[ EP: 科学に佇む心と身体 ]

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紅葉するのは何のため?虫よけそれとも日焼け止め?

カテゴリ[科学に佇む2006年] 2006/10/23
●右画
 なんで季節によって葉の色をハデにする植物がいるんだろう。

 紅葉が起きるそのわけ、いまある仮説は大きく分けて2種類。

●仮説その1:昆虫に対する警告色説
 ウィリアム・ハミルトンがいいだしっぺの、「ハデハデな木は、害虫よけの毒素をたくさんこしらえた元気な木だぞというサインになってるんじゃないか説」。
 ( ハミルトンのハンディキャップ仮説の延長:ハミルトンは2000年に没したが、生前にしたためた論文が死後の2001年に発表された)

2001年の9月、ノルウェーのチームが、
  きれいに黄葉している樹木のほうが、シンメトリカルなきれいな形の葉をつけている。
との結果を出す。すなわち、「健康だよサイン」なのだと。
〜2003/12  The Loom : Hamilton's Fall (→カール・ジンマー

アリマキは紅葉が鮮やかな木を避けておりますよ
2001/07 Ananova Autumn trees tell pests to 'leaf me alone'
秋の景色の源
2001/07 Nature 412: 6843 Page 136  Evolutionary biology: Autumn colour code  〜John Whitfield
2001/07? 【日本語サイト】  紅葉の知られざるメッセージ @気になる科学コラムサイト


 など、傍証っぽい研究もいくつかあるけれど、このほど、樹木塗りたくり実験で「アリマキに対する警告色説」は妥当でないことが証明されました、とのこと。
 赤でも緑でも害虫アリマキさんが寄ってくる率は変わらなくて、葉の色とかじゃなく、単に実の多いほうにふつうにたくさんたかっていなさったとのこと。
●NEWS紅葉の科学、紅葉の効用ってナニ →カール・ジンマー
2006/10 The Loom : Autumn Leaves: The Search for Purpose

 紅葉の意味どころか、虫がどこにどうたかっているのかさえ、いまだろくに知らずにいる私たちなわけだ。
 全然科学できてないんですよ。
 我々はなんと無知なことか。
 まだまだ科学できる対象がたくさん残っている。

 そしてもうひとつの仮説は日焼け止め。

... 以下つづき...

〓〓〓 EP 〓〓〓

●右画
●仮説その2:冬に備える時期用の紫外線防護説

 冬に備えて、栄養をたくさん蓄えなきゃならない樹木たち。
 栄養摂取の光合成に使っていた葉っぱは、冬の寒さに耐えられないからさよならします。
 葉っぱの葉緑素は、栄養素に分解して幹のほうに格納します。

 そんなこんなのどさくさの中、
・葉には少ししか葉緑素が残ってない
・スカスカの葉では葉緑素が紫外線で壊されて無駄になる
・アントシアニンなどの紅葉色素分子で紫外線を防げば、最後の最後まで葉緑素が栄養を作り続けられる

2004/10 New York Times  THOSE FALL OUTFITS MAY BE SAVING TREES  (→カール・ジンマー
2005/11 The Loom : The Semiotics of a Leaf. (→カール・ジンマー
200410 【日本語記事】 木は実は往生際が悪い @skasuga
紅葉の進化
2005/12 BioEssaysVolume 28, Issue 1 , Pages 65 - 71 Plants on red alert: do insects pay attention?


 でも、この説にしても、紫外線の強い環境ほど紅葉が美しいというわけでもなし
 いまだ結局ナゾなんですよ、なんで「紅葉」が進化したのかは…
 というのが、現段階のカール・ジンマーの結論

 …昔、紅葉・黄葉は
  「もともと赤や黄色の色素は葉にたっぷりあるのだが、
   緑の葉緑素がたんまりあるので色が隠されている。
   それが秋になると葉緑素が減って見えるようになってくるだけだ」
と教えられた覚えがあるんだが…。
 樹木の種類にもよるだろうけど、もともとハデ色素が葉にある種類と、秋になって急にハデ色素を増やす種類と、それぞれあるのかな。


●●●小玉7●●●

 …まあ、このまま行くと、紅葉どころか、植物自体が気候変化についていけずに、つぎつぎ死に絶えちゃうかもしれないんですけどね。tear_flow
2005/10 asahi.com 100年で気温1.06度上昇、紅葉50年で2週間遅く
2003年10月 人民日報(asahi.com)  カエデ紅葉、年々遅れる 50年前より2週間


●●●小玉7●●●

この箇所へのリンク【その後の記事:追記】

2007/10:
 「アントシアニンなどの紅葉色素分子で紫外線を防げば、最後の最後まで葉緑素が栄養を作り続けられる」に近い見解を支持する実験結果が出たようです。
 どうせ葉っぱといっしょに落ちてしまうのに、なぜわざわざ秋口に色素をこさえる手間をかけるのか。
 アントシアニンに関しては、この赤い色素があるおかげで、葉っぱは最後まで栄養を幹に送ってからサヨナラできるようになっているのです、というお話。

2007/10 EurekAlert Why do autumn leaves bother to turn red?
なぜ、秋の葉は赤くなる?
 土壌は、樹木の秋色衣装を指図するかもしれない
 紅葉植物で遺伝的にアントシアニン生産をブロックすると、葉は異常に秋日光に弱くなり、越冬の栄養を送らなくなる
2007/10 New York Times Those Brilliant Fall Outfits May Be Saving Trees
By CARL ZIMMER  カール・ジンマー

2009/04 BBC News Apples' autumn colour change clue
秋の紅葉にリンゴの変化から手がかり
 秋の葉が色を変える理由についての長年の論争に、慎ましいリンゴの木から新しいヒント
 害虫に対する防御より、果実の大きさや味を優先的に改良したリンゴの品種は、野生種より紅葉が控えめ
 つまり、葉の色のハデさには害虫対策の効果との関係がありそうだ

なぜ秋の紅葉は、ヨーロッパでは黄色で、アメリカでは赤?
2009/08 EurekAlert Why are autumn leaves red in America and yellow in Europe?
 3500万年ほど遡るパズル
 「赤色」は害虫を追っ払う薬だけど、作るのには手間がかかる、と想定すると:
 再々の氷河時代をくぐり抜けて多くの昆虫が絶滅したヨーロッパ世界では、欧州古参の樹木は、わざわざコストのかかる「赤」を作り出す必要性がなかったのですよ




メタル


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