諸氏ありがとうございます。
『科学に佇む3000冊』そのボット上で「家に書籍が豊富な家の子は学力が伸びる」旨、紹介いたしますと、たまに「たくさん本を読んでも利口にはならないのでは」とのお声をいただいたりします。

これから読書の秋に突入することもありますし、紹介に便利な資料置き場として、「読書と頭の回転」に関係する情報を並べておくことにいたします。
まずは、「早く多く安く」の三点攻略をご紹介。
1:早く ★幼いうちから本読みに親しもう
2:多く ★ふだんから家にたくさん本を置こう
3:安く ★本の恩恵は低所得者層ほど大きくなる
「早く多く安く」ここ基本。
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1:早く ★幼いうちから本読みに親しもう
この「早く」は、速読みパラパラ速読の「速く fast 」ではなくて、いわゆる早期教育っぽい「幼いうちから」の「早く early 」です。
幼いときの読書経験は、生涯に渡って読みのスキルを左右する
2009/05 PhysOrg
Early word recognition is key to lifelong reading skills says new study
人生のどの時点で言葉を習得するかはけっこう重要
幼いときに学習した単語は、成人してからもすばやく認識できるんです
読みの能力を伸ばせる環境で育った者は、そのぶん読解力が伸びるんです
2010/01 Study shows key role environment plays in developing reading skills
環境が読書能力の発達に重要な役割
ごく初期の読みの能力には遺伝影響が出るが、その後の単語や文章理解力の伸びは、環境影響しだい
●読みの回路を作ろう
人間は、言葉を聞いて理解したり、しゃべったりすることは、わりとデフォルトでできるようになっている生き物です。
でも、文字や文章を読む能力は、意識して訓練しないと習得できません。文字とか文章とかは、人間の歴史上、ごく最近になって登場したものなので、ちゃんと練習して、脳の中にそれ用の回路を作ってあげないと、うまく処理できないんですね。

●あとからでも読書能力は伸ばせるけど、どっちかというと早いほうがオトク
意識して「この文字はなんと読むのかな」という思考をはさむことなく、パッと見ただけで文章の意味を読み取れるほうが、便利だし、有利ですよね。
すんなり抵抗なく読める、ほうが、学校へ上がった時など、気後れなく勉学の場に溶け込んでいけますね。
読み専用の回路は、脳が伸びゆく時にこさえてあげるほうが、しっかり出来上がります。
大人になってからでも伸ばせないのかな、とドキドキしているお方はこちらへどうぞ。

2:多く ★ふだんから家にたくさん本を置こう
子供の成績は、親からの教育と同じくらい「家の本」に影響されます
2010/05 EurekAlert Books in home as important as parents' education in determining children's education level
親の学歴が高かろうが低かろうが、中国であろうがアメリカであろうが、なんにせよ、家に本がない子より、家にたくさん本がある子のほうが伸びるんです
夏休みの読書も家に本があってこそ
2010/07 EurekAlert
Fun, sun and good books: UT experts say summer reading keeps skills strong
読むべき本を数冊与えておくと、休みの間に読み能力が萎えることはありません
読む子は一ヶ月ぶん伸びるけれど、読まなかった子は2~3ヶ月ぶんの遅れをとることに
毎年「読む子」と「読まない子」の差が開いていくことを考えてごらん
子どもは手近の環境から世界を探索していく。
毎日、どんなモノがある環境で暮らしたか。
ふだんから普通に「読む」行為をしていれば、自然に読みが上手な脳になっていく。
幼い時の経験によって、脳内回路は形成されていく。
ただし、「買ってやったから読め!」的な、強制や罰がともなうような、読書にマイナスの印象が刷り込まれるような環境では逆効果。
まずは、親が、人生の先輩が、楽しく「読む」姿を見せてあげるといいでしょう。
この本を読んだらこんなことがわかった、この本にはこんなことが書いてあって感動した、お子さんに報告してあげるのもいいのかも。
... 以下、つづきは「低所得者層ほど本の恩恵は大きくなる」...

