強制捜査を受けたライブドアの株価操作がらみ?でエイチ・エス証券の副社長・野口英昭が自殺するというショッキングな報道があったが、それも日本的なサラリーマン自殺の典型の範疇なのであって
2006/02 Japan promises to curb number of suicides
McCurry J
The Lancet - Vol. 367, Issue 9508, 04 February 2006, Page 383
まあ今、 他殺説が騒がれてはいますけれど。
このランセット記事の中で:カウンセラーの斎藤友紀雄氏(日本自殺予防学会 理事長) 曰く
「ドイツやイギリスで効果を発揮した方法論を「命の電話」で実践してみたいのだが、
問題はいまどきの日本の若者はネットとケータイばかりで外部と向きあわず
現実世界と関わらないことで。」
「命の電話」を使うよりは、ケータイやネットに行ってしまうだろうと。
何より問題は「こころの病」に対する偏見がいまだにでかいこと。
心のお医者のJim Goodwin 曰く「日本はハラキリ文化のゆえに、うつという病の把握をよっこしている、とNHKの取材で答えたらドンビキされた」
「気分を薬でどうこうするという西洋的発想は、日本人的には受け入れがたいのだろう」
文化的に誤解があったら私の西洋頭を平にご容赦をとおっしゃっているが。

ワシントンで学会に出席したRon Roizen 曰く、「苦痛や苦しみ、悲しみは、人間の本来の在り方ではないので最小にすべきだ、という西洋精神医学の前提が、日本人にとっては異質な考えなのだと、日本のおえらい精神科の先生に示唆されて驚いたことがあったんだけど。」
ええっ? やっぱアメリカ人には「暗い人=異常」!?

世にはびこる”明るくなきゃダメ”圧力もとより、アメリカさんあたりは「能天気マンセー」な傾向が強いお国柄。
明るくて積極的な態度が、アメリカでは「正常」
2000/08 NEW YORK TIMES Seeing Pessimism's Place in a Smiley-Faced World
2000/08 THE TELEGRAPH Looking on the bright side can be bad for you
ちょっとでも暗いと「ダイジョーブですか?」「どこがオカシーようだなエンガチョ」などといらぬもんちゃくになりかねない。
で、「そりゃそうだよ、苦痛や苦しみ、悲しみも人間の本来の自然なありようなのだから」と言う進化心理学RKS(イギリス人?)からのツッコミ。西洋式にうつ状態を嫌ってなんでもかでも病院に駆け込むのがいいか、東洋的にうつ状態を看過して放置するのがいいかは、そんな簡単に語れるものじゃないけどね、と。
...以下つづき(2006/02/08初稿、2006/02/09追記、2006/02/10改稿)...

そいでもって、Ajai Singhから「切腹」についての詳しい解説、利他的な要素が認められる儀式だと。え〜と、切腹が、ベトナムの僧侶焼身自殺やインドの サティ(夫が死ねば妻も焼身自殺する義務)と同列に論じられている?
ああ… もしかしたらあちらさん的には「利他的な自殺」というものがありえなく想像の範疇外で、それでいまさらに「利他的な意味合いを持つアジアの自殺行為」としてハラキリを並列させたのか…!?
そういえば、西洋では、ハンストはあっても「抗議の焼身自殺」例は見聞きした覚えがないような…
先週も
文化人類学と進化心理学の先鋭であった希有な作家、ティプトリーの「衝突」(J.Tiptree Jr. "Collision" 1986)。
そこに登場する”理解を超えたエキゾチックな儀式としての利他的自殺”を想起する。

西洋から見た東洋のうつ病。
心の病のお国柄
アメリカ人、半数以上は死ぬまでに狂います
中国や日本がうつ病率低いのはなぜ
西洋とは逆に日本では男のほうがうつ病率高いのはなぜ
2005/06 New York Times Who's Mentally Ill? Deciding Is Often All in the Mind
「ココロモカゼヲヒキマ〜ス」
「気」の国のうつ病 自責や後悔を薬で治す?
ココロのカゼと称して日本に抗鬱薬を売り込む製薬企業たち
英語の「デプレッション」と日本語の「うつ」の大きな違い
ニューヨークタイムスが木の実ナナから2ちゃんねるまでご紹介
仏教は「生は苦である」とし、悲嘆の受容を奨励して幸福の追求を貶めた
いや、西洋とは違って日本文化においてはうつや弱さは悪者ではないのだ
「臨床人類学」のアーサー・クラインマン
河合隼雄 高橋徹 「真昼の悪魔」のアンドリュー・ソロモン
トーマス・ハーディ曰く、「我々が科学によって得るものは、畢竟悲しみなのだ」
そして、科学はその「悲しみ」さえも、薬で奪おうとしている。
2004/08 New York Times Did Antidepressants Depress Japan?

そして、東洋と西洋のはざまにいる者が説く、「東洋と西洋で違ううつ病の認識」。
長いインタビューです。
この先生は N.Y. Coalition for Asian American Mental Health の設立メンバーらしい。03/30/2005 From Medscape Psychiatry & Mental Health
Eastern vs Western Perspectives on Depression: An Expert Interview With James C.-Y. Chou, MD
「東洋の医学は身体を診るものであり、心が病にかかるというとらえ方は文化的になじみが薄い」
「心の変調を、体の変調として訴えることが多いのも、心の病だとみなされると長期入院と偏見の恐怖にさらされるゆえ」
「ひとたび心の病だとみなされると、その家系全体に偏見が降り注ぐ」
「家族に自殺企図者が出た場合、まず隠すか、語らない。なかったようにふるまってしまう」
「アジアの患者を救おうとするならば、家族に焦点をあてなければならない」
対西洋の構図において、ハラキリ解釈で日本の自殺を論じるのはかなりピンぼけであることがよくわかる。

今読んでいる本に、
・社会的自殺(ハラキリ)
・個人完結的自殺(哲学的?)
という自殺の2種別が挙げてある。
慥かにこの2つをゴッチャにして論じると、冒頭のドンビキNHKみたいになっちゃうよなぁ…。
本を読み終わったらまた追記するかもしれない。






人はどうして死にたがるのか 「自殺したい」が「生きよう」に変わる瞬間/真昼の悪魔 うつの解剖学/「うつ」からの社会復帰ガイド/自殺の研究/自殺した子どもの親たち/抗うつ薬の功罪
![[ EP: 科学に佇む心と身体 ]](http://homepage1.nifty.com/NewSphere/transparent.gif)







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