震災以降に売上が多かった書籍のご紹介です。
今年は 「科学に佇む3000冊」 のほうで昔の良書も紹介している関係で、いろいろ新旧取り混ぜたベスト10になっています。


【第10位】
『文化心理学 上』 『文化心理学 下 心がつくる文化,文化がつくる心』
心理学の世界 専門編 増田貴彦・山岸俊男 共著 培風館 (2010/12).
関連『 心は世界でできている:文化心理学を拝読だ 』
┗ 内容はめっさ濃い。情報てんこ盛り、論点目白押し。
「専門編」と銘打たれており、かなり高度な内容で突っ走っているけれど、日本人が日本人の読者を想定して記してくれた著作であり、 ニスベットの森木 よりは、ある意味ずっと飲み込みやすいかも。


【第9位】
『生き物たちのエレガントな数学 自然の中に潜む方程式を解こう』
上村 文隆著
知りたい!サイエンス 技術評論社(2007/8/26).
感想『 人気サイト 「はまぐりの数学」 が一冊の本に! 』
┗ これは学校図書館とかにマストアイテムではないだろうか。
黄金比、フラクタル、フィボナッチ数列、アルキメデスの螺旋ベルヌーイの螺旋、さらには地球規模のスケール考察まで。読みごこちは親切丁寧な少人数授業!


【第8位】
『動物感覚 アニマル・マインドを読み解く』
テンプル・グランディン, キャサリン・ジョンソン
日本放送出版協会 (2006/05) .
感想『 異なる脳の世界を理解する:動物感覚 』
┗ 実にみのりの多い書。知の楽しさが詰まっている。
ただでさえ、人間は人間のことさえろくにわかっていないのに、いかに我々は「異なる種の生物」のことについて無理解な状態であるかを、人間以外の生物の世界がいかに多様で広いかを、広範な分野からの研究成果をあますところなく網羅しながらこれでもかと見せつけてくれる。
この本は、うちとこでコンスタントにアクセス需要があるエントリ
にからんでいることと、著者自身がアスペルガー症候群である動物学者さんだという点で、長く人気を保持しているのではないかと。
実際、いい本です。



【第7位】
『頭のでき 決めるのは遺伝か、環境か』
リチャード・E・ニスベット
ダイヤモンド社 (2010/3/12).
関連『 教育と行動遺伝のつぶやき、犯罪のつぶやき 』
関連『 余裕のない家庭は子どもが萎縮する:格差ストレス 』
関連『 貧困ストレスで子育てパターンはどう悪化する?』
この本に関してはしっかり腰をすえて紹介するべきだろうなと思いつつ、行動遺伝学者が本書のことを口汚く貶していたせいで、そのぶん「根性を入れて紹介せねば」とハードルが上がってしまい、結果、全然、読書感想文を書けないままここに至っております。
なのに。
7位にランクイン。
本書について、これだけ皆さんに注目いただけているわけですね。
ちょっとほっとする。



【第6位】
『ドクター・タチアナの男と女の生物学講座 セ・クスが生物を進化させた』
オリヴィア・ジャドソン著
光文社 2004/02
感想『 ドクター・タチアナのアニマルセ…クスアドバイス 』
┗ とっても正しい性淘汰と進化学。
コンセプトの割に、装丁も「買っても恥ずかしくない」抑えたデザインで(原題は「すべての生き物にささげるタチアナ先生の セ…クスアドバイス」)、ともあれ、とても皆様方に推薦いたしたい一冊。
本書のサワリを紹介すると、まあ皆さん食いつきがいいこと!
中身、おもしろいですもんねー



【第5位】
『100歳の美しい脳 アルツハイマー病解明に手をさしのべた修道女たち』
デヴィッド・スノウドン著
DHC 2004/06
感想『 100歳の美しい脳 』
┗ 修道会の了解を取り付けて、修道女の人生の記録を閲覧し、アルツハイマー病の罹患状態を観察し、はては死んだら死因に関わらず有志は「脳みそを研究に提供する」。研究者のもとに、修道女の死体から取り出された脳が次々と送り届けられる。
関連『 ブログでわかる将来のボケ度 』
┗ わずか1ぺージ程度の文章を分析するだけで、60年後にアルツハイマー病になっているかどうかを、9割の正確さで予測しうる。
この『 ブログでわかる将来のボケ度 』 について、久々に再録して紹介したら、けっこうインパクトあったみたいです。
ずいぶんまえの本なのに、どうどう第5位にランクイン。

