[ EP: 科学に佇む心と身体 ]

進化心理学,生物学,基礎,サイエンス,利他行動,事例研究 サイトマップPt.1 旧科学ブログPt.3 楽屋のブログ用語・記事・情報庫
無料翻訳掲示板へぇボタンとは 昨日:  今日:

両生類レクイエム1:もうかえらないカエル+ツボカビ病

カテゴリ[科学に佇む2007年] 2007/01/12
 両棲類/両生類。

 彼らがこの宇宙からいなくなってしまうことについて、一本書こうと思いながらのびのびにしていたら、さらに何やら深刻な報道が。
 去年の夏から後回しにしっぱなしだった… orz

 とりあえずメモ置き場をここに。


●●●小玉7●●●

●右画

 水中でも陸上でも生活をする両生類。
 彼らの皮膚はたいへんデリケート。
 水からも、大気からも、光からも、ダメージを受けやすい。

アンカー【農薬、除草剤】

 大人やオタマジャクシだけじゃない。
 卵も、たいへんデリケート。
 なにより「無羊膜類」である彼らは、卵が殻なし。 むき出しの裸の状態。
 むき出しだからこそ、乾いたところでは繁殖できないゆえに、水陸両生類。

農薬でカエルが…
2006/02 news@nature.com Pesticide cocktail kills US frogs
2006/02 EurekAlert Pesticide combinations imperil frogs, probably contribute to amphibian decline

除草剤はまじカエルにはヤバイよ
2005/04 EurekAlert Roundupョhighly lethal to amphibians, finds University of Pittsburgh researcher


 きれいな環境でないと、繁殖できない。

両生類、化学物質汚染で繁殖力ががたおちに
2006/02 EurekAlert Wildlife researchers identify impacts of contamination in amphibians


こんなだのに、2005年時点の本にある記述はこう。damedaroo
  ・日本では、農薬以外の環境汚染が引き起こしたと見られる両棲類の減少は、まだ報告されていない。
  ・日本では、農薬が両棲類に及ぼす毒性の試験は行われていない。
   ●本ミニ 『これからの両棲類学』 15章 大河内勇 p180大意

●●●小玉7●●●

アンカー【弱ると寄生虫】

●生態系バランスが崩れて寄生虫大発生
寄生虫の増加とカエルの奇形増加の相関
2004/06 EurekAlert Nutrients cause increase in parasites and frog deformities

2002/07 cnn.co.jp カエルの奇形、農薬汚染と寄生虫が相乗原因との報告 米国
2002/07 EurekAlert!  Deformed frogs form when parasites and pesticides combine

奇形カエルの劇的増加
2003/01 Oregon State University
 なかでも寄生虫の大繁殖は異形のカエルの原因に
 元をただせばどれも人間の行いが災いの発端なんだが


 ただでさえ脆弱な生物種、つぎつぎ死んでも食われても、なんとか高い繁殖力と安全な環境で持ちこたえていたものが、もう、繁殖さえできずに、ばたばた死んでいっているわけで。

 おまけに化学物質で性霍乱(かくらん)

除草剤がカエルの性を変えちゃいます 環境ホルモンで半陰陽に
2002/10 BBC News 'Sex change chemical' threatens frogs
2002/10 Nature 419, 895 - 896 Herbicides: Feminization of male frogs in the wild
2002/10 Nature Science Update  Herbicide makes wild frogs hermaphrodite
米国内の野生ヒョウガエルの雌雄同体化  除草剤アトラジンとの因果関係
2002/11 【日本語記事】 ネイチャーバイオニュース
2002/10 読売新聞 コイやカエル「メス化現象」


 でも日本じゃ検証もできてない。
●本ミニ  『これからの両棲類学』 16章 坂雅宏
p202

 環境汚染が両棲類に及ぼす影響に関しては、ここ10-20年の間に相当の研究データが蓄積されてきた。そして、紫外線や低pH、多くの化学物質が両棲類に害を及ぼすことはもはや明白である。しかし、そのほとんどは実験室内での試験結果に基づくものであり、実験室での結果と同じことが実際に野外でも起こっているのか、また、起こっているとすれば、その結果として両棲類の数が減少したり、形態異常が生じたりしているのかについては、断定的な証拠を示すデータがほとんどない。
 

 さらに両生類たちを襲うのが、

... 以下つづき...

