
『ヒドラ 怪物?植物?動物!』
『共生細菌の世界 したたかで巧みな宿主操作』


『ヒドラ 怪物?植物?動物!』
山下桂司 著
岩波科学ライブラリー 生きもの
岩波書店 (2011/6/29)
ヒドラ (Hydra) とは、刺胞動物のうちヒドロ虫綱花クラゲ目ヒドラ科に属する淡水産の無脊椎動物の総称である。
または広くヒドラ亜目のものを指す場合もある。
あるいは、ヒドロ虫綱の動物でポリプがよく発達するものについて、そのポリプのことをまとめてこう呼ぶ場合もある。
~ヒドラ (生物) - Wikipedia
要するに、クラゲやイソギンチャクの仲間についてのご本。
これがまた、たいへん楽しい内容がいろいろ詰まっている。
水槽の困ったちゃんヒドラ
爆弾どろぼうウミウシ
ピンポンダッシュするイソギンチャク
ヒドラとヒトら
イキのいいキャッチーな表現、擬人化アンテナもピンピン。おまけに、読み手はみんながみんな「ヒドラの美しさに魅惑される!」と決めつけて筆を走らせているのが傍目にとても「ご馳走様ー」。
「ヒドラ愛を世界に振りまく妖精さん」が書いたような、とまで嘆息しかねないおちゃめな読後感。読んでいる側がホント乗せられてしまう。
実体顕微鏡でのぞいてみれば、淡い透明なピンク色をした花のようで、震えるほどに美しく神秘的な姿をしています。
微細繊細キラキラぽよぽよ、水中の美しい花形動物たち「ヒドラ」。
刺胞細胞の巧妙なメカニズム、同種個体を敏感に察知判別する謎の感覚、いとも簡単にイソギンチャクを剥がしとるヤドカリの妙技・・・
ヒドラは、切り刻んでもすり潰しても元通りに再生でき、さらに若返り能力や生き返り能力さえももつ、不老不死ともいえる生き物です。
そのくせ、海にすむヒドラを水道水につけたりすると一瞬で死んでしまったりするのです。
ポンポンと興味津々な異種生物世界のリアルワンダーランドが炸裂する。
巻末には「夏休みのヒドラ観察」指南もカラー画像つきコラムで収載。
容器があったら、新しい海水を入れて、採取してきたヒドラ類のポリプらしきものを移して、一つずつ観察しよう。ほんのり黄色かピンク色をした、透明感のある、細めのイソギンチャクのような小さな花がいっぱい見えたら、あたり! 水にすむ
美しい永遠の命の花、ヒドラ類だ。最近では、海の生物を勉強している大学生ですら、海のヒドラ類を知っている人はとても少なくなったから、見つけられたら、結構すごいぞ。
リアルワンダーランドは手軽にお宅にお持ち帰りできるのです!
ささ、海辺へどうぞ!
ヒドラ棲息現場にいざなわれます。
文面は、はなやかに踊りまくるだけでなく、要所はきちんと締めている。
後半には一転、すこぶる丁重に、昭和天皇のヒドラ研究について語るくだりありいの、そして国際的規模で進行しているゲノム解析込みのヒドラ研究プロジェクトや掲載論文の最前線アピールありいのと、ひととおりヒドラについて走りぬく。
ぬかりはありません!
昭和天皇が採集されたヒドラ類の標本は約5000点、プレパラート標本は一万点以上にのぼるという。
これらの資料や標本は、現在、国立科学博物館の昭和記念筑波研究資料館で大切に保存され、分類・整理がすすめられている。
また、生物学御研究所でのご研究のようすは、昭和天皇記念館(立川市、昭和記念公園内)の展示室や新江ノ島水族館の展示物で、うかがい知ることができる。
私の知るヒドラ類の研究者はみな、ヒドラ類はとても美しい、という。
昭和天皇も、ヒドラ類の美しさは十分に感じておられたにちがいない。
(多少文言を削るなどしたものです、原文そのままではありません)
皇族のご威光もふりそそがれて、いやましに輝くヒドラたち。

ヒドラ愛を謳い、研究の楽しさをはじかせる、「めちゃめちゃ楽しくこの先生研究してるんだろうなー」と思わせる一冊。
本書は、ヒドラ類のポリプに焦点をあてて、一般の方々に向けて書かれたものとしては、初めての本になると思います。
おお。ヒドラポリプは明るいデビューを飾ったわけだ。
著者・山下桂司さんのTwitterはこちら→ @sessile_ky
本書の前書き ~岩波書店
┗ ヒドラが動くぅ


