[ EP: 科学に佇む心と身体 ]

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ブラジルの記憶とフナイ、エクスヴォト

カテゴリ[科学に佇む2007年] 2007/03/29
◆左表紙
「ブラジルの記憶 「悲しき熱帯」は今」

 川田順造 (著)  NTT出版 (1996/07)
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 1月に記した→ 『先住民イゾラドの尊厳、FUNAIとインディオ』 のからみで手にとった一冊。
 ブラジルの先住民とFUNAIについてはその1月のエントリを参照いただくとして。

 ブラジルでは、先住民保護を目的とした組織「フナイ(FUNAI)」が、先住民が尊厳をもって暮らすことができるよう、ジャングルの奥地含め、各方面で配慮調整を行っている。
 異文化の衝突やら商業主義の横暴やらが絶えず、尽力しても先住民側から感謝されるとも限らず、かなりしんどい作業が続く。
 〜→ 『先住民イゾラドの尊厳、FUNAIとインディオ』


 「ブラジルの記憶 「悲しき熱帯」は今」は10年前の本。
 先住民保護のFUNAIの活動と、保護された「民族最後の生き残り」を描いたNHKのドキュメンタリー
   ●ネット 沢木耕太郎 アマゾン思索紀行 森の奥森の声 〜シドニー・ポエスロとの対話
は2003年9月であり、「ブラジルの記憶」から数年後の一場面に当たる。

 FUNAIの活動と、孤立先住民の将来について、10年前の「ブラジルの記憶」には、たいへん暗い見通しが再々記されている。
p116-118
・二十万人足らずに減ってしまった先住民インディオたち。
・彼らの生活は、FUNAIによって食料にも医薬品にも不自由なく保護されている。
・先住民インディオは法的には未成年であり、市民権も選挙権もなく、公職にもつけない。
 と同時に、税金免除、医療無料、先住民だけが狩猟可能、罪を犯しても未成年犯罪者扱いどまり。
・でもその甘やかし状態も保護活動も、ブラジル経済の逼迫から、アマゾン奥地の開発を進める必要性から、いずれは一般市民への同化を目指すものに変貌していきそうだ。
・いずれは「開発」に巻き込まれて「現代人」にされていく、それまでのつかのまの「モラトリアム・ピーターパン」たち…

 その後、事態は著者の危惧をなぞるように展開していったのだろうか。
 ウェブの情報からは、読みとりづらい。

 FUNAIで先住民保護にたずさわる人々はボランティアタイプのエリートたちであり、「彼らがいわゆるお役目でうわべを繕ってつとめているのでなく、心底インディオのために良かれと願って働いている p129」その心がひしひしと伝わる。その上で、いずれ先住民は先住民でなくなる、そう見通さざるをえない現実。
 保護は、必要だろう。
 いや、保護して欲しい。
 我々とは異なる何かを仮託する対象として、一方的に保護している形になるのだとしても。

 思えば昔、中南米をモデルに物語を書きたいと感じたのも、良し悪しはともかく、異文化をサンクチュアリ:保護区に隔離する、一線を画する、そういう道が普通に採られているからだったかもしれない。
 アジアではあまりそのような区分は見られない。(ある?)
 なんか、なんでもかでもウヤムヤに成り行きまかせに他者や他者の文化を蹂躙していってしまっているような、そんな印象がアジアの民族関係にわだかまっている。

 「ブラジルの記憶」はカラー写真豊富。
 雄弁な写真。たいへん印象深い。
 神話世界で特殊な位置を占める、マージナルな動物「センザンコウ」。センザンコウをモチーフにした、真紅の民族衣装をまとう王族の写真、その姿にいろいろな歴史、いろいろな思いが交錯して、さらに奥深くさまよいこみたくなる。

... 以下つづき...