アマゾンマーケットプレイスでお安く手に入るという部分も、人気の要因だったかも。


【第4位】
『日本人の魂の原郷 沖縄久高島』
比嘉 康雄
集英社新書 集英社 (2000/05)
感想『 島の魂の原郷 沖縄久高島 』
┗ とびきりに貴重な記録。消え、潰えていく一つの文化としっかりだきしめあい、見つめ続けた、大切な島の記録。
うちで長く人気があるエントリ
のからみでご購入されているものと思われ。しかし4位に来るとはスゴイ。
ビジュアルがない状態で読むほうが、はるかにインパクトと余韻が強く残る。
そして、実際に島に行って現地を体験してみると、さらに心象は広がる。
下手な写真とかで印象は刻まないほうが良い。


【第3位】
『レンズが撮らえた幕末の日本』
岩下 哲典著 塚越 俊志著
山川出版社 (2011/04)
感想『 レンズが撮らえた幕末の日本:150年の歳月恐るべし!』
┗ これはステキな写真集!! 150年前、文明開化してしまう前の、今ここ。 我々のイマココと同じ土地、同じ民族集団の、150年前を、異国の人々がリアル撮影して残しておいてくれた。 風景、人物、服装習俗息遣い! カッコイイ!!
これは問答無用に買いですよね。
いや、図書館経由でもいい。見るしかない。見て、かつての我々を知るしかない。


【第2位】
『「死後の処置」に活かすご遺体の変化と管理』
伊藤 茂著
照林社 (2009/05)
感想『 おくりびと必修!死後の処置に活かすご遺体の変化と管理 』
┗ 本書で紹介されるのは、入院患者さんなど終末期の病者があちらの世界に旅立たれてから、ご遺族にお渡しするまでの、ご遺体にお気遣いすべき要点。 看護のプロが身につけておくべき知識がコンパクトにみっちり記されている。
ご遺体学は奥が深すぎる!!
このエンゼルケアについての本が第2位に来るとは仰天です。

ここに・・・震災の影響が出ているのかな。
自分や家族が、必ず通るであろう人生の一局面、ヒトとして知っておくべき大事な知恵が、確かにたくさん詰まってはいるんですが、かなりのおすすめ書籍なのではありますのですが、こんなに購入数が伸びるとは・・・うーーん。

さて。
残すは今年の一位なのですが、今回は 書籍でもないブックスタンド とか 70年代のマンガ本 とかだったりはしてません。
ちゃんとした硬派の書籍が一位に君臨しております。

... 以下つづき...


【第1位】
『「伝統・文化」のタネあかし』
千本 秀樹、長谷川 孝、林 公一、田中 恵著
アドバンテージサーバー (2008/07)
感想『 伝統・文化のタネあかし:これが教育基本法の改正か 』
┗ 今現在の日本国民である我々が、まさに _ 政治的な _ たばかられの中にいるのだぞと、かなりヤバイ気配の指摘がぎっしりさらりと詰め込まれている。
内容は、【歴史と国家/国民の創出/文化と近代】の三部構成。「国民の創出」と来る時点ですでにけっこうキテいる。
見開きで一項目、ポンポンと紹介される50の事項のほとんどが、政治がらみ、政府側の作為に対する牽制。
これ、今、マーケットプレイスで中古本が一冊10円。 定価の新品でも525円。
安い!
コンパクトな小冊子なので気軽に読めて、その上、内容がわりかしヤバいときたもんだ。
話のタネに、ちょっと見ておくのに最適なんでしょう。
今回、ダントツの売上冊数を記録したのは、震災とも自然科学とも関係のない、この辛口社会派ブックレットなのでございました。

あと、トップ10には入らなかったけれど、売上冊数が多めで、私的にも「いいよ、オススメだよ」の落ち穂拾いは以下。



『夜明珠 謎の宝玉』 中村博明 (著) 文芸社 (2006/05)
感想
『共感する女脳、システム化する男脳』 サイモン・バロン=コーエン著 日本放送出版協会 2005/05
感想
『眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く』 アンドリュー・パーカー (著) 草思社 (2006/02/23)
感想



『8歳までに経験しておきたい科学』 J.D.ハーレン (著), M.S.リプキン (著) 北大路書房 (2007/09)
『代替医療のトリック』 サイモン・シン、エツァート・エルンスト著 新潮社 (2010/1/30)
『トンデモない生き物たち 南極の魚はなぜ凍らないのか!?』 白石拓 宝島社 (2006/05)
なにか良さそうな本が見つかりましたか?

近日中に、売上冊数基準ではない、私的2011年の「良かった本のご紹介」をアップしますね。
この一年に目を通した書籍の数は363冊。
うち9割は、科学・生物・医療・心理・社会・文化に関する書籍たちでした。
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