(こんな件で工作舎の名を騙る人はいないだろう)
ここに2冊の本があります。


『科学史から消された女性たち ノーベル賞から見放された女性科学者の逸話』 ブルーバックス 大江秀房著 講談社 (2005/12) [bk1]
『科学史から消された女性たち アカデミー下の知と創造性』 ロンダ・シービンガー著 工作舎 (1992/10)
メインタイトルが同じです。
ブルーバックスのが新刊情報で流れたとき、「なんやそっくりやなぁ、二番煎じかぁ、読む必要ないっぽいなぁ」とか思ってスルーしていたんですが、これどうやらかなりの「盗作」を含んでいるらしい。

…なんだろう。
ふつう、剽窃するならタイトルは変えるよなぁ。

...以下つづき(2006/03/05追記更新)...

状況は「国際的な著作権侵害」ということに。
2章ぶんつままれているという本はこちら。
この本の場合は邦訳ではなく原書から盗ったらしい。


『Nobel Prize Women in Science: Their Lives, Struggles, and Momentous Discoveries』 Sharon Bertsch McGrayne (著) (March 1993)
『お母さん、ノーベル賞をもらう 科学を愛した14人の素敵な生き方』 シャロン・バーチュ・マグレイン著 工作舎(1996/09)
被害は複数の著作にわたるのかな。
この状況に気づいている人はどのくらいいるのか、ちょっと検索してみたけれど、だめだ、廉価なブルーバックスは手を出し安いんだろうけど、シービンガーや「お母さん…」を読んだことがない人多すぎ。

そういう私も、まだブルーバックスのほうを中見てないんだけど。
ブログ系のページ二つ
資格・技術の本の森
あと、数日前に
「知られていないと銘打たれてはいるが、
その筋では知らなきゃもぐりなほどの有名な女性たちばかりだ」
との旨の書評を書いていたブログを見かけていたんだけど、どこだったか紛失。
もしかしたらすでに工作舎さんからの連絡があってエントリを削除なさったのかもしれない?
現状は、工作舎側が講談社に
・回収・絶版処置
・回収・絶版の告知と謝罪の新聞広告
を要求している段階。
…出版から2ヶ月経っての展開。
何か情報をお持ちの方、よろしゅう。
シービンガーの『科学史から消された女性たち アカデミー下の知と創造性』はオススメです。


追記(2006/02/21夕方):やや混乱させているかもしれず蛇足ながら。
『科学史から消された女性たち』が『科学史から消された女性たち』を盗作しているという話ではなく。
『科学史から消された女性たち』と同じ書名の本が、『科学史から消された女性たち』の出版社が関わる著作物その他をつまんでいるらしいよ、という話です。