さて、当該エントリのタイトルは『ヒドラの愉悦、共生細菌の憂鬱、研究者の未来』。
上は「ヒドラの愉悦」部分。
次、「共生細菌の憂鬱」行きます。

『共生細菌の世界 フィールドの生物学 したたかで巧みな宿主操作』
成田聡子 著
東海大学出版会 (2011/06)
『ヒドラ』本と同じ、6月に出版された本。
これがまた、『ヒドラ』本と匹敵するくらい興味深い研究でありながら、『ヒドラ』と好対照をなすほどに、読後感が暗いw
いや、実際の本書では、「著者の姿勢は真摯だ」程度の暗さ重さでなんとかなっているんだけれど、その前の、出版前の第一稿が、編集担当さんにひどく心配されるほどの暗い内容であったらしい。
私の書き上げた最初の原稿は編集者の方々を少々困惑させてしまった。
「こんな話を書いていただいて本当に大丈夫なのでしょうか?」、「本の内容から暗くて、怖いイメージがついてしまいそうですが、大丈夫でしょうか?」などと私の今後のイメージについて心配をされてしまったのだ。
結局なんぼか内容を削り、暗い部分を修正するなどして本校の出版にこぎつけたと。
逆に元稿がどんなだったか拝読してみたくなるけれど・・・。
本書の構成は、まず前段で当該分野の基本開陳。
● 生物同士の共生関係は脊椎動物をはじめ植物や菌類を含む地球上のあらゆる生物種で知られており、他の生物との共生関係がないままで、生涯をまっとうすることができる生物の方が少ない。
● マルカメムシ類は共生細菌なしでは正常な成長や繁殖ができない。母親は産んだ卵のそばに共生細菌が詰まったカプセルを産みつける。孵化した幼虫はそのカプセルを吸って共生細菌を獲得する。
● たんぱく質などのエサを食べなくてもゴキブリは半年ほど生きていられる。共生細菌が体内の老廃物を分解して必須アミノ酸を合成し、さらに尿酸の形で小分けにして蓄えてくれるのだ。
● ゴキブリの体は、必須アミノ酸を作るのを共生細菌に任せきりにしていたため、自分でアミノ酸を合成する能力を喪失してしまい、共生細菌なしには生きていくことができなくなってしまった。
● 共生細菌による単為生殖の詳しい分子メカニズムはまだ不明なことが多いが、感染虫の半数体の胚では第一体細胞分裂が起きず、核が二倍になり結果として倍数体のメスが発生する例が知られている。
● 母親から子どもへ垂直伝播する方法しかもっていない共生微生物は、メスのみが重要であるため、オス兄弟を殺したり、オスをメスにしたり、メスだけで増えられるように単為生殖をさせたりする。
● 宿主を交尾なしの単性生殖で娘を産む生物にしたてあげる共生細菌!
● 宿主の息子を娘に性転換させてしまう共生細菌!
● さらには、共生細菌に都合がいいタイミングで早死する息子を産むように改造される宿主!
さまざまな共生関係のありようを多面的にダダダッと列挙。
これぞ生物の生態の妙真髄!
これは濃いぞ!すごいな末尾までこの濃さで貫き通すのか!?とおもいきや。
本書の2章以降は、著者自身の視野語りに突入する。
研究を目指した経緯、はじめの頃の苦労、研究対象への思い、コースの選択、研究者としての自問自答、迷い、決断、暗中模索・・・。
もちろんモノは共生細菌の研究であるわけで、自分語りの過程の中にも共生細菌の何が謎なのか、どうやったら打開できたのか、結果はどうだったのか、ちゃんと科学本している。本書の前段で詳しくかつわかりやすく共生細菌研究について開陳されていたおかげで、著者が経験してきた専門的な「判断の困難」や「展開の打開」などの意味がよくわかる。
さて、自分的に注目したいのは、この著者本人も指摘されて困惑したという「暗さ」の部分だ。
モノは「濃密な研究女子語り」というか、下手すると暗い**女扱いされかねない的な面が、暗さを軽減する改稿を経てなお、本書のはしばしにうかがえる。
自分の研究テーマは農業や人類の生活に何の役にも立たないことを当初から薄々感じていたし、人類の役に立つ研究がもてはやされている現実も目の当たりにしてきた。
