若くして、老人のような姿態になり、寿命がひどく縮まってしまう病気。
「早老症」と呼ばれていますが、正確には高齢になるにつれて起きる「老化」とは性質が異なる病気です。
主に、遺伝子の不具合で発生します。
「早老症」を起こす遺伝子の変異は何種類かあり、その変異の箇所・種類によって症状や経過も異なります。
『老化はなぜ起こるか
コウモリは老化が遅く、クジラはガンになりにくい』
スティーヴン・N・オースタッド著
草思社 1999年(原書 1997年 「Why We Age」)
p.66から要点:
●早老症は老化ではない。
●ハッチンソン-ギルフォード症候群(新生児八百万人に一人):たったひとつの遺伝子の変異でひきおこされる。わずか10〜15歳で心臓病で死亡する。
●ヴェルナー症候群(成人早老症):思春期になってから発病する。単一の遺伝子の変異で起こる。
ウェルナー症候群:思春期後に急速に老いる早老症と、遺伝子WRN
2006/04 EurekAlert Revealing the secrets of WRN
The unique protein responsible for Werner's syndrome aids research in cancer and aging
2003/08 時事通信 早く老いる「ロスムンド・トムソン症」(RTS症)マウス開発 放医研
2003/08 【日本語記事】 放医研でロスムンド・トムソン症モデルマウスの開発に成功 独立行政法人 放射線医学総合研究所
早期老化現象を示すウェルナー症、高発がん性と男性不妊を示すブルーム症も同様の原因による疾患


『アシュリー 〜All About Ashley〜』
アシュリー・ヘギ (著)
扶桑社 (2006/02/14)
●アシュリーの早老症は、ハッチンソン・ギルフォード症候群。
1番染色体のDNA塩基が、一箇所だけ病気を起こすように変異しているために起きる。
●遺伝子の異常が、タンパク質ラミンA(LMNA:細胞核の膜に必要な成分)の異常を引き起こしてしまう。
●細胞核の膜が異常なので、細胞の再生がうまく行かない。
〜 参照


The Progeria Project Foundation 早老症プロジェクト基金
ところで。
なぜあれが「アシュリー」であり「筋ジス」ではなかったのか。
なぜあれが「アシュリー」であり「男の子」ではなかったのか。
なぜ彼女が、イコンとして選ばれたのか。
... 以下つづき...


DVD 『それは運命か奇跡か!? DNAが解き明かす人間の真実と愛』
サイエンスミステリー
リージョンコード: リージョン2
販売元: ポニーキャニオン
DVD発売日: 2004/3/17
時間: 166 分
フジテレビのサイエンス・ミステリーが選んだヒロイン。
それがアシュリーだったのは、人心における、一種の巫女のごときポジションによくはまる例だったからではないか。
マージナル。
エンデのモモのような、灰かぶり姫伝承の構造のような、「ヨソに属する」「異形の」「早乙女が」「異界との端境に直面して」、人々に雄弁に語る。
視聴者がブラウン管の前で渇望するのは、人でも死でもないマージナルな位置(死の決定が存在を覆っている)の早乙女が毅然として語る異界(死出)についての託宣。
福子としての役割をはたそうとしているヒルコ。
そんな、古来から再々繰り返されてきた象徴的な図式 。
とか思いつつ。
「巫女的位置」など、異形の者がおさまりやすい位置・役割について

人間は、誰しもいつかは死ぬ。
いろいろな死に方で、死ぬ。
いつ死ぬかわかっている場合もあれば、予期せぬ死もある。
人間は、誰しもいつかは障害をこうむって生きねばならなくなる可能性を負っている。
世に同じ人間はいない。
いろいろな生、いろいろな障害がある。
どんなに世の中が変わろうとも、自分が障害や病気の状態に陥る可能性はなくせはしない。
障害や病気を否定し忌避している限り、障害や病気にある人は「救われない」。
それであれば。
なくせないのであれば。
障害や病気にある人を「救う」語りを。
否定せず、排除しない「救いの語り」を復権させるべし。

アシュリーを「かわいそう」だと見る限り、あなたはアシュリーを救わない語りをしている。
自分側の価値観で「同情」をしてアシュリーをおとしめている!
障害や病気にある人を「救いたい、哀れだ」とみなす限り、あなたは、障害や病気にある人に対して一方的にマイナスの価値を押し付けているのだ。
「かわいそう」だと「同情」する人間は、自分が障害をこうむれば、自分で自分を貶めて勝手に絶望するのだろう。
障害や病気にある人を「救う」語りを。
否定せず、排除しない「救いの語り」を復権させるべし。


『みじかい命を抱きしめて』
ロリー・へギ (著)
扶桑社 (2004/3/16)
【プロジェリア研究の進展】
以下、プロジェリアの関連記事を並べていきます:
治療の希望が出てきていたりします。

