたは我が子、自分は誰。
 我々のアイデンティティや血縁の関係性は「〜〜がありえないこと」を前提に、社会的に構築されてきた。

 既存の法律は、技術の発展によって明らかになっていく生物学的実態や、生物学的にありえる可能性に、対応しきるようにはできていない。
 そこに、問題提起という物語を編む余地が、その醍醐味があったりする。yaro

 ふだんは報道直後の延髄反射のような泥縄はあまり書かないので(あわてて書きました)へまやっているかもしれません、なんぞ誤認が混じっているようであればご指摘下さいませ。




メタル


[カテゴリ 科学に佇む2007年] : 2007年03月29日 
* * *

→ 上掲のお話についてのコメント

2208 #yxBLcR7c コメントアンカー poporo さんのコメント 【2007/03/31】

> 既存の法律は、技術の発展によって明らかになっていく生物学的実態や、生物学的にありえる可能性に、対応しきるようにはできていない。
 そこに、問題提起という物語を編む余地が、その醍醐味があったりする

 同意します。というか、「技術の発展」どころか「社会の発展」にすら追っついていませんし。先行き暗いですね。

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