追記(2006/03/01):科学史MLの蔵田氏@北大経由で下記アナウンスを受け取りました。
文面を改変しなければ転載自由とのこと。
緊急のお願い
◎科学史から消された女性たち事件(転載自由)
工作舎の十川と申します。
大江秀房著『科学史から消された女性たち: ノーベル賞から見放された
女性科学者の逸話』 (講談社ブルーバックス、2005、以下『大江本』)は
帯に「科学は男だけのものなのか?」と立派なスローガンを掲げながら、
内外の(主に)女性研究者・翻訳者の地道な仕事を剽窃・隠蔽した
一著であることが明かになりました。
みなさま、お手数ですが、ぜひ講談社社長宛に抗議文をお送りくださいま
すとともに、各種メディアでもこの事実をお披露目くださいますよう、お願い
申しあげます。
1 『大江本』はロンダ・シービンガー著/小川眞里子他訳『科学史から消され
た女性たち』(工作舎)のタイトルおよびテーマを剽窃しながら、この「ジェンダー
と科学」の名著の存在を示さない。
2 『大江本』の冒頭の総論は、小川眞里子著『フェミニズムと科学/技術』
(岩波書店)および同氏のエッセイ「10人の女性ノーベル賞受賞者」(03年ベス
トエッセイ『うらやましい人』文藝春秋、収録)の論旨および文章を剽窃。
典拠に『フェミニズムと科学/技術』をあげるのみで、エッセイの著者名と
タイトルを隠蔽。
3 『大江本』の呉健雄(チェン・シュン・ウー)とジョスリン・ベルの章は、
シャロン・バーチュ・マグレイン著/中村桂子監訳『お母さん、ノーベル賞をも
らう』(工作舎)の原著からかなりの部分を盗用。かつ邦訳書の存在を隠蔽。
4 『大江本』のキャロライン・ハーシェルなど19世紀以前の記述は、マーガ
レット・アーリク著/上平初穂他訳 『男装の科学者たち』(北海道大学図書刊
行会)からかなりの部分を剽窃。
5 『大江本』のラボアジエ夫人マリー=アンヌの項は、川島慶子氏の論文「マ
リー・アンヌ・ラヴワジェ」を参考にしながら、著者名・論文名を隠蔽。これらの
研究成果をまとめた同氏の著書『エミリー・デュ・シャトレとマリー・ラヴワジエ:
18世紀フランスのジェンダーと科学』(東京大学出版会)も無視。
また上記『男装の科学者』および、中川鶴太郎著『ラヴォアジェ』(清水書院)か
らも剽窃。
6 『大江本』はアインシュタインの最初の妻ミレヴァ・マリッチを取りあげな
がら、彼女の科学的貢献を初めて全世界に知らしめたデサンカ・トルブホ
ヴィッチ=ギュリッチ著/田村雲供他訳『二人のアインシュタイン』(工作舎)
については、「ユーゴスラヴィア人女性伝記作家デサンカ・ツルブオ
ヴィッチ=ギュリック」の「著書」にふれるだけで、原著名も邦訳名もあげず、
女性訳者たちの訳業を無視。
☆「ジェンダーと科学」についてポピュラーな書物が出版されることは、本来で
したら悦ばしいことですが、
著者みずから本の趣旨にはずれた行為をするのは、許せません。2月17日付で
講談社社長宛に『大江本』に関する「回収・絶版・謝罪要請書」を送付しましたが、
27日現在、何の返答もありません。
どうかご支援賜りますよう、お願い申しあげます。
◎抗議文送付先
112-8001
東京都文京区音羽2-12-21
株式会社講談社 代表取締役社長 野間佐和子
紹介者の 蔵田氏もML上で、例えば「である調」を「ですます調」に変えた程度にしか見えないアレンジで、内容的にはそっくりなものが載っている箇所を挙げ(小川眞里子著『フェミニズムと科学/技術』岩波p.68 と p.17『科学史から消された女性たち』)、
「一語一句変えていないわけではない、
だから「盗作」ではないと言い張る学生のレポートみたいですね。」
「法的には問題はないのかもしれませんが、倫理的にはかなり問題があると思います。」
と述べていらっしゃいました。
うちのサイトの内容も某大学の学生の卒論に無断コピペされていたことがあったし(たまたまその卒論がウェブ公開されていて発覚)、「言い張る学生のレポートみたい」というのが、なんとも「ああ、頻発しているんだなぁ」みたいな、先生さんがたも大変ですね…。


追記2006/03/03
今、有志が「講談社担当・著作者・十川氏」の間に入って交渉は進展しているもよう。
エントリの表題を
盗作「科学史から消された女性たち」事件
から
盗作の境界はどこ「科学史から消された女性たち」事件
に更改。(ごめん更改したつもりで更改してなかった:03/05未明に訂正)
ML上に出た意見、私の感想もまじえて以下。
・一般向けに噛み砕いたショートバージョンをこしらえる場合、「翻訳・翻案」に近いケースが生じるのは致し方ないのか。
・「参照」と「違法」の境界はどこなのか。
・科学啓蒙の利点からすれば、ブルーバックスという利点も見逃しがたい
・いまどきのブロガーの読書は、アフィリエイトの関係もあって
すぐ読める
耳目をひく内容の感想を書くことができる
手軽に買ってもらえる
新刊
に集中しがち。
ブロガーの主流層は20代前後であり、シービンガーなど古い本にはそうそうは手は伸びないと思われ、ブルーバックスのような文庫版や新書版で新版が出ることには充分に意義はあるのだろう。
・と、大局的に科学啓蒙の利点から斟酌するべき点もあろうが、著作者間のマナー云々とはまたそれは別の問題。
・参照した文献全てを参照元として挙げきっていない例があるらしく、そこは明白な手抜かりかと。
・これは絶版回収にまで持ち込むべきケースなのか。
それともしかるべき謝罪の上「参照元」や「引用元」を補填した改訂版を出せばすむ例なのか。
・著作権的に問題がある場合、法的に有効な異議申し立てができるのは著作権利者のみ。
・第三者がいっしょになって抗議文を送らねばならない理由がよくわからない、二匹目のドジョウを乱発するなといういちゃもんを外野が送り付けるのもなんか変だし。
・「抗議文を送れ」いざないは…もしかしたらフェミ傾倒者あたりによくある「いっしょになってあの悪者を標的に」みたいな何かに火がついちゃっているのかな。
・それと、十川氏はこれまで多数の面識のない人々にメールを送りつけていたようだけれど、始末というか、すべての送信先に後日、迷惑謝罪がてら「おかげさまでその後こうなりました」みたいな一報は配っておいて欲しいな。ショック受けてたブロガーもいるし。

いやいやいや。
この事件のオチはこちら。
へぇボタン:へぇ〜
と押してみるもよし
![[ EP: 科学に佇む心と身体 ]](http://homepage1.nifty.com/NewSphere/transparent.gif)







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