岩波新書『性転換する魚たち サンゴ礁の海から』 桑村哲生著 2004/10
『魚の子育てのひみつ』 鈴木克美著 2005/07などにゆずるとして。

●脊椎動物で、自然に性転換をする生物は、硬骨魚の一部と両生類の一部だけ。
哺乳類や鳥は、自然に性転換はしません。
●400ほどある硬骨魚類の「科」のうち、性転換が報告されているのは一割の40ほどの「科」。
でもって、それらの性転換魚は、なかでもサンゴ礁にぎょうさんいらっしゃるのだそうだ。
「クマノミも性転換するんだぞ、映画のファインディング・ニモはちゃうんちゃう」というツッコミは巷で再三なされておりまして。
ニモのクマノミ父さんは性転換してなきゃね ●魚の性転換、主流のパターンは「メスからオスヘの性転換」。(雌性先熟)
メスにもオスにも、ってわけじゃないんですね。
これにはわけがあって、もともと魚の生殖腺は、先に卵巣ができて、あとから精巣ができてくる、これが基本。
ゆえに、あとからできるはずの精巣を先に成熟させる「オスからメスへ」パターンはわりと無理目なんだと。
... 以下つづき...

で、性転換、これ瞬間的にあっという間に性転換できちゃうわけじゃないんですよね。
やはり大幅な身体の変化が必要なので、性転換の完了までには数週間くらいかかってしまう。
その間は工事中。
繁殖に参加できない。
特定のシチュエーションで、オスになったほうが繁殖率がアップするな、メスでいたほうがオトクだな、などそれぞれに機会はあるわけだけれど、その性転換の途中の数週間は、オスがトクだろうがメスがトクだろうが、中途半端な身体ではどっちでもないわけで、なにもできない、いちばん不利。

そういう、数週間の機会を失う性転換の不利をこうむってまでしても、それでも性転換で結果的にオトクになる、そういうシチュエーションがある場合のみ、お魚の性転換は発達する。
ロスを補うほど性転換がオトクになるような生態に暮らしているお魚、それが、魚の「科」の一割に存在するわけだ。

【性染色体がない生き物たち】
●じゃ、魚はメスの遺伝子であってもオスになれるの? と気がついたお方、さすが&惜しい。
お魚にはなんと。
性染色体がない種類が多いんですね。
オスもメスも、染色体的には同じ。だからどっちにもなれたりする。
(ややこしいことに、染色体に性差がなくても、染色体の遺伝子が雌雄で違っていて性差を決定している種もあったりする)
中には、ご先祖には性染色体があったのに、進化して性染色体がなくなってしまった!というお魚もいるらしいのでありまして。

【日本語記事】太田欽也 2002 「Evolution of sex chromosomes in the order Aulopiformes」 
はい、こういう話を読むうちになぜか「性別がなくなると大変だ」みたいなリアクションをしてしまった人、できればむやみな性別執着を科学的に止揚するためにも、しっかり性科学のお勉強をなさって下さるとうれしいところでございます。


【追記】性転換コストのシミュレーション
2009/02 EurekAlert Why don't more animals change their sex?
なんで性転換する動物はこれきししかいないの?
性転換する手間、費用、期間が見合わないからさ
岩波新書『性転換する魚たち サンゴ礁の海から』 桑村哲生著 2004/10
『魚の子育てのひみつ』 鈴木克美著 2005/07
『遺伝学でわかった生き物のふしぎ』
『ドクター・タチアナの男と女の生物学講座 セ…クスが生物を進化させた』
![[ EP: 科学に佇む心と身体 ]](http://homepage1.nifty.com/NewSphere/transparent.gif)







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