3:安く ★本の恩恵は低所得者層ほど大きくなる
低所得者層のお子さんは、5才までの学習環境を整えてあげると読みや算数がよく伸びる
2009/09 EurekAlert
Quality of early child care plays role in later reading, math achievement
親の教育の影響と、児童の読み能力を左右するのは環境か、遺伝か。親の学歴も合わせてみると・・・
2008/12 EurekAlert The effect of parental education on the heritability of children's reading disability
高学歴の親ほど、子への環境の影響は少なめ
裕福な層では、環境によって左右できない遺伝要因が大きく出る
貧しい層では、遺伝要因より読書環境の乏しさによるハンデのほうがでかい
貧しい地域での生活は、子どもの読み能力にマイナス
2010/01 EurekAlert Disadvantaged neighborhoods set children's reading skills on negative course: UBC study
就学前に貧困地区に住んでいた子は、小学校高学年になっても読みの能力がいまいちめ。~カナダ
保育園の利益は、貧しい家庭と裕福な家庭とでは異なります。
2010/11 EurekAlert Benefits of preschool vary by family income
保育園登録で、おおむね子どもの読み書き能力は改善される
その中、白人では貧困層の子だけに改善がみられる
黒人の子は、社会経済的状態のいかんにかかわらず、改善がみられる
●貧しさは、学習能力の伸びを阻んでしまう
貧しさがもたらすハンデは、これはおおむね「環境影響」なのであって、ちょっとした工夫次第で環境のハンデを軽くすることはできる。
経済的困難があっても、生活環境に書籍があれば、読みの能力の伸びは確保しうる。
┗ 低所得者層は環境改善でよく伸びる
●大金をかけなくてもいい。
良い本を、安く、そろえてあげればいい。
中古(古本)に抵抗がなければ、ブックオフなど古書店でも、簡単に安い本を購入できる。
学校が推薦するような名作や、古今の文学全集なども、中古をねらえば安く買えます。
一冊百円なら、千円で十冊買えるんです。
元が安価だったなら、お子さんが破ったり落書きしたりしても、そんなにメクジラ立てずにすみます。
ネット通販も( ブックオフオンライン 、 ヤフオク 、 アマゾンのマーケットプレイス …)品ぞろえ豊富で便利ですね。
地元の図書館の放出品もねらいめです。
たまに余剰在庫の本を無料配布していますのでチェックしておくと吉。
●本の種類を選ぼう
「絵本」や「名作」も、今は簡単に安く手に入りますよね。
百科事典や図鑑もねらいめです。特に図鑑はお子さん喜びますよ。百科事典はインテリアのグレードアップ小物としても使えます。
マンガは「ルビがたくさん」ふってあって漢字学習に適している上、お子さんウケが良いぶん、よく読み込んでもらえますし、異常な内容でなければ、特に禁止する必要はありません。
ただし、読書能力向上を目的として考えるなら、年齢に合わせてマンガの数より多く、書籍があったほうが好ましいでしょう。勉学や仕事など、将来の汎用性の高さを考えたら、コミック用の読解力ではなく「長い文章を読み通す読解力」のほうが大きくモノを言うようになるんです。
●本の置き場所もない!?
そういうときは、ぜひ図書館へ。
家族ぐるみで図書館に出向く機会を作ると吉です。返却期限が二週間なら、二週間ごとに「図書館に行く日」をこさえて、借りても借りなくても「たくさんの本がある環境」を経験させてあげましょう。
「借りた本を大事にして、汚さずに期限内に返却する」というお約束も、社会のルールを学ぶ、良い機会になります。

読解力、パソコンは使い方しだい
いまどきは、文字を読むのはもっぱらケータイやパソコン上でばかりです、という層も多い。
これ、読みの能力にはプラス? マイナス?
2011/06 【日本語記事】中央日報@韓国
デジタル読解能力、韓国の学生が世界最高
コンピューター画面に出題された問題を読んで画面に回答を入力する方式
文字・イメージ・動画などの情報を収集・適用・総合する能力
コンピュータは、読み書きの能力を高めることができる
2009/06 EurekAlert Computers can boost literacy
パソコンは読み書きの能力を損なうわけではない
実際、かつてないほどのリテラシーを備えた世代を育成しつつある
印刷物は今後必要とされる情報処理のごく一部に過ぎない
パソコン、学習に使う子は成績が上がるが、遊びやチャットに使ってる子は読解力さえも低下する
2005/01 EurekAlert
Regular computer use for work, but not play, aids student test performance
はい。
モノは使いようなのです。
賢く使えば賢くなれるし、アホな使い方をしていれば、賢くなれないままに・・・

電子書籍に関しては、別のページでレポートを紹介いたしますね。

【関連記事:追記】図書館を充実させると生徒の成績がアップする
2011/05 EurekAlert
Link found between spending on libraries and student learning
学校図書館のサポートが上昇すると、読書スコアや学習成績が向上
質の高い学校図書館プログラムは生徒の成績に影響を与えます。
2012/01 【日本語記事】UK Today (イギリスのニュース)
子供の3割、家に1冊も本ナシ 悪い成績に直結
本がない家の子は、平均の読解力に達しない率が倍以上!
■ 世界の理解と心の想定を広げる読書
知識の宝庫!目がテン!ライブラリー 第1111回 2011年12月24日芦田愛菜 演技上手な訳
「読書をすることで、子供たちは頭の中で物語の疑似体験ができ、表現力が豊かになり、演技が上手くなる!」
ノーベル物理学賞の益川敏英先生曰く、
「科学の基本は国語ですよ。何にしてもすべて文章の言葉から入ってくる。読んでその世界が思い浮かべられるかどうか。その力があれば、理解していける。」
〜『「大発見」の思考法 iPS細胞vs.素粒子』
以上、読書能力と読書のシリーズ第一回でした。




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