※700万年の歩み 人類進化の謎を追う【再放送の予定】
・3/7(火)午前2:30〜3:14 BS2(月曜深夜)
・3/8(水)午前0:00〜0:44 教育(火曜深夜)

ネアンデルタール(旧人)もホモ・エレクトゥス(原人)もアウストラロピテクス(猿人)も白目つき。
アウストラロピテクスなんか指をさすポーズをとらされていたりなんかして、これはどこまで正しいの? 類人猿で指差し指示をする動物は存在するの??
2005/12/24 の NHKスペシャル
「最古の化石 トゥーマイの物語」
(『サイエンスZERO』も同内容を一部紹介)でも、2005年6月29日NHK教育:地球ドラマチック 古代人類ミステリー
『第2回 インドネシア 謎の小型原人』
でも、各種ホミニッドはのきなみみんな白目付きで描かれたり復顔されたりしていた。
ほんとに彼らはそんなヒトのような目をしていたんだろうか?


前に仕事で類人猿の絵を描いていたとき、目がヒトのものとは異なることに面食らって。
チンパンジー、目ぇまっくろじゃん。
ゴリラも。
白目は???
調べてみると、サルには白目がない。白目が見えない。
イヌネコは?
たま〜に目つきが悪いときにほんの少し白目が見えるが、基本瞳オンリー。
人類の進化においても、何やらヒトの「白目」は興味の対象らしいなと気になっていたら、みごとにこんな本が登場してくれた。

『読む目・読まれる目 視線理解の進化と発達の心理学』
遠藤利彦 (編)
東京大学出版会 2005/12
[bk1]
小林洋美・橋彌和秀「2章・コミュニケーション装置としての目 "グルーミングする視線」
これこれ。
ヒトを含めた霊長類の目玉の比較!
概略がウェブに載っている。
進化認知科学連続セミナー2005 第2回 ●霊長類の中で目が一番横長なのはヒト。
●白目が一番露出しているのもヒト。
●白目が文字どおり白いのも、ヒトだけ。
ヒト以外は白目がまっしろじゃない!
「へぇ〜へぇ〜へぇ〜」
しかも。
この事実が確認されたのはなんとごく最近のこと。(小林&幸島,1997〜2001)
誰も白目を調べてなかったのか。
すごいデフォルトな感じで気にされてなかったのか。
ほんとデフォルトすぎ。
フロレス原人 も、
ネアンデルタール人 も、
ホモエレクトゥス も、
ホモ・エルガステル も、
なんかふつーにというか、あたりまえそうにヒトのような白目のある目で描かれ復顔されている。
白目のあるルーシーさん : 拡大図
白目のあるネアンデルタール人さん : 拡大図

●目の横長さ
横長の目は地上生活のたまもの。必然的に水平方向に目を配ることが多いわけで。
樹上生活種は目がまんまるがち。
●小型霊長類では目線ではなく体の動きが察知の主対象。
彼らはモノを見るとき頭ごと振り向くわけで、そもそも「目だけ動かす」ことが少ないわけで。
●ヒト以外の霊長類は「白目が白くない」という現実はすごいな。
白目が目立つと、補食動物回避の上で不利である可能性。
●ヒトにおいては「白目」であることに、不利さを上回るような利点が生じたわけで。
遠距離でも、一目で相手の注意先が見抜ける。
ほとんどからだを動かさなくても、一瞥で相手に意図を伝えることができる。
目線の絶大な威力。
ということで、ここに「ゲイズ・グルーミング」仮説(毛づくろいの目線バージョン)が登場する。
白目の進化と「視線コミュニケーション」がヒト進化に絶大な貢献をしたのではないかと。
ロビン・ダンバーが打ち立てた 「毛づくろいの言語バージョン」はすでに有名で。
それが、「目」も口に劣らず口ほどに物を言っていたわけだ。
幼児の発育においても、目線でのコミュニケーションは不可欠なほど重要な要素。
どうなんだろうな、まだ研究はないのかな、「白目のある目」と「白目のない目」では乳幼児の反応はどう違うのかとか。リンプ・ビズキットかい!