科学とはそもそも人間の役に立つものでなければ意味がないのか。
役に立つめどが立たない生物の不思議を解明することは意味などないのか。
では、自分は何のために研究しているのか。
自分は何をめざして研究しているのか。
大学院の頃は、そんな思考が暴走して突き詰めれば突き詰めるほど苦しくなり、また、思ったように研究を進ませることができない自分に嫌気がさし、ぐったりとしたことが何度もあった。しかし、国内外のさまざまな分野の研究者と交流し、科学や研究について話し合うことで多くの研究者が私と同じような疑問に心を悩ませていることを知り、また、そのような思考の交流から私は自分なりに納得のいく答えを見つけようとしてきた。
いや、それが悪いというわけじゃない。
読み終わってしばらく、同時期に出た『ヒドラ』本との対比で「これはなんなのか」わだかまっていた末に、ああ、これはそれぞれの著者の立場が全く違うせいなのか、となんとなく思い至った。
研究の基盤を確保する見込みがついて業績をコンスタントに重ねてきた研究者の経験値と、もう一寸先も自分の未来が定まらないような状態に置かれた、危うい研究者の不安の滲み出し、その対照的な位置関係が、「明るいヒドラと暗い共生細菌」みたいな構図を作ってしまってる。
少なくとも私のなかで。
... 以下つづき...
『共生細菌』本は、前書きで「科学とはそもそも人間の役に立つものでなければ意味がないのか。」と苦悶を提示し、さらに末章で
研究者以外の一般の方に私の研究の話をすると、最後にみんな判を押したように「それって、いったい何に役立つの?」と聞いてくる。
営利を目的としないはずの国の研究所にも、「すぐに金になるようなテクノロジーを開発しろ」とのお達しが下る。基礎科学のための研究費に国の予算を裂くことが、ほとんど利用されることのない道路や橋を作る税金の無駄遣いと同じようにみなされているかのようだ。
なぜ、サイエンスがこんな扱いを受けなければならないのか。
私を含め、多くの研究者が基礎科学研究であっても、テクノロジーへ結びつく可能性のある研究だから研究費をだす価値があるんですよ、という論理展開を常套手段にしてしまったからだろうか。
生物学の研究者がマスコミなどをうまく使って、サイエンスの重要性を一般に認識させるような努力をしなかったからだろうか。
私は、生物学の基礎サイエンスの重要性がそれのもつ価値に見合う程度に認識されていくことを切に願っているし、そのために自分にできることについても考えていきたいと思っている。.
彼女の研究の主題は、「キチョウ」という蝶とその共生細菌の関係の研究。
確かな実績をものし、生物のすごいワンダーを明らかにすることができた。
その彼女は、まだ20代と若い。そして、1年以内にこれまで進めてきた研究の現場を失う(独立行政法人日本学術振興会の特別研究員6年の契約が切れる)。この先どうなるか、全く先が見えない。
来年からの仕事と職場などについて、どうするかは決めかねている。
民間の研究所や国の研究所大学など研究機関は数多くあるが、私と私の研究を必要としている研究機関はあまりない。
自分の研究テーマは農業や人類の生活に何の役にも立たないことを当初から薄々感じていたし、人類の役に立つ研究がもてはやされている現実も目の当たりにしてきた。
科学とはそもそも人間の役に立つものでなければ意味がないのか。
役に立つめどが立たない生物の不思議を解明することは意味などないのか。
では、自分は何のために研究しているのか。
自分は何をめざして研究しているのか。
今はまだ自分の好きな研究を楽しめる環境にいるので、ただ楽しみながら研究をしている。数年前までは、それができなくなるかもしれない将来を想像して、ただひたすらに焦っていた。研究職の就職をするために有利になる論文業績を必死で増やそうとしていた。論文をたくさん出すことにあまりに集中し、必死になりすぎて、そして研究が楽しくなくなった。
共生細菌の世界を駆け抜けた研究ガールの自分語りは、先の不安によって、陰をまとっている。

