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遺伝子の病、生死の絵本:ぼくは18トリソミー

カテゴリ[科学に佇む2006年] 2006/09/17
冒険的な絵本です。

いのちはプレゼント
 生きかたを考える絵本
 『いのちはプレゼント ぼくは18トリソミー』
 わたなべえいこ
(2006/07) 汐文社


 染色体に生じた変異によって、「産まれても長くは生きられない」状態で、生を受ける人がいます。
 18トリソミーは、染色体のうち第18番の番号を振られた部分が、障害をもたらしているケース。
 生きて産まれることが少なく、産まれても、長くは…。

   ●ネット 「18トリソミー」とは

 これは「絵本」です。

 おぼつかない絵と、ふりがなつきの平易な文章で、おりなされています。

 おなかに赤ちゃんができ、体調の異変に見舞われ、おなかの子の寿命がほとんどないと知らされる。

 妊娠をし、その赤ちゃんを産んだ、[[[ お母さんご本人が ]]]、絵を描き、文を綴っています。

 ・おなかのなかにおとうとができたよ
 ・なぜか羊水がえらいことになって母胎に危険が…
 ・調べてみたら胎児の「食道と胃がつながっていない」
 ・もっと調べてみたら染色体の異常が見つかった
ざんねんだけど、『18トリソミー』は生きてうまれてこないか、うまれても1さいまでにおおくは亡くなってしまう病気です。


... 以下つづき...

〓〓〓 EP 〓〓〓

 まずひとつめに提示される選択。
【母親と子供の命、どちらを優先して考えるか】
 父親は、「子供はまた作れる、妻の命を優先したい」
 母親は、「自分より子供を助けて欲しい」

 医者は、「亡くなる可能性が高い子供のほうを優先するわけにはいかない」
ママはそれから、毎日ないていました


 二つめに提示される選択。
【寿命の短い子、生まれたら積極的に治療するか、しずかに死ぬにまかせるか】
 医者は、「しずかにおそらにおくってあげよう」と示唆する。
パパとママはどんぞこまでおちこみました


 三つ目に提示される選択。
【お産の際に赤ちゃんの命を機械でモニター表示するか否か】
 どうするか問いかける看護師さんまで「なきながら」。
 母親は、「つけていれば我が子がいつ逝ったかわかる、でもお産に集中できないかも」と逡巡
 父親は、「つけないでください」

 産まれた子は手当もされず、しばらく放置で”生きるか死ぬか”ようすみをされるが、
   かろうじていきのびていきそうだったので
新生児集中治療室に入れてもらえることになる。

 4つ目の選択。「食道と胃をつなげるか」。
 産まれた子は「食道と胃がつながっていない」、飲食ができない。
 余命を考えて、つなげる手術はほどこさず、胃に穴を開けて(胃瘻)そこに直接ミルクを入れ…

 5つ目の選択は、なんと無断で母体に施されていた。
 お乳が出なくなる薬を投与されていた…!

 6つ目の選択。
 病院で寿命を延ばすか。危険覚悟で家で余命を過ごさせるか。

 両親は、この子を…。

●●●小玉7●●●

 企図もいいし、心意気もいいし、プレゼントにもいい本だし、

でも、なぜ、これを
  小学生向けのような絵本
にしてしまったのか、読んでいて強い違和感が。

 説明もなく「NICU」という言葉が出てきたり、年齢層に合わせた問題提起がしきれていなかったり、どうして中高生向けにしなかったのかと。(6才の長女さんがいらっしゃるようなので、その子がまず読者想定として念頭にあったんだろうか)
 逆に、この絵本は中高生の教室で配って、生命倫理の考察材料にすべきだよなぁといぶかっていたところ、

 ●ネット 著者側編集の反響サイト

によれば、今月
続編で今度は絵本ではなく、子どもでも読める、文字主体の児童書も出版します。

とのこと。
 もう出てます?
 今度の著者名は「わたなべえいこ」ではなく漢字?

●●●小玉7●●●

関連エントリ:
 → 『「なぜ」から学ぶ看護の倫理学』
 ●産まれてもすぐ死ぬ障害を持つ子を妊娠した
   ・おろすか
   ・産んで死ぬのを待つか
   ・積極的に治療を尽くすか
   ・死なせて臓器を研究に提供するか

 → 『遺伝相談と心理臨床:DNAの病気と心のおとしまえ』
 ●患者・当事者の自助グループについて

 当該書の著者は、いつ、どの時点で、どのルートから ●ネット 『18トリソミーの会』 (自助グループ)の存在を知ったのか、そして、会はどのように助けになったのか・ならなかったのか、そのあたりのてんまつが、今月出る本にはなんぼか記されていることを願いつつ。

挿画


 不満点があるとすれば。
 「いのちはプレゼント」である部分が思ったほど前面に出ていない。状況説明で手一杯な感じ。
 死に対する心構えを期待して読まれる向きには肩すかし。
 イラストの処理の甘さが目立つ。エンボスレイヤーの影側をなぜ明度だけですませる。

 類書が少ない点から、これらも些細なこととして及第点。

 お子さんはまだこの世にいらっしゃるのだと思われ。
 良い 物語に恵まれることを祈りつつ。

●●●小玉7●●●

2006/12 追記:
凱晴(かいせい)くんのその後が、今度は絵本ではなく児童書で登場。
◆左表紙
 『命をくれてありがとう ぼくは18トリソミー』

 わたなべえいこ
 汐文社 (2006/12)


2007/06 追記:【日本語ブログ】 18トリソミーと闘う我が子へ
 凱晴(かいせい)くんも登場します


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●情報庫: 遺伝子治療、遺伝病、遺伝子診断 妊娠〜出産 生命倫理 医療





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