〓〓〓 EP 〓〓〓

挿画


アンカー【酸性雨で死ぬ彼ら】

 ・酸性雨でも、両生類がやられる可能性がある。
   ●本ミニ 『これからの両棲類学』 15章 大河内勇 p180大意

 酸性雨には、海もやられているしね。tear_flow
  → 『海が酸性化で腐る!? 海洋生物が死に絶えたら…』

 ・酸性雨に弱いか強いかは、種類によっても、生息域によってもかなり幅がある。
  耐酸性の能力は、そこの土壌の、もともとの酸性度にも左右されるらしい。
 ・魚類に比べると、酸性雨が両生類を減らしているという報告はほとんどない状態。
   ●本ミニ 『これからの両棲類学』 16章 坂雅宏 p195大意

●●●小玉7●●●

アンカー【オゾンホールと紫外線】

  ツボカビ病の存在が発覚する前に、謎のカエル個体数激減の原因ではないかと挙げられていたのが、紫外線。

 オゾン層の破壊による紫外線の増加。
 オーストラリアでは国を挙げて「日焼けをしないで!皮膚癌になるよ!」キャンペーン。
 人間でさえ皮膚癌なんだ。
 より肌がきゃしゃな両生類たちは…

 実際、彼らは光が強すぎるだけでもやられてしまう。
 毒にも光にも乾きにも、まっさきにやられて死んでいく。 彼らは「炭坑のカナリア」。

紫外線の影響が示唆される例として、北米のカスケードガエルがある(Blaustein et al.1994)。この種を含む、開けた浅い水面に産卵し、太陽光の熱エネルギーを吸収して発生を進める一部の両棲類は、紫外線の増加に対するリスクが高いと考えられる。
   ●本ミニ 『これからの両棲類学』 15章 大河内勇 2005年 p181

世界的な両生類の減少傾向、もしかしたら紫外線量の増加のせいかも
2004/06 EurekAlert Concerns remain about UVB damage to amphibians

奇形のカエル、紫外線のせい?
2002/06 EurekAlert! New study sheds light on frog malformations

 ・アメリカのカスケードガエルでの例は、他の地域のカエルには当てはまらなかったりしている。
  産卵環境や時期によって影響は大きく異なるようだ。
 ●本ミニ 松井正文「カエル 水辺の隣人」 中公新書 2002年 p179大意

 ・大人の両生類に紫外線を当て続けると皮膚が硬くなったり死亡したりした。
 ・卵に紫外線を浴びせた場合、温度が低い場合のほうが深刻な結果になる。
   ●本ミニ 『これからの両棲類学』 16章 坂雅宏 2005年 p193大意


 しかし、農薬でも、酸性雨でも、紫外線でも、どうにも説明のつかないカエル大量死の発生が、あいつぐ。

●●●小玉7●●●

 さて、今回の真打ち。

アンカー 【カエルたちを殲滅するツボカビ病】

 今もっぱら話題になっているのは「ツボカビ病」。

地球温暖化のせいで、カエルがツボカビ病に皆殺しにされていく
2006/10 BBC News Warming link to amphibian disease
2006/10 New Scientist Global warming fuels fungal toad-killer


 世界の両生類、いま把握できている種の数は、約5000種。
 そのうちの3分の一が、もう確実にヤバイ。

 【podcast 音声】科学なポッドキャスト
【英語】「カエルがヤバイ!」 MP3ファイル 1分
Endangered Frogs 2006-09-28  National Geographic Minutes
 A third of all known frog species are threatened. Find out why.
『ナショナル・ジオグラフィック 1分ニュース』
 世界のカエル、3分の1はもう絶滅の危機。
 ツボカビ病で死んでいく両棲類たち