〓〓〓 EP 〓〓〓

●●●小玉7●●●

アンカー【ブラジルのエクスヴォト(エスヴォト)】

 収録されたカラー写真の中、ブラジルのエクスヴォト(エスヴォト)なるものが紹介されている。
 生首、胴体、性器、手首… それが天井からごっちゃりぶら下がっている。
 めっさ興味を惹かれる。
 ビジュアル・インパクト大。 描きたい!ehe
 日本の願掛けのように、「治して欲しい部分」の模型を、教会に奉納して祈る、その模型がエクスヴォト。
p.31
ブラジルのエクスヴォト(エスヴォト)は、リアリズムを通りこしてナチュラリズムというか、ひどくなまなましい。 [〜中略〜] 写真、帽子、服、靴など身につけていたもの、足の不自由な人の義足や松葉杖、木彫りの頭、手足、鼻、耳、そして蜜鑞で首や身体の部分をかたどったものが多い。蜜鑞のものは、とくにエクスヴォトの商品化でさかんになったらしい。
 願かけ寺として名高いバイアの州都サルヴァドールのボンフィン教会には、おびただしいエクスヴォトが奉納されている。天井から壁一面を重なりあって埋めている、不透明な鑞細工の首や手足の群れは、気味わるさを通りこしてグロテスクだ。

 壁面が額装写真(故人の遺影)に埋め尽くされた室内、天井からは、肌色をしたさまざまなリアル人体パーツが、わさわさとひそやかにぶらさがっている。その異様な光景。ものすごい惹かれる。
 画像資料をもっと欲しいと思うのだが、残念ながらエクスヴォト(エスヴォト)ではまず検索ヒットしない。でもって、綴りもわからない。orz …ポルトガル語?

 試しに「exvot」で画像検索してみる。
 と、ラテン系の造形っぽい品々の画像がすこし出てくる。
  ●ネット exvotの画像
 ちょっと違うみたい、古代先住民文化がらみの発掘物めいたもんが並んでしまう。
 ブラジルのエクスヴォト(エスヴォト)… どなたか綴りの検討がつく方はいらっしゃいませんでしょうか。

 あ! 「exvoto」で検索したらそれっぽいのが出てきた。
  ●ネット Galerie Bonheurにある足の「Ex Voto」  ( Galerie Bonheur 何かのショップ)
 綴りは「Ex Voto」なのか?
 ●ネット 足首から先のexvoto

 ああ、ちょっとスカスカにインパクトに乏しくてもの足りないけれど、【壁面が額装写真(故人の遺影)に埋め尽くされた室内、天井からは、肌色をしたさまざまなリアル人体パーツが、わさわさとひそやかにぶらさがっている】の写真に似た画像が出てきた。
 ●ネット ぶらさがるエクスヴォト  (〜 salvador-2
 ●ネット ボンフィン教会のエクスヴォト
 ふたつとも、「バイアの州都サルヴァドールのボンフィン教会」(Salvador、Bonfim)の画像だ。
 ということは、「ブラジルの記憶」の写真と同じ場所??
 かなり印象の濃さが違う…。改装入った?部屋が違うだけ?

 ボンフィン教会以外でも、エクスヴォトはよく奉納されるんだろうか。
 ブラジルの、カラフルに華やかな墓地の光景もすこぶるエキゾチック。
 あっけらかんとした、髑髏の造形。
 チリペッパーのようなビビッドな色使い。

 ラテンの国にさまよいこんでみたい。
 ホンジュラス、ベリーズ、メキシコユカタン…。

●●●小玉7●●●

追記
 エクスヴォトについて
 ・Ex voto はラテン語
 ・Ex voto は(願のかなったお祝いの)奉納物を指す
 ・イタリア語でもEx votoで通じる。
   (お名前は出してもいいのでしょうか)

とのご指摘いただきました。bow
 ああそうか。どうりで検索結果に額縁や絵画が多かったりしたわけだ。
 「カソリック(土着宗教と混淆?)的奉納物」を指し広い意味で使われる「ex voto/エクスヴォト」という語があって、その中でも「願かけ寺として名高いバイアの州都サルヴァドールのボンフィン教会」では、奉納物に蝋細工のリアルな人体パーツが多く、インパクト大な名物になっていますよ、みたいな話だったのね。
 ボンフィン教会近くの雑貨屋さんで、「ろう細工のエクスヴォト」がごちゃっと売られていたりするのだそうな。
「ブラジルの記憶」 p.32
あるある、頭、手足、指、耳、鼻、舌、目はもちろん、内臓の各部分、心臓、胃、腸、肝臓、説明を聞いてなるほどと思ったのだが腎臓、膵臓まである。ペニスにワギナ、家、自動車、飛行機……。私が感心したのは、身体は解剖学的正確さで仕分けされているが、原因不明の病気はすべて頭で代表させるのだという。

 すばらしいイメージ。po



メタル
[カテゴリ 科学に佇む2007年] : 2007年03月29日 
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