で、「状況が許される時には楽しいと感じる研究を続けていきたいと思っている。」と不安と苦悶の『共生細菌』に対して、『ヒドラ』本の明るさはなんなのだろう。
本人の資質のせいかな、明るい若者なのかな? それとも男女の立場の差なのかな、ジェンダーでかなり違ってくるからなのかな、とかぼんやり想像しつつ、『ヒドラ』著者について検索してみて驚いた。
文体が若く明るいので若そうな著者を想像してしまっていたけれど、『ヒドラ』著者さんは円熟の昭和の34年組(プラスマイナス1年)だったぁ。

全然駆け出しじゃない、ベテラン! しかも生物研究企業の取締役社長さんだ! 研究チームを率いている上に、営業窓口もバッチリ仕上がっちゃってる!
著者の肩書きは、
兵庫県立大学客員研究員、 日本付着生物学会運営委員
■事業内容:
海洋バイオテクノロジー領域の調査試験、研究開発
1)生物付着実態調査及び付着被害の予防・対策システムの開発・構築
2)各種生物試験、付着・防汚試験
3)生化学・遺伝子解析
「新規産業資源としての付着生物のあらゆる可能性を追求します」
顧客は大企業。
各電力及び関連会社 研究開発・技術部門及び発電・運転部門、ガス関連会社、臨海プラント関連会社、化学・試薬会社、大学・兵庫県 等
平成19年6月19日 中国電力株式会社
特許取得もてんこ盛り。
特許:ポリプの除去又は増殖抑制方法
特許:イガイ付着期幼生に特異的なモノクローナル抗体
特許:微小物質サンプリング装置、及びその使用方法
特許:ムラサキイガイ付着期幼生に特異的なモノクローナル抗体
特許:フジツボ類の付着期幼生に特異的なモノクローナル抗体
特許:ND4遺伝子領域を使用したクラゲ成体の発生源ポリプ集団の特定方法
特許:フジツボ類の付着防除方法
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『ヒドラ』著者の真のすごさは、明るく楽しい科学本を書けるという点にとどまらないことを思い知る。
ふつうなら、このポジションで仕事をやっていたら自分が所属する企業のスゴさとか、著作内で吹聴しちゃうと思うんですよ。それがない。自分の研究のすごさではなく、ただただ「ヒドラという生物がステキだ、魅惑される!」を前面に出して本を書き上げたこと。営業臭がない。
ふつうなら、上のような研究を実際進めてきたからには、「ポリプの除去又は増殖抑制方法」みたいな駆除の話とかも出してしまうところなんですよ。しかし本書はそれがない。敢えてネガティブな話題は織り込まない。その勘所がすごい。
そして。
先の不安をにじませている『共生細菌』女史に比べ、『ヒドラ』著者は成功者(部外者から見た比較の上でだよ)、地盤を確保しているポジションだからこその、力強い明るさを出せたんだな、みたいに見えてしまった。
『共生細菌』著者の吐露、
自分の研究テーマは農業や人類の生活に何の役にも立たないことを当初から薄々感じていたし、人類の役に立つ研究がもてはやされている現実も目の当たりにしてきた。
科学とはそもそも人間の役に立つものでなければ意味がないのか。
役に立つめどが立たない生物の不思議を解明することは意味などないのか。
では、自分は何のために研究しているのか。
自分は何をめざして研究しているのか。
『ヒドラ』著者も、おそらく紙一重のコースだったんだと思う。だってヒドラだもん。
でも、ヒドラだからこそ、「商売」に結びついた。
今回、『共生細菌』本や『ヒドラ』本と並行して、ほかに「脱皮研究」や「水産資源研究」などの本にも目を通した。いずれも「このように産業に役に立つ」面が印象に残る構成になっていた。
脱皮研究→ 脱皮の機能を研究すれば、脱皮しない生物には無害な殺虫剤が作れる
水産研究→ 「水産研究所でも短期的な成果主義が叫ばれる昨今であるが、長年の蓄積が物をいうモニタリングはとても大切であることを理解してほしい。」


『減ったマイワシ、増えるマサバ わかりやすい資源変動のしくみ』
『脱皮と変態の生物学 昆虫と甲殻類のホルモン作用の謎を追う』

「自分がやりたいこと」という光の導き。
その光が曇るかもしれないという未来の不確かさ。
研究をしていても、他のことをしていても、心が感じ、思考が解放される時、私は幸せを感じ、快感を味わう。だから、状況が許される時には楽しいと感じる研究を続けていきたいと思っている。
『共生細菌』の著者がにじませる焦燥感。
自分の研究テーマは農業や人類の生活に何の役にも立たないことを当初から薄々感じていた
2008年には大学の後輩に「研究者として生きていくために」を語って聞かせた著者。
その彼女が、今は先行きが見えない状態に置かれている。
・・・日本の若い研究者は、ふつうにこんな心もとない状況に置かれてしまうもんなのだろうか。
なぜ、サイエンスがこんな扱いを受けなければならないのか。
私を含め、多くの研究者が基礎科学研究であっても、テクノロジーへ結びつく可能性のある研究だから研究費をだす価値があるんですよ、という論理展開を常套手段にしてしまったからだろうか。
水産研でさえも「水産研究所でも短期的な成果主義が叫ばれる昨今であるが、長年の蓄積が物をいうモニタリングはとても大切であることを理解してほしい。」・・・
今月の報道はこれだったしさぁ。
2011/12 読売新聞 日本の科学技術研究費、3年連続で減少
研究者数は84万2900人、女性研究者数は12万3200人で、いずれも過去最高

