●第1章:成澤光「日本における遺伝看護とELSI」
第1章は、日本における遺伝カウンセリングと資格制度について、そして日本より先行しているイギリスやアメリカの遺伝カウンセリングの現状ご紹介。
日本では、制度も資格者のポジションも、カウンセリングの必要性の認識も、まだまだ希薄げで。

『法と遺伝学』
和田幹彦編著
法政大学現代法研究所叢書
法政大学現代法研究所 / 法政大学出版局 2005/04
[bk1]
●遺伝カウンセリングって何だ?
日本遺伝カウンセリング学会 遺伝に関わるいろいろな悩みや不安についての相談、
遺伝子検査・遺伝子診療についての相談を承ります。
…ううむ、この日本遺伝カウンセリング学会には
設立の歴史 が記してあるのだけれど、いまいちくどくどしく読みとりづらい文章になっていてよくわからん。簡単に言えばこういうことなのらしいのだが… ↓
日本では従来、日本人類遺伝学会が「臨床遺伝学認定医」を、日本遺伝カウンセリング学会が「遺伝相談認定医師カウンセラー」を並立させていたが、2002年4月から両学会が共同して「臨床遺伝専門医」制度を発足させた(歯科医師は「臨床遺伝専門歯科医」と認定される)。
p.18-19 第1章:成澤光「日本における遺伝看護とELSI」
そうか、
「日本人類遺伝学会」 のほうも見ておかないといけないわけですね。日本遺伝カウンセリング学会では、「臨床遺伝専門医」と「認定遺伝カウンセラー」の
2つの資格を認定 なさっているらしい。これまた説明がよくわからないのだが(「日本遺伝カウンセリング学会」と「日本人類遺伝学会」がまぜくたに関わっているからか?)、
「臨床遺伝専門医」=お医者
「認定遺伝カウンセラー」=医者ではないがカウンセラー(相談役)
ってことなのかな?
あれ。
日本人類遺伝学会のほうでは「臨床遺伝専門医」と「認定遺伝カウンセラー」に加えて、
臨床細胞遺伝学認定士 という資格もあるらしい。
でもって、「認定遺伝カウンセラー」は
『平成17年4月1日より認定遺伝カウンセラー制度が正式にスタートしました。』 ※
なのだそうです。まだ一年もたってない。
胎児の遺伝病、相談して…産婦人科学会
2005/05 【日本語記事】 読売
去年の4月かぁ、と、 過去記事庫を見に行ったら、上のような”遺伝カウンセリング実施施設と担当医の一覧を日本産婦人科学会の会員専用ページなどに掲載する予定”との旨の記事があったので、
日本産婦人科学会 を見に行ったけど、どこにあるのやらないのやらさっぱりわからなかった。
会員ってのは産婦人科医のこと?
一般向けには「どこが遺伝カウンセリング実施施設なのか」はお知らせしないものなの?
というか、一般向けQ&Aのページさえ工事中のまま未着手だったりしてるけど。>日本産婦人科学会
ああ、いかん、それよりも。
過去記事庫には、『平成17年4月1日より認定遺伝カウンセラー制度が正式にスタートした。 ※』 その記録がないぞ。
報道もなくひそか〜に始まった制度だったのか?
私が報道を拾いのがしていただけ?

もしかして、…ちょうどそのころは巷が「警察が容疑者のDNA情報をデータベース化するぞ」と騒いでいた時期だったので、おおっぴらに告知するのははばかられたとか何か?
なんかよくわかんないな。
このスジ、調べようとするとどうしてこう「?」ばかりが増えるんだろ?

ほかの調べものではあまりこんなことはないのに。
なにかがこじれてるとか?
とりあえず「第1章」の話に戻るとして、
...以下つづき...

日本は後進国。 だな。 上の「?」の多さからしても。
で、そのアメリカとイギリス、それぞれに資格とその役割が違っている旨、紹介が続く。
位置・役割と責任範囲の明示。
[アメリカにおける遺伝看護師の責務の中の一項目として]
・他のすべての医療専門職と協力して、クライアントに最高レベルの遺伝関連ヘルスケアを保証するため、プライバシーと遺伝情報の守秘義務を保証する業務指針の新設を擁護し、遺伝子研究用の組織サンプルの使用に関係する法的・倫理的問題に関して情報を提供し、放棄された組織や細胞が遺伝情報源として利用され、その遺伝情報が雇用者あるいは保険会社に利用されるさまざまな方法について啓蒙し、遺伝情報がエスニシティ、人種、ジェンダー、あるいは他の社会的条件にリンクする結果として、汚名を着せられることや差別の可能性について意識を高める。
p.38 第1章:成澤光「日本における遺伝看護とELSI」
うわ。かっこいい!
ところが、これを紹介した直後に、筆者はこう述べるのであって。
以上を要するに、クライアントの遺伝情報に関わるプライバシー擁護や守秘義務について、看護職の役割がきわめて重要であることを、日本の現状からは想像もできないほど広範囲の分野について強調している。
p.38 第1章:成澤光「日本における遺伝看護とELSI」
「日本の現状からは想像もできない」。

