
『進化地図』
ロジャー・オズボーン、マイケル・ベントン著
スティーヴン・ジェイ・グールド監修
河出書房新社 2011/06
大判です。ハードカバーのずっしりツヤツヤ愛蔵版。
スティーヴン・ジェイ・グールド監修。・・・おい、グールドは2002年に亡くなってるぞ?
見たらば、この本の原書は1996年の出版。15年前の本じゃないか!
なぜ、今邦訳!?
中は図版満載です。おいしいエピソードの数々、ツボを突くデータが、フルカラーのマップでこれでもかと収載されています。
・牛乳ビンの紙フタを開けるアオガラの行動伝播
・いにしえのお友達、鎌状赤血球貧血の分布様態
・「大きいことはいいことだ」ベルクマンの法則
・みんな大好きオオシモフリエダシャク濃淡地図
・古代の絶滅イベントからKT境界に眠る恐竜まで
・嗚呼なつかしの故郷の分裂合体ゴンドワナ大陸
・太平洋諸島に錯綜する各種分布図とウォレス線
・生態系を侵襲する外来種の勢いを地図上に見た
多様性と適応、自然選択と変異、種の起源、系統樹、動物の渡り行動、人類の移動経路、島嶼化、天然痘から遺伝子と言語まで。
至れり尽くせりの、これは教職者なら授業用アンチョコにも使えますね。
... 以下つづき...
この内容はぜひお子様にも親しんでほしいところなのに、なんせルビがない。巻末の用語解説にもルビがない。遺骸、放散、鮮新世、漸新世。入門者をいざなうようなそぶりを見せておきながら、中身の仕様は全然初心者を想定してない。今どきのお子たちなめたらあきまへんて。ルビさえあれば、この程度の内容は小学生でもガンガン読み込んで大人に質問連発してくれまっせ。
進化学徒さんが、応接間や居間にさりげなく?この本を配置しておくと、ご家族お子さんや親戚がたにウケがよろしいかもしれない。生物学絡みのテレビ番組見ながら、ぱっと手にとって、さらりとウンチクぶって、なんてイカしてるかも。(もしくはうざがられる?)
巻末の用語解説がヘン。 原書もこんなだったの?「放散」
絶滅の割合を大きく上回って新しい生物グループや種が生じ、多様性が高まるときに、放散が起きる。
はw? 放散の「意味」を知りたくて、巻末の用語解説を参照した人はコレどう思うだろうかw

『進化地図』と銘打つだけあって、地図系の図版は大変豊富です。眼福です。おなかいっぱい価格納得。なにより「進化」という現象の大きさ、グローバルなスケールの凄さが、どの類書より抜きん出て体感というか、ビジュアルのインパクトで見て取れて「地図」なるものの力の強さを再確認してしまう。
ビジュアルは、そういう意味ではスゴイんだけど、地図のデザイン自体、もしくは添えられている生物のイラスト図版が、・・・あまり上手じゃない。ナショナル・ジオグラフィックなみの凄腕イラストレータの作品は、期待しないで下さい。トップクラスにセンスが良い人が描いたもんじゃないです。アートにまではなってない。まあ、そこはカラフルさや量にごまかされている感に紛れるとして、全体の満足度はかなりのものではあります。


なんだかんだ言っても、これ類書がない上に、充実のゴージャス仕様、そしてそんなに高価じゃない。
余裕があるなら、一冊お持ちになると吉ですぞ。

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