■ ここでちょっと余談。
『共生細菌』の著者いわく、
豊かでゆとりがあるはずの日本はなぜか思考の豊かさに対する重要性の認識が甘いように感じる。日本よりも金銭的には貧しい西欧諸国の方が、研究や学問に対する純粋な豊かさを重要視している。
その差がどこから生まれているのかはわからないが、私はそのことをとても寂しく思う。
その差は、世界観の違いが影響していると思う。
サイエンスのお国は、一神教の影響を強く受けている。
この世は、神の御業のたまもの(一元論)であり、唯一神の御業を読み解くことによって、神の理解に近づくことができる。すなわち、この世の理を知り解き明かすことは、崇高な行為となる。歴史は一方向にのみ不可逆に進むものであり、世の秘密を最初に解き明かしたものには名誉が与えられ、長く名を残す事になる。
科学のお国は、アミニズムや多神教の影響下にある。(あくまで超おおざっぱに対比させてるんだからね)
この世は様々な要因の複合作用の結果であり、世の理は誰かが見つけずとも常にあたりまえにこの世にあるものであり、それをわざわざ発見などともてはやすこと自体に違和感をかもす。
少なくとも、数十年前まではそんな感覚が日本にも生きていた。
かつての日本を少し垣間見れるような国として、タイを挙げることができるかもしれない。
┗ 人間と犬(人工と自然)の間にはっきりした線を引かない文化の国は、科学の探求が弱い
また、一神教圏の人がアニミズムを一神教的に誤読していた件も連想する。
彼らには、多神教はほんとに想像しづらいものであるらしい。
同様に、ふつうの日本人にとっても、一神教文化圏の世界観は想定外把握外だったりする。
自分たちは今どこに生きているのかについて、無知なままで良い文化と、神の意志解明へと強迫的な責務感に突き動かされる文化・・・
悪く言えば、基礎研究への文化的モチベーションのない国。
そんなところが、自分的には想起される。
-=-=-=-=-=-=-=-=
※ 文化差のせいで日本の科学研究資金が減るハメになっているという話ではございません。
※ 政府からの科学研究資金援助は、アメリカでもイギリスでも減らされ続けている。
※ 「日本は基礎科学研究の重要さについての理解が乏しい国である」点については、iPS細胞の山中伸弥教授もはっきり苦言を呈している。
-=-=-=-=-=-=-=-=

さて。
『共生細菌』著者の今後の去就に注目したいね。
キチョウという狭い枠をさらに生かしてくれる大枠の動きに乗れるかどうか。大枠に乗って、うまくキチョウの研究の場を確保していけるかどうか。
そもそも、まず、ヒトからして寄生生物に操作されている宿主生物の一種なんだよね。
┗ 普通なら新生児中51%が男子なのだが、トキソプラズマに感染したことがある女性は100人中72人(!)もの男の子出生率を記録した
これこそ、『共生細菌』著者が示した「宿主の繁殖性比を操作する寄生生物」の効果。これがヒトに、日本人にも、実際に感染している。
そんな「ヒトの不安感にヒットする」大枠ウェーブにキチョウの共生細菌研究が乗れれば、いや、なんにせよ、『共生細菌』著者の進路が決まっていたなら、『共生細菌』本も、陰は払拭され『ヒドラ』のような「明るく楽しい研究本」になれていたのかもしれない。
日本学術振興会特別研究員PD(農業生物資源研究所)
成田聡子(なりた さとこ)研究業績のホームページ
Japanese: SATOKO NARITA
それ以上に、世の目にふれることもなく苦悶や道半ばに研究続行を断念した学者の卵たちが彼女の背後に数多く実在するであろうことも。数多く。

同じ時期に出版されたこの二冊、読み合わせてみると吉。
『共生細菌』の生々しい苦悶と、『ヒドラ』の手際の見事さを感じてみて欲しい。



![[科学に佇む心と身体]](http://homepage1.nifty.com/NewSphere/transparent.gif)


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