サルの中で今のヒトだけが、「横長白目つき」。
では、ヒトは、人類は、どの段階から今っぽい「横長白目つき」になったのか。
白目の進化、残念ながら、化石には「目の色」情報は残らないので全くの謎。
●眼裂が横に広がった=地上生活をする種
●捕食者回避より、目線情報授受のほうが生存に有利=眼裂から見える白目がまっしろになる
だとすると。
ネアンデルタール(旧人)やホモ・エレクトゥス(原人)あたりは…白目ありだったと…言えそうなのかな?
アウストラロピテクス(猿人)あたりにまでさかのぼるとそーとー怪しいのかも。
いや、どうだろう。
恐竜の体表色なみに永遠に「想像するしかなく」、死者は生者の好みまかせに色塗られっぱなしになるのかもしれない。
...以下つづき...

「1章・総説:視線理解を通して見る心の源流 眼目を見る・視線を察す・心意を読む」
も、「へぇ〜」てんこもり。
この先生もっと著作出して欲しいな。整然としたクールなまとめようがみごと。
● バロン=コーエン の「視線方向検出装置」(EDD=eye direction detector)
「意図性検出装置」(ID:intentionality detector)
「注意共有メカニズム」(SAM: shared attention mechanism)
●視線知覚に関与する脳部位:上側頭溝(STS:superior temoral sulcus)
正視にだけ反応する脳細胞、逸視にだけ反応する脳細胞もあり
「逸視」って、造語?
●ポヴィネリの見解、「チンパンジーはどちらかといえば賢い行動主義者」という表現は言いえて妙。
●心的理解の発達が生後9ヶ月目頃に展開を迎えることを言い表したトマセロの「9ヵ月の奇跡」も面白く。
●心的発達に必要な他者からの働きかけ。
う〜ん、
●自閉症児に社会的参照をする能力が不足していることと、心の理論問題とのつながり。
うわ!
検索してみたら、この第一章に該当する文章、まるまるウェブで公開されている。ありがたや。
読む目・読まれる目:視線理解の進化と発達 遠藤 利彦(京都大学) [PDF]はい、すみません、入門者にはしんどい文体です。
遠藤利彦氏は
海保博之編著「瞬間情報処理の心理学 人が二秒間でできること」福村出版 2000年に寄稿した「4章 瞬時的センサーとしての情動の世界情動のメカニズム」でも「他者の意図検知」について触れている。
人間の認知機能は、生存に重要な情報はすばやく察知できるようになっていると推察され、実際たくさんの顔の中、「怒り」の表情にはやたらすばやく反応するようになっていることを示す実験が紹介される。

当該書『読む目・読まれる目』の目次は以下のとおり。
遠藤利彦「プロローグ・読む目・読まれる目」
遠藤利彦「1章・総説:視線理解を通して見る心の源流 眼目を見る・視線を察す・心意を読む」
小林洋美・橋彌和秀「2章・コミュニケーション装置としての目 "グルーミングする視線」
竹下秀子「3章・視線理解を導く手とまなざし かかわりあう母子の身体「
板倉昭二「4章・視線理解の進化と発達 進化発達心理学の視座」
小沢哲史「5章・社会的情報収集行動の起源と発達 他者の目を通して世界を知るということ」
大神英裕「6章・人の乳幼児期における共同注意の発達と障害」
別府哲 「7章・自閉症児の"目" 視線理解と共同注意のもうひとつのかたち」
長谷川寿一「8章・視線理解研究の意義とこれから」
千住淳 「9章・「社会脳」研究からみる視線理解」
荻野美佐子「10章・視線理解と初期コミュニケーション」
かような主題でまとめた類書がないだけに、これはぜひ一読おすすめ。

追記:
高いステータスの猿は、チンピラの目線を意に介さない
2006/02 EurekAlert High-status monkeys ignore the interests of riff-raff
2006/10 【日本語記事】 毎日新聞 猿人:よみがえる330万年前の顔−−エチオピアで発掘の女児の化石
ナショナルジオグラフィック協会が復顔
2006/10 National Geographic ''Lucy's Baby'' Adds to Early-Human Record
白目つけてます
ヒトの目の色、スニップしだい
SNP(スニップ Single Nucleotide Polymorphismの略 =一塩基多型)
2006/12 BBC News Genetics of eye colour unlocked
瞳の色の遺伝学
60億の遺伝子コード中の2、3の「文字」だけが、ヒト目色における大部分のバリエーションの原因となる。
関連
参照
その後の追記:
NHKや国立科学博物館は、ヒトの先祖の目を「黒目だけ」に作るようになったらしい。
![[ EP: 科学に佇む心と身体 ]](http://homepage1.nifty.com/NewSphere/transparent.gif)







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