 カエルだけじゃない。 両生類という、大きな生物のグループが。 欠けていく。

 現生両生類は、大きく三つのグループに分けられる。
  ・カエル類 現生両生類のなかで最も種数が多い
  ・サンショウウオ類
  ・アシナシイモリ類 恐竜時代以前から地中生活をしていた
 ●本ミニ  松井正文著 「カエル 水辺の隣人」 中公新書 2002年

 国の天然記念物含むサンショウウオも。
 日本的には棲息しない珍種アシナシイモリも両生類。
   ●ネット アシナシイモリの画像集
   ●ネット アシナシイモリ - Wikipedia

 彼らの大きな特徴である、浸透性が高く命に関わる器官「皮膚」が、この殺し屋カビによってぼろぼろにやられてしまう。

「カエル・ツボカビ症」 両生類が死に絶える
2006/01 EurekAlert Extinctions linked to climate change
2006/01 EurekAlert Global warming drives epidemic disease wiping out amphibian populations
2006/01 BBC News Climate culprit for frog deaths
2006/01 New Scientist Global warming boosts fungal epidemic in frogs
種の絶滅:カエルからの警告
2006/01 Nature Extinctions: A message from the frogs
環境 地球温暖化で広がる流行性疾患によって両生類が広範に絶滅する
2006/01 Nature Widespread amphibian extinctions from epidemic disease driven by global warming
2006/01 National Geographic Frog Extinctions Linked to Global Warming
2006/01 news@nature.com Dead frogs linked to global warming


 養殖場の高価なコイが、コイヘルペスで全滅しまくる。
 あの恐ろしい図はまだ記憶に生々しい。

 あのような災禍が日本のカエル、イモリ、サンショウウオに降りかかる。

●●●小玉7●●●

●右画

 この恐ろしい病はどこから来たのか。git

 実はこの病も、エイズのように、ほかならぬ人間が、世界に広げてしまった災厄である気配。achar2

  詳しくは後半につづく→ 『両生類レクイエム2:もうかえらないカエル+ツボカビ病』

 (ごめんね、長くて)



へぇボタン:へぇ〜 と押してみるもよし


●情報庫:生態系 動物

メタル



trackback(0) :comment(0)  

→

→コメントの投稿  (コメントのRSS)

個人的な用事や事務通達は 【連絡用フォーム】 から送信ください。
各記事の内容に関係ない告知や雑談の書き込みは【掲示板】 を使って下さい。
御芳名
メアド
リンク
本文
 
ふつうは送信直後に掲載されます。
スパムよけにはじかれてコメントが通らない場合は 【連絡用フォーム】 からご連絡下さい。

→ この記事のトラックバック用URL【http://ep.blog12.fc2.com/tb.php/635-ba776faa】
 『言及の体裁をなしていないトラバ』や、日本語以外のトラバ、seesaaとpetitmallからのトラバは削除することがあります。

★START-POINT

筆者:雨崎良未
RSSフィード
→ ブログ新着通知の見方

→ 併設ブログ 楽屋【Dorm B】
→ 併設ブログ 旧【科学ブログ】

進化心理学 併設サイト
【巨大記事庫】
→ 記事庫の新着・更新情報

→ 最近の主なコメント
→ 過去のトラバ類
→ 科学なポッドキャスト
→ リンク集

アクセスの多いページ

  1. [科学に佇む心と身体]
  2. 再生医療、ES細胞、幹細胞
  3. 性犯罪研究
  4. ADHD、注意欠陥障害
  5. 無料で翻訳 便利サイト
  6. 脳や心の男女差の科学
  7. 知能指数、IQの研究
  8. 遺伝病/遺伝子治療/DNA鑑定
  9. 自閉症/アスペルガー症候群
  10. うつ、躁鬱病、自殺の科学
  11. 五感 視覚、触覚、味覚、嗅覚、聴覚 音楽、芸術
  12. ヒトの祖先/人類進化の科学
  → 歴代一覧

etc.

科学学問

なかのひと

フィードメーター View blog reactions @ technorati


スカウター : [ EP:  end-point 科学に佇む心と身体Pt.2]