
生きかたを考える絵本
『いのちはプレゼント ぼくは18トリソミー』
わたなべえいこ
(2006/07) 汐文社
染色体に生じた変異によって、「産まれても長くは生きられない」状態で、生を受ける人がいます。
18トリソミーは、染色体のうち第18番の番号を振られた部分が、障害をもたらしているケース。
生きて産まれることが少なく、産まれても、長くは…。
「18トリソミー」とは これは「絵本」です。
おぼつかない絵と、ふりがなつきの平易な文章で、おりなされています。
おなかに赤ちゃんができ、体調の異変に見舞われ、おなかの子の寿命がほとんどないと知らされる。
妊娠をし、その赤ちゃんを産んだ、[[[ お母さんご本人が ]]]、絵を描き、文を綴っています。
・おなかのなかにおとうとができたよ
・なぜか羊水がえらいことになって母胎に危険が…
・調べてみたら胎児の「食道と胃がつながっていない」
・もっと調べてみたら染色体の異常が見つかった
ざんねんだけど、『18トリソミー』は生きてうまれてこないか、うまれても1さいまでにおおくは亡くなってしまう病気です。
... 以下つづき...

【母親と子供の命、どちらを優先して考えるか】
父親は、「子供はまた作れる、妻の命を優先したい」
母親は、「自分より子供を助けて欲しい」
医者は、「亡くなる可能性が高い子供のほうを優先するわけにはいかない」
ママはそれから、毎日ないていました
二つめに提示される選択。
【寿命の短い子、生まれたら積極的に治療するか、しずかに死ぬにまかせるか】
医者は、「しずかにおそらにおくってあげよう」と示唆する。
パパとママはどんぞこまでおちこみました
三つ目に提示される選択。
【お産の際に赤ちゃんの命を機械でモニター表示するか否か】
どうするか問いかける看護師さんまで「なきながら」。
母親は、「つけていれば我が子がいつ逝ったかわかる、でもお産に集中できないかも」と逡巡
父親は、「つけないでください」
産まれた子は手当もされず、しばらく放置で”生きるか死ぬか”ようすみをされるが、
かろうじていきのびていきそうだったので
新生児集中治療室に入れてもらえることになる。
4つ目の選択。「食道と胃をつなげるか」。
産まれた子は「食道と胃がつながっていない」、飲食ができない。
余命を考えて、つなげる手術はほどこさず、胃に穴を開けて(胃瘻)そこに直接ミルクを入れ…
5つ目の選択は、なんと無断で母体に施されていた。
お乳が出なくなる薬を投与されていた…!
6つ目の選択。
病院で寿命を延ばすか。危険覚悟で家で余命を過ごさせるか。
両親は、この子を…。

企図もいいし、心意気もいいし、プレゼントにもいい本だし、
でも、なぜ、これを
小学生向けのような絵本
にしてしまったのか、読んでいて強い違和感が。
説明もなく「NICU」という言葉が出てきたり、年齢層に合わせた問題提起がしきれていなかったり、どうして中高生向けにしなかったのかと。(6才の長女さんがいらっしゃるようなので、その子がまず読者想定として念頭にあったんだろうか)
逆に、この絵本は中高生の教室で配って、生命倫理の考察材料にすべきだよなぁといぶかっていたところ、
著者側編集の反響サイト によれば、今月
続編で今度は絵本ではなく、子どもでも読める、文字主体の児童書も出版します。
とのこと。
もう出てます?
今度の著者名は「わたなべえいこ」ではなく漢字?

関連エントリ:
●産まれてもすぐ死ぬ障害を持つ子を妊娠した
・おろすか
・産んで死ぬのを待つか
・積極的に治療を尽くすか
・死なせて臓器を研究に提供するか
●患者・当事者の自助グループについて
当該書の著者は、いつ、どの時点で、どのルートから
『18トリソミーの会』 (自助グループ)の存在を知ったのか、そして、会はどのように助けになったのか・ならなかったのか、そのあたりのてんまつが、今月出る本にはなんぼか記されていることを願いつつ。
不満点があるとすれば。
「いのちはプレゼント」である部分が思ったほど前面に出ていない。状況説明で手一杯な感じ。
死に対する心構えを期待して読まれる向きには肩すかし。
イラストの処理の甘さが目立つ。エンボスレイヤーの影側をなぜ明度だけですませる。
類書が少ない点から、これらも些細なこととして及第点。
お子さんはまだこの世にいらっしゃるのだと思われ。
良い 物語に恵まれることを祈りつつ。
2006/12 追記:
凱晴(かいせい)くんのその後が、今度は絵本ではなく児童書で登場。

『命をくれてありがとう ぼくは18トリソミー』
わたなべえいこ
汐文社 (2006/12)
2007/06 追記:【日本語ブログ】 18トリソミーと闘う我が子へ
凱晴(かいせい)くんも登場します
へぇボタン:へぇ〜
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