(リンクが切れている古い記事については、記事のタイトルでネットをぐぐればコピー情報が拾えるかもしれません。)
■2003年のプロジェリア
ガンと早老症とで共通する遺伝子の働き
2003/06 EurekAlert Scientists find genetic link between cancer and premature aging
プロゲリア(早老症)関与遺伝子を特定!!
ハッチンソン・ギルフォード早老症候群 Hutchinson-Gilford Progeria Syndrome (HGPS)
2003/04 EurekAlert Identification of gene gives hope to children with progeria; May shed light on phenomenon of aging
2003/05 EurekAlert New mouse model will aid research on premature aging syndrome
ラミンAに頻出する新規点突然変異がハッチンソン‐ギルフォード早老症候群の原因である
2003/05 Nature 423, 293 - 298 Recurrent de novo point mutations in lamin A cause Hutchinson-Gilford progeria syndrome
マウスの早老症の一種はA型ラミンの異常が原因で起こる
2003/05 Nature 423, 298 - 301 A progeroid syndrome in mice is caused by defects in A-type lamins
2003/04 EurekAlert Researchers identify gene for premature aging disorder
2003/04 EurekAlert Discovery of gene for premature aging syndrome reported in Science
2003/04 Boston Globe Gene work may help treat aging
2003/04 Nature Science Update Premature-ageing gene found
ハッチンソン・ギルフォード早老症候群(HGPS)
早期老化の原因遺伝子が見つかる 治療法の開発につながる可能性
2003/05 【日本語記事】 ネイチャーバイオニュース
この2003年に、アシュリーの病気の原因となる遺伝子が、どれなのかがわかったわけです。
ここから、一気に研究の糸口が広がっていきます。
アシュリーのフジテレビ番組はこの頃から盛り上がっていました。
■2004年のプロジェリア
プロジェリア(早老症)の遺伝子変異が引き起こす組織変化
2004/06 EurekAlert Gene mutation causes progressive changes to cell structure in children with Progeria
プロゲリア(早老症)
2004/05 BBC News Premature ageing secret unlocked
how a mutated gene responsible for the condition works.
早老症とメチル化とPASG遺伝子
2004/04 EurekAlert Gene defect linked to premature aging
■2005年
遺伝子の手がかりを元に、試行錯誤が続きます。
プロジェリア/早老症の機序
2005/12 EurekAlert Zeroing in on progeria: How mutant lamins cause premature aging
プロジェリア用の薬になるかも
2005/08 EurekAlert Anti-cancer drugs may hold promise for premature aging disorder
2005/08 EurekAlert NIH, UNC scientists find anti-cancer drugs might work in treating deadly aging disease
2005/08 EurekAlert UCLA discovery prevents cell abnormality leading to progeria
プロジェリアの遺伝子
2005/03 BBC News Ageing disease 'gene clue' found
2005/03 EurekAlert Decreased levels of 'good' cholesterol in children with Progeria may cause premature heart disease
まだまだ、”かも”であって、希望ではあれど、治療や現状の改善に結びつくにはほどとおい段階。
■2006年
方向性が定まり始めます。
プロジェリア治療に向けて Toward a Treatment for Aging Disorder
2006/02 【日本語記事】Science 変化したタンパク質が血管細胞に蓄積し、早老症をもつ子供を殺害する
現時点の患者数は世界で42名。
変質したタンパク・ラミンAが細胞分裂・再生を阻む:特に血管で顕著
同種のタンパクを持つネズミをこしらえた:やはり平滑筋の血管がやられる
2006/02 EurekAlert Progeria progress: Studies show how mutant protein hurts hearts
■2008年
そしてなんと。
ハッチンソン・ギルフォード・早老症/プロジェリアの根底に、成体幹細胞の変化
2008/03 EurekAlert Adult stem cell changes underlie rare genetic disease associated with accelerated aging
2003年に発見されたタンパク質プロジェリンが、Hutchinson-Gilford Progeria Syndrome (HGPS)を引き起こす
プロジェリンは、幹細胞分化の調節経路に信号を出すノッチ遺伝子を活性化する
Hutchinson-Gilford Progeria Syndrome (HGPS)
ハッチンソン・ギルフォード・タイプのプロジェリア
早老症の関与遺伝子を発見してからわずか5年で臨床試験にこぎつけたぞ!
28人の子供に試してみるよ!
2008/12 EurekAlert In just 5 years, gene discovery to clinical trial of potential treatment
臨床試験が発表されました。
アシュリーにはもう手遅れかもしれないけれど、これはものすごい進展です。
■2009年 訃報
2009/04 FNNニュース: 遺伝子の病「プロジェリア」を患っていたアシュリー・ヘギさん、17歳で亡くなる


あと何かあれば、随時加筆していきます。
この記事は2004年の
![[ EP: 科学に佇む心と身体 ]](http://homepage1.nifty.com/NewSphere/transparent.gif)







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