● 逆境ストレスによって、「人間」は病気になりやすくなる
● 逆境ストレスによって、「人間」の寿命が縮む
● 逆境ストレスによって、「人間」の死亡率が悪化する
健康面へのインパクトについて、並べてみます。

● 逆境ストレスによって、若さや健康が損なわれる
思春期に逆境にあった子は、のちのち成人病のリスクが高めになるかも
2011/10 Hard times during adolescence point to health problems later in life
貧民は労多くして老いやすし
下層階級の人々は、上流階級より早く、生物学的に老けこみます
イギリスとアメリカの混成チームによる研究
2006/07 BBC News Ageing 'linked to social status'
余裕のない、しいたげられ感の中での生活は、ダメージが細胞レベルにまで及びます。
2006/07 New Scientist Underpaid, overworked and ageing faster
女性1552人(平均年齢46歳)の白血球を調べてみたところ、肉体労働や非熟練職にある人のほうが、平均7年ぶんも細胞の加齢が進んでいた(=テロメアがすり減っていた)
一卵性双生児の女性で、かたや上流階級の男と、もう一方は労働階級の男と結婚したケースを比較した場合では、平均してテロメアに9年の年齢差が発生していた。この場合、一卵性双生児の遺伝子は両者とも同じなわけで、本人の生理的なものや才能や先天的なものではなく、環境の影響でテロメアが示す寿命が縮んだといえる。
格差の下のほうにいる人々では、精神的ストレスの過酷さによって細胞内の酸化がひどくなり、そのぶん寿命もすり減ってしまうのではないか。
生活習慣の質が良くないことも響いているらしい。
2006/11 【日本語記事】UK Today (JAPAN JOURNALS)
経済的な不安定は老化を促進 貧困者は裕福な階級の者より短命
※ この研究の報告者は、『99%は遺伝子でわかる! 人生はどこまでプログラム済みか』のティム・スペクター.
すでに紹介ずみの関連情報も、ご参照ください。
育ち盛りの子どもの脳への影響については、こちら。
ストレス全般の影響はこちら。

● 逆境ストレスによって、寿命が縮む
世の中にはたくさん、格差研究の科学的報告が流れています。
世界に名だたる格差大国アメリカも格差研究のメッカですが、歴史上延々と厳とした階級社会を保持形成してきたイギリスも、かなり格差研究が厚く蓄積しています。
格差研究はすなわち、自国の国力の研究でもあるわけですからね。
・・・日本はどうでしたっけ?
イギリス男性、平均寿命伸びる
2003/07 BBC News British men outlive many in Europe
(当時の中央日報によれば、伸びたのは南部の富裕層だけとのこと)
裕福な人は11年長生き
2005/09 UK Today (JAPAN JOURNALS LTD.) 平均寿命における貧富の差、拡大
健康度の悪化は、すなわち寿命のスリヘリ。
イギリスの階層差と寿命については、「UK Today」がちょくちょく取り上げています。(「UK Today」は古い記事をアーカイブから消しちゃったのかな)
2008/11 【日本語記事】UK Today
金持ちほど長生き!? 平均寿命が最も長いのはチェルシー在住者
●2005年~07年生まれの男児の平均予想寿命
【ベスト5】
ケンジントン&チェルシー 83.7歳
ウェストミンスター 81.5歳
イースト・ドーセット 81.3歳
エルムブリッジ 81.1歳
ハート 81.0歳
【ワースト5】
グラスゴー 70.8歳
ウエスト・ダンバートンシャー 71.9歳
インヴァクライド 72.5歳
ノース・ランカシャー 72.7歳
アイル・オブ・ルイス 72.9歳
●2005年~07年生まれの女児の平均予想寿命
【ベスト5】
ケンジントン&チェルシー 87.8歳
イースト・ドーセット 85.0歳
ラトランド 84.7歳
ハート 84.7歳
ウェストミンスター 84.6歳
【ワースト5】
グラスゴー 77.1歳
イースト・エアシャー 77.9歳
ウエスト・ダンバートンシャー 77.9歳
ハートルプール 78.1歳
インヴァクライド 78.2歳
2010/12 【日本語記事】BioToday
スコットランド最裕福地域男性は最貧困地域男性より13年長く生きる
貧者(この場合は労働者階級か)は寿命が削られてます。
そして、こちらは今年のアメリカの報告。
貧困や低学歴などの、社会的要因によってどのくらいのアメリカ人が死亡しているか調べてみました
2011/06 EurekAlert How many US deaths are caused by poverty, low levels of education and other social factors?
社会的要因が死亡率に及ぼす影響の初の総合解析@アメリカ
貧困、低学歴、社会的支援の不足などの社会的要因は、心臓発作、卒中、肺癌などと劣らぬほど多数の死を引き起こしている
24万の死亡例から抽出された社会的要因は、
7000が低学歴、
人種差別で17万6000,
社会的支援の不足で16万2000、
個人の貧困で13万3000、
所得不均衡で11万9000、
地域的貧困で3万9000.
つまり、社会的支援の不足で16万人。
所得の不均衡で11万人。
地域の貧しさで、年間4万人が、命を落とした。
こういう調査は日本はなさってますか?
自殺統計がらみとかで、何か出てましたっけ?
... 以下つづき...
上の調査では、「進学できていれば死なずにすんだであろう人が年間7000人」とあるわけですね。
知能指数にかかわらず「学歴が高いほうが寿命が長めだ」という調査結果は、ほかにも出されています。
これについては、
●『低所得者層の進学率と進学の効果』
的なタイトルのもとにまとめて、後日関連記事を紹介いたしましょう。

