

『日本人は宗教と戦争をどう考えるか』 橋爪大三郎 vs 島田裕巳著 朝日新聞社 2002/09 [bk1]
『宗教常識の嘘』 島田 裕巳 (著) 朝日新聞社 ; (2005/10/13) [bk1]
この2冊、拝読いたしました。
しんどいです。
順としては、『日本人は宗教と戦争をどう考えるか』の 橋爪 vs 島田 対決があって、そのあとに島田の『宗教常識の嘘』が著された。
その前に

「世界がわかる宗教社会学入門」
橋爪大三郎著
筑摩書房
2001/06
を読んでおくとより良いかも。
軽くすませたい人は、『宗教常識の嘘』だけ面白いところをつまんでおくと吉。これだけであればしんどくありません。
『日本人は宗教と戦争をどう考えるか』の 橋爪 vs 島田 対決は、難物でした。
橋爪さんが喧嘩腰です。
島田さんののらりとした物言いにイライラ焦燥してなんとか焼きとカツを入れようとしています。

宗教学よ、しっかりしてくれ。
宗教学者は、応えなければならない。
宗教学は、この点を明らかにして欲しい。
すうっと島田さん@宗教学が見解を述べれば、橋爪さんが釘を刺すようにたたみかける。
対談は2002年春。
9・11テロがくすぶっていますし、なんぼかオウムの一件も引きずっています。
『日本人は宗教と戦争をどう考えるか』 p.274-275その思いに、島田氏の『宗教常識の嘘』は、応えているのかいないのか。
【橋爪】 だからね、島田さんの宗教学に期待したいのは、日本人はこれだけ宗教が問題になっていながら、なぜいつまでたっても宗教の基本的な原則について、こんな本が出なきゃならないぐらい、あんまり知識や理解が少ないのか。いろいろな出来事が起こっても、なぜあまりそこから学べないのかということを、なんとかうまく説明してみせてほしいということです。切にそう思います。
...以下つづき...

『日本人は宗教と戦争をどう考えるか』 p.275
【橋爪】 私が言っているのは、単に記述するだけではなくて、その来歴を描きだすということ。来歴や系譜を描き出すならば、そこにそうなった理由が列挙してあるわけだから、そこから逃れる方法もいろいろ見えてくるわけです。日本社会史、日本思想史、日本宗教史はそうやらないと書けないのではないか。なぜ日蓮が、自分は仏教経典の最終解釈権をもっていると信じたのかとか、なぜ聖徳太子が十七条の憲法を書いたのかとか、そういう歴史的・社会的文脈を明らかにするという作業でしょう。
明らかに?
釘づけて定める?
橋爪氏はもしかしたら京極堂の役回りを宗教学に期待している?
わけのわからぬ<呪>に巻き込まれて苦悶している我々そして社会、その<呪>を根からしかと説きほどいて解体する足がかりを提供してくれと。
…「なぜ」はあくまで「今共有しうる解釈」でしかありえないのであって、いくらどんなに解体したと思っても、それは新たな<呪>を上書きするだけで<呪>がさらに厚くなりこそすれ、今が次々に変質していく限り解け切りはしないような気もするのだけれど。
…うむを言わさないような「もののみごとな<呪>」をばっつりかけて、それが皆に「根だ」と信じ込まれる、それが望みに含まれているのだろうか。
『日本人は宗教と戦争をどう考えるか』 p.36-37そんな宗教学だけれども、宗教を学術している者は、社会から、再々、社会貢献、社会調伏を求められる。
【橋爪】人類学には、文化相対主義(西欧の文化も現地の文化も、文化という点では同等だという考え方)の割り切りがありますけれども、宗教学はそこまでの割り切りがないので、宗教の定義についても失敗するし、宗教学の構築に失敗する構造になっている。
宗教を釘づけてくれ。
来歴を明らかにしてくれ。
それを一般にもわかる形で提示してくれ。
その要望に対する一つの答えとすることも含めて、島田氏は『宗教常識の嘘』を著したのだろうか。
なんぼか『日本人は宗教と戦争をどう考えるか』と内容も重複している。(というか、彼的に毎度の十八番ネタ?)
平易な記述。
キャッチーなトピック選び。
日本にありがちな宗教無知、宗教誤解のご紹介、日本の位置のカンチガイ、宗教学とは、宗教を学問する分野とは…。
肩すかし?

それにしても政治。
社会。 と 宗教。
靖国、神道と政治の「作為読み」、企み読みにこだわる橋爪氏。
ドロワの 「虚無の信仰」に感じ入る島田氏。
レベルが、違う、いや、次元?
んん、それ以前に。
なんかこう、『日本人は宗教と戦争を…』の対談を読んでいると、学問と性格って、表裏一体なのかなぁと思ったりしてしまう。
性格は、どうなんだろう。
性格に及ぼす遺伝の影響は、成人以降に特に顕著になるという話もある。
敵対的&断定的&分析的な物言いになりがちな性格、道理やバランスよりはカタログ蒐集に惹かれる性格、事物よりは人的評価の応酬(授受)に拘泥する性格、物語を編むことに終始する性格、ことごとに作為を見てしまう性格、変遷なりゆきをそのまま味わう性格、それぞれに、本人が受容する学問分野、受け入れてもらえる分野、伸びることができる分野は、違ってくる。橋爪氏は宗教からは入らなかったろうし、もとより島田氏は社会学を目指しはしなかったろうし。

『日本人は宗教と戦争をどう考えるか』。
『宗教常識の嘘』。
どちらも、「へぇ〜」には使える本。
宗教という概念はヨーロッパ産。
初詣の人数は、宗教行為に換算すると世界的にも異様に厖大。
宗教の実際的な定義はどうすればよいのか。
集団の自他の区別と、宗教の機能。
(進化心理学がからむとまたややこしくてかなんのだろうけど、進化心理学を混ぜたネポティズム三者面談も、可能ならちょっと見てみたい感じ:恐いモノ見たさ)
日本的な無自覚宗教の異様さ。
こないだまで仏教の信者であった天皇家…。
「世界がわかる宗教社会学入門」と三冊セットで読めば吉。
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