充分な権限も、ポジションも、得られてない?
筆者は”遺伝カウンセラーを養成することによって地位を確立していけるだろう(p.38大意)”と希望的観測を述べているけれど、 え、 もしかして、 これ
「権限はないけど資格をあげるから、各自の努力で権限を開拓しておくれ」
ってこと???
まずは形だけってこと? 肩書きを作れば中身もできてくるだろうと…?

[遺伝カウンセリングについて]医療者の抱いているイメージも同一ではない。「遺伝カウンセリングとは何か」という命題に答えるのは容易ではないが、その定義としては「遺伝医学に関する知識およびカウンセリングの技法を用いて、対話と情報提供を繰り返しながら、遺伝性疾患等をめぐり生じうる医学的または心理学的諸問題の解消または緩和をめざして、援助や支援をすること」といった考えが一般的である。
p.69 第2章 第4節 田村智英子「遺伝カウンセリングとは 十分な遺伝カウンセリングが提供されていたら」
うわあ。
権限や位置以前に、まだ「遺伝カウンセリングとは何か」さえも、日本では容易に答えられないほどあいまいな状態なのか…!?
「遺伝カウンセリング体制」を切望する臨床医のなかに、告知そのものを委託したいとする希望もあるようだが、それは遺伝カウンセリングに対する誇大妄想である。
p.60 第2章第2節 武藤香織『「確率」を引き受けるための支援 「生活上の知」から』
医者からして、遺伝カウンセラーは「告知屋さん」をやってくれる人達なのだとカンチガイしている場合がありますよと。
はああ。
●先進医療をやっている大きな大学病院なんかだと、「遺伝子診療部」を作ってきちんとした遺伝カウンセリングや遺伝子診療を行っているけれど、『このような体制は全国的にはまだまだ少ない(p.20)』。
黎明期なのか、まだ。
需要を発掘しきれてないのか、それとも需要に応えられていないのか。
権限もあいまい。位置もあいまい。肩書きはある。でも役割をカンチガイされがち。
なんか… しんどくない?
しんどくなって調べる気も萎えてきてしまう…。

遺伝カウンセラーが助けてくれること:
遺伝カウンセリングの欠落からこんな訴訟が:
日本における遺伝カウンセリングの実施例を収録:
今回入手が間に合わなかったけど、目を通しておきたかった一冊。

『遺伝相談と心理臨床』
伊藤良子監修
玉井真理子編集
金剛出版
(2005/09/26)

遺伝カウンセリング関連の読み物
2005/07 読売 着床前診断 欠かせぬカウンセリング
遺伝子検査はアルツハイマー患者の子らの不安や気分障害を増加させはしない
2005/06 EurekAlert Gene testing doesn't increase anxiety, depression in children of people with Alzheimer's
遺伝子検査で苦悩する患者と家族たち
血縁者に検査結果を開示すべきか否か 開示のタイミングは
2005/05 EurekAlert Genetic testing divides families
遺伝子検査時代の家族ヘルスケア
2005/02 EurekAlert 21st Century model of healthcare focuses on the family before and after genetic testing
スクリーニングとカウンセリング
2004/12 EurekAlert Screening for genetic disorders: Need to avoid anxiety
2004/07 EurekAlert Virtual counselor supplements traditional genetic counseling

…それにしても。
「生命政治論」って何だ?
グーグル力(ぐーぐるりょく:検索ヒット数)がかなり低い言葉のようだけれど、ごく一部の人たちだけが使っている造語?
この本の第1章の筆者をぐぐると出てくる言葉(分野名)なんだけど、…もしかして、法政大学ローカル?

【追記】その後の関連記事 追記:
2008/12 【日本語記事】日経BP「個の医療」
遺伝変異はどこまで疾患の原因になりうるか
遺伝カウンセリングを実施している施設は全国に168
臨床遺伝専門医は537人、認定遺伝カウンセラーは17人に限定
8大学に遺伝カウンセラー養成大学院コースがあり、修了者は年間30〜40人
まだまだ不十分
![[ EP: 科学に佇む心と身体 ]](http://homepage1.nifty.com/NewSphere/transparent.gif)







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