裕福な国でも貧しい国でも同様に、大きな所得格差は明らかに死亡率の格差を招く
2007/10 EurekAlert Wide income gap linked to deaths in both rich and poor nations
邦訳 『ステータス症候群 社会格差という病』 マイケル マーモット (著) 日本評論社 (2007/10)
原著 Status Syndrome: How Social Standing Affects Our Health and Longevity
ステータス・シンドローム:あなたの社会的地位が左右するあなたの健康と寿命
Michael Marmot (著) Henry Holt and Co (2004/08)
『ステータス症候群』p11
「社会格差があるということは、われわれ国民のうち多くの人たちが、健康や長寿について持てる可能性を活かせていないということになる。」
『ステータス症候群』p214
「裕福な都市ロンドンから東へ行く地下鉄に乗り、6駅進むと、駅ごとに平均余命は1年短くなるのだ。」
ストレスは金持ちを脅かす、でもストレスは貧者を殺す
2004/06 Independent Stress thrills the rich, but kills the poor

■ 貧困ストレスが構築する社会環境
前にも少し紹介しましたが、この「社会階層が下であることによる影響」は、個人や家庭が貧困でなくても、及んできます。
その地域に多い層が、社会的環境をこさえて、それが住民に影響してくるんでしょうね。
貧困層の受給者たちの多くは栄養に関する知識も持ち合わせておらず、とにかく生きのびるためにカロリーの高いものを買えるだけ買う。貧困地域を中心に、過度に栄養が不足した肥満児、肥満成人が増えていく。
~ 『ルポ貧困大国アメリカ』 堤未果
さらには今月、生活環境を変えると健康度が向上した、というレポートも流れてきました。
健康への社会環境影響
2011/10 EurekAlert Moving poor women to lower-poverty neighborhoods improves their health
貧しい女性や母子家庭を、貧困すぎない地域にお引越しさせると健康度が改善します
過度の肥満や糖尿病が少なくなった
2011/10 【日本語記事】BioToday 貧困度が低い地域への引越しと肥満や糖尿病の有病率低下が関連する
肥満した友人がいると肥満しやすくなる、という現象は、再々報告されています。
もとより、寝不足がらみのストレスは食欲を増進させます。

逆境にあっても、支えがあれば健康度は上昇します
2011/01 EurekAlert Advocacy in tight fiscal environment vital to reducing heart disease and stroke
経済的に苦しい環境におかれた人たちへのサポートは、心臓病や脳卒中を減少させる
支えがないと、「苦しみ」の量は増加します。
地域の「苦しみ」の量は、地域住人に影響してきます。
国内に、苦しみの量が多い国。
エリア内に、苦しむ人が多い地域。
どんな場所に住みたいですか。
今現在、自分の居場所を「住みたい場所」にする工夫をしていますか。


後日さらに、
● 低所得者層の進学率と、進学の効果
● 生育環境が貧困だと、育つ子の人生の見通しが暗く偏る
● 就学前の家庭内教育の良し悪しで出る影響
などについて、それぞれ資料を並べて紹介いたしましょう。.
【その後の関連記事 追記】2011/11 Physical functioning declines more rapidly among the poor, study finds
加齢による身体能力の衰えは、金持ちより貧乏人のほうが顕著
2011/11 EurekAlert Low-income older adults more likely to develop heart failure
低所得の高齢者は、学歴が高めであっても心不全のリスクが高め
『格差社会の衝撃 不健康な格差社会を健康にする法』 リチャード・ウィルキンソン
p48
所得格差の小さな地域の方が寿命が長くなる理由:平等な地域の方が人々の互いの信頼が強い。
所得格差が大きいところほど、人々は「他人はあなたを搾取しようと狙っている」と考えるようになる。
「他人を信用する」と答えた人の割合は州によって大きな差があり、その差は不平等度と密接な関係がある。最も平等な州では10~15%の人が他人を信用できないと答えているのに対し、最も不平等な州ではその割合は35~40%まで跳ね上がる。.
再々申しますが、これら一連の貧困影響報告は「行動遺伝」研究の資料(環境影響)として紹介しております。

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イギリス男性、平均寿命伸びる
貧困や低学歴などの、社会的要因によってどのくらいのアメリカ人が死亡しているか調べてみました



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