人間を死なす人間も、男が多い。
![]() 「介護殺人 司法福祉の視点から」 加藤悦子著 クレス出版 2005/03 |
介護疲れから、行き詰まりから、慈悲の心から、あきらめから、被介護者を、介護する人が殺すもしくは死ぬがままにまかせる。

介護殺人の実態は明らかにはなっていない、定義も実数の把握も困難な状態。
この著者は、
「親族による、介護をめぐって発生した事件で、被害者は60歳以上、かつ死亡に至った」p.43
と便宜的に定義している。(つまり被害者が若い場合は含んでいない)
記録されたケースから出てくる特徴は、主に男が手をくだしている点。
介護する立場に置かれた「男性」が、女性に手をくだす。
4年前の報告を思い出す。
安楽死と性差 多いケースは「殺す人は男、殺されるのは女」
2001/09 Scientific American: In Cases of Euthanasia, Men Most Often Kill Women
もとより、家庭内で起きる殺人も、男性が女性を殺すケースが大半を占める。
が、そういう一般的殺人事件をよっこしてこの介護殺人における性差の原因を考察すると:
...以下...

高齢者虐待
・きまじめな近親者の男性
┗妻の世話は夫の勤め、母の世話は自分が、みたいな思い詰めがある
でも家に女手がないことをつらく感じている
(女じゃないと無理だ、妻が、母が、元気だったら…)
・日課の介護作業は大変であり、
もうこの先続けられそうもないと感じている
(半数以上は介護する側が60歳以上の高齢者)
・介護の動機づけを、過去の貢献に対する感謝、
そして人間愛と憐憫だとみなしている
そういうパターンが多いことに加えて、・半数以上は、介護側も病気や障害を抱えていた
(介護者が親の場合に多い)
・加害者が息子の場合は、
「カッとしたはずみ」でやってしまったケースが目立つ
・介護者への負担が増大したときに起きる
という要素も。
・「自分の思い通りに介護したいという気持ち」が強い介護者が、
追いつめられた状況に陥りやすい。
もとより男性は「自分の管轄内のことは自分で統べる」ことにこだわる傾向を持ちやすい。
SOSを出さないまま自分一人で行き詰まる上に、被介護者の命まで「自分の管轄内のもの」とみなしがち。
「妻を看る夫」「母を看る息子」ではなく、「あなたは不遜にも他者の命を自分の管轄内のものだとみなしているのだ」と指摘された場合、はっとしてくれるだろうか。
「他人にすがってもいいんだ、ギブアップを開示しても恥じることはない」と諭してもわかってもらえるだろうか。
福祉や司法は人の心のなにを取りこぼしているのか。
思い出すのは
テリー・シャイボのケース 。別れた夫が、家族の反対を裁判で退けて、尊厳死させた女性。…通文化的に、男は女の命を…

「安楽死」を考えるようなことがあった場合、介護する人間が女性だったらことは違っているのではないか、と省みる冷静さを持つ余裕は …あるだろうか。

当該書に上記がすべて記してあるわけではない。
「一般的にも、殺人者は大半が男」とか「男は管轄内扱い好き」などについては手元の他の資料をもとにした私の論。
その後の関連記事追記:
2008/10 【日本語記事】JanJan 高齢女性への男性からの虐待が増えている理由とは?

![[ EP: 科学に佇む心と身体 ]](http://homepage1.nifty.com/NewSphere/transparent.gif)







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