[ EP: 科学に佇む心と身体 ]

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痴呆と脳の崩壊と信仰と アルツハイマー病者からみた世界

カテゴリ[科学に佇む2004年] 2004/04/16
 自分が自分でなくなっていく。
 残す余命はあとわずか。
 自分が欠け落ち崩れていく。

 そのときあなたはどうやって自己を支えるのか。
 どう今と未来に向き合うのか。

アルツハイマー病者からみた世界
「私は誰になっていくの? アルツハイマー病者からみた世界」

 クリスティーン・ボーデン著
 クリエイツかもがわ/かもがわ出版 2003/10
 
 (原書 1998/ WHO WILL I BE WHEN I DIE?) 



 行政の要職につき仕事をこなしていた女性が、アルツハイマー病と診断された。
 即、離職を勧められる。症状は進行する。
 日常生活を過ごすにも「断崖に爪を立ててしがみついているような」懸命な努力を尽くしてそれでもままならない。
 どんなに努力しても「悪くなるだけ」と定められている死の病。
 アルツハイマー病。

挿画


 去年末、この本を著したアルツハイマー病のご本人が来日して話題になっていた。

●NHK クローズアップ現代 2003年11月13日(木)放送
  痴ほうの人・心の世界を語る(クリスティーン・ブライデン)

●Mainichi INTERACTIVE ぼけ予防協会  痴呆の人の心がわかる本

アルツハイマー病は、いわゆる心の病ではない。
  人格が変わる。
  自己が変わる。
  自分がすり減っていく、欠け落ちていく。
  診断後の余命は8年。   死に至る病。


 オーストラリアでは 死因の中で4番目に多いのがアルツハイマー病 だとのこと。
アルツハイマー病とはどんな病なのか、を全く理解していないようなオオハズレな配慮をしてくれる行政側の例も登場する。
 不適切な対応:「もっと軽い職場に移りなさい」など

挿画


 アルツハイマーの病態や実状、そして病者本人から見た世界、努力、心構えの記述とともに、この本の白眉をなしているのが、信仰

 信仰が、苦難に耐えうる魂をみごとに培っている。
 この信仰無くしてはこの本は成り立たなかったろうし、病者本人も看護する周囲も、ここまで持ちこたえてはこれなかったろう。


... 以下つづき...

〓〓〓 EP 〓〓〓

アンカー【力をくれる信仰】


●信仰は人生を支えてくれる。マジに。科学的にも。

信仰的取り組みは癌患者のご家族の苦難をやわらげうる
2002/11  Health Behavior News Service RELIGIOUS COPING MAY EASE DEPRESSION IN CANCER PATIENTS' SPOUSES
 
死別の悲しみの中、信仰心の厚い人のほうが健康を損ないにくい
2002/08  EurekAlert!  Good grief: Religious people may have better health while mourning
 
●右画
高齢アフロアメリカンの自殺をふせぐもの 社会サポートと信仰
2002/07  EurekAlert! Study on suicide reveals faith, social ties as 'protective' for older African Americans
 
信仰は死別の悲嘆を和らげるのに有効
2002/06  BBC News Spiritual belief 'helps grieving process'
 
信仰は高齢者に苦難を乗り越える力を与える
2002/02  EurekAlert!   Spiritual beliefs and existential meaning in later life
 
信心でアップする心肺健康度
2001/12  Ananova Rosary prayer leads to healthy heart
 
医療における信仰の重要性
2001/12 EurekAlert!   Study, review and editorial focus on religion, spirituality and medicine
 
祈ってくれる人がいると回復が早い@心臓疾患
2001/10  EurekAlert!  Prayer, noetic studies feasible; results indicate benefit to heart patients


追記:
2006/08 EurekAlert Religious beliefs can protect psychological well-being during stressful experiences
宗教的な信条は、ストレスの多い経験の間、心の健康を保護できる

『幸福な人生に関係がある』信仰
2008/03 BBC News Religion 'linked to happy life'
 信心深い人々は、失業や離婚のような人生の困難を乗り越えるのがじょうず


 宗教はなぜ存在するか。
 過去の時代において、それに従ったほうが人間にとってなんらかの利益となった、そういう知恵の体系があったほうが生き延びやすかった、それゆえに存在するのだろうと考えられている。
 宗教は、人間の心身にとって有益な知恵を持つ体系であれば、世代を経て残りうる。
 それなりの、知恵の蓄積としての宗教。人間の心に適応した宗教。

 かといって、「そうか、それじゃ困ったときの神頼みで宗教にでも」と泥縄するにしても、宗教と名が付けばどんなものでもいい、というわけでもないようで。

単なる信仰では、高齢者においては暮らしの質向上や死の恐怖軽減には貢献しないようだ
 それより人生の目的を見出すことのほうが重要
2001/11 EurekAlert!   UF study: Religion doesn't influence sense of well-being or fear of death in seniors
 
信仰上の葛藤は高齢者の寿命を縮めます
2001/08  EurekAlert!  Study: Religious struggle may indicate greater risk of death among elderly


 葛藤は、ないほうが身のため心のため。
 自分探しや、神仏などに「救ってくれ」と願う目的で入信するんじゃダメ。
 あなたの生は何のためなのか、まわりの人々との関係性構築を示唆支援してくれる宗教であればよし。

追記:

いまどきの新興宗教は自己中心すぎ
2008/01 PhysOrg  Religious beliefs focus too much on self
 伝統的な宗教を避け、はやりのself-focusedされた信仰に宗派替えした者たちは、さほど幸福になっていない


 いまどきは宗教と社会との軋轢が目立っているが、それらはたいがい歴史の浅い宗教たち。
 (おおざっぱにいえば)より歴史の古い宗教のほうが、浅いものより人心&社会への適応性が高い(軋轢が少ない)傾向にあると思われる。
 社会や一般常識に反しない、葛藤の少ない宗教、そしてなにより、世の中に即したポジティブな人生の目的を与えてくれる宗教は、目立つことも騒がれることもなく、周囲にふつうに存在しているはず。

 ある日「何かにすがって安寧な末期を迎えたい」と思い立つのであれば、あなたが人心と社会への適応性が高い宗教にめぐりあたらんことを祈りつつ。

挿画


 …昔、「いや、まだ自分は宗教に入るには早すぎる」ときっぱり思ったことがあったっけなぁ、小学生のとき。




この記事は → 『旧ブログの記事』 から移動させたものです

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