TLも震災&原発だらけ。
Twitterの @endbooks『科学に佇む3000冊』 も、思わず現在「災害時モード」で配信させてたりしておりますが。

その「災害時モード」編集作成のために災害関係の書籍をいくつかあたってきました。
で、ここではその中からいくつかご紹介。


『TSUNAMI 津波から生き延びるために』
沿岸技術研究センター「TSUNAMI」出版編集委員会
丸善プラネット (2008/12)
写真集めいた甘い装丁とは裏腹に、中身はやたら硬派!かつ実際的。
施策関係者の共通認識基盤として便利な仕様。
ベストを尽くす責任者のために!
内容は、まずは、冒頭にはお約束の、初心者でも端的にわかる重要な経験譚や事例いろいろを掲げた章を置いてある。それらエピソードは「防災」に役立つ視点でセレクションしてあり、市民に向けて、防災についての講義・講演・啓発活動を行う際に活用しやすいようなラインナップになっている。
続く章は、ふつうの市井の人が拝読しても具体的に日常の防災対策に活用するにはハードすぎる内容がボンボン出てくる。
専門家もターゲットに入れた津波の力学講釈、防災専門家による施策指南。グリーンベルトの功罪、津波対策建築物、道路設計、教育設計、ハード対策、ソフト対策・・・
防災設計に関与する専門家や技術者たちが、共通認識基盤として共有すべき基本点が網羅されているという感じ。そういう意味でよく出来た便利な本であり、市井的にも「行政に働きかける」意識の高い市民でありたいのであれば、これら基本点は鋭意把握しておくべきなんだろうね。




『津波の恐怖 三陸津波伝承録』 東北大学出版会叢書 山下文男 著 北大学出版会 (2005/04)
『津波と防災 三陸津波始末』 シリーズ繰り返す自然災害を知る・防ぐ 山下文男 著 古今書院 (2008/08)
『津波てんでんこ 近代日本の津波史』 山下文男 著 新日本出版社 (2008/01)
津波災害の語り継ぎ第一人者、山下文男氏による力作。
初心者にやさしい仕様で、歴代の津波とその性質、被害者の語り、被害の比較などなど、盛りだくさんで読みごたえたっぷり。著者の実体験含め、当事者感にあふれている。
これら三冊はいずれも山下文男氏の著作で、内容は大幅にかぶりまくっている。
感触としては『津波の恐怖 三陸津波伝承録』が、もっともとっつきやすく読みやすかったかな。
この三冊のうち、どれか一冊は必読ですよ。
日常生活者に向けた、充実の内容。


■大規模な津波災害では、溺死は少ない。一番多い死因は**。
■避難経路を道路に頼りすぎると裏目に出ることがある。
■多くの住民が被災し人口が減った地では、転入者が過去の災害を知らないことがある。
■たった一回の津波経験を伝承するがゆえに、間違った津波対策を信じこむことがある。
... 以下つづき...

【津波被災事例 防災心構え】

■打撲で即死
泳ぎに自信があろうがなかろうが、水泳の腕前は津波には意味が無い。
たいがい水に捕まった途端に、溺れる前に全身打撲で死ぬ。
津波は「致死率」が異常に高い災害。
■靴など履いているヒマはない!
みんなで車で逃げようとして、かえって出発に手間取り、被災した事例が少なくない。
はだしで外へダッシュして助かった、という間一髪な事例も。
■道路に頼りすぎるな!
車で逃げる際など、早く逃げようとしていきおい「大きな道路」を目指すのだが、この「大きな道路」は水にとっても通りやすい場所。緑地帯や住宅街より素早く水が侵入してくるので、道路ではヘタをすると早く被災してしまうハメになったりする。
斜度のゆるい道路に頼って高台を目指すよりは、藪をこいで血まみれで急な崖をよじ登った人のほうが助かっていたりする。また、道路を走って逃げるよりは、砂防林の木に登ったほうが助かったという事例もある。
ただし、津波の規模によっても地形によっても全く被災の様相は異なってくるので、一概には言い切れない。
ともあれ、基本は「一刻も早く高台へ!」。

【津波のメカニズム、防災と力学】

■津波のトラッピング現象
島や岬の海底地形によっては、反射した津波が沖に逃れていかず、沿岸をぐるぐる回って多大な被害を与えることがある。
■防浪ビル
海岸沿いに強固なビル群を建設して、防波と避難場所の両方を兼ねさせようというアイデア。
■でも、耐津波仕様の建築の研究は、じゅうぶんには進んでいない。
当然、木造よりは鉄筋コンクリート造のほうが強度は高いのだが、低層階の屋内に侵入した水流がとんでもない被害を与える上、地震に伴う地盤液状化や、流されてきた巨大船舶の衝突など、「津波避難ビル」のこしらえには考慮すべき難問が多々ある。
■倒れたらそのままの姿勢で持って行かれる
わずか50cm程度の津波であっても、それはすでに瓦礫を満載した土石流みたいなもんで、足を取られて倒れるとそのまま、イスに座っていて襲われても、そのままの姿勢で怒濤に飲み込まれ、あっという間にもみくちゃにされて持っていかれる。
■下り坂から一気に沖へ
海に向かう下り坂の地形では、引き波の威力がよりましに強く出る。
一気に、瓦礫も住民も何もかもを海に引きずり込んでいく。

【津波被災の伝承は難しい】
■伝承者が少ない
ほかの災害と比べると、意外と津波災害は被災の経験が伝達されにくい部分がある。
地域によっては既存の住人がほとんど全滅し、そこに集落を再建して住みはじめる者たちは、被災経験のない移住者らだったりしていた。
『TSUNAMI 津波から生き延びるために』
津波常襲地帯に住む高校生に対して津波知識の伝承について聞いた結果,出生時から地元に住む生徒のうち78%が地震や津波に関する言い伝えを聞いたことがあり,一方,他所から移転してきた生徒は21%しか言い伝えを聞いたことがないことがわかった.聞いた相手は,“両親”“祖父母”と答えたのがそれぞれ77%,56%と非常に多く,次いで“小学校教師”“中学校教師”と答えた生徒が42%,45%となっていた.つまり,津波常襲地に生まれ育った子供は,実際に津波災害を経験した家族の話を通じて何らかの津波知識を得ることが多い.しかし,他所から移住してきた子供は,家族内に津波経験者がおらず,家族からの知識伝承の機会が少ない.別の捉え方をすると,語り継ぎは家庭内あるいはせいぜい狭い地域社会内の限られた範囲で行われていることになる.
■石碑の建立
新しい住民たちのためにも、観光客が旅行中に被災してしまわないためにも、津波災害の「記念碑、石碑」の建立は有効なのだそうだ。
■間違った伝承をしてしまう
津波は、長い人生で一回遭遇するかしないかという、なかなか「経験の蓄積」ができない災害。
加えて、ひとつとして同じ津波はない。地形や震源、地震の規模などによって、到達時間も波の向きも間隔も破壊力も全く異なる様相を呈してくる。
津波災害に遭遇して生き延びた者から、そのときたまたま経験したことを元に「こうすれば津波から逃れられる」という言い伝えが作られていくのだが、これがたいがい「一回だけの経験」に基づいているわけで、往々にして間違った防災指南になっていたりする。
『TSUNAMI 津波から生き延びるために』
過去の事例や言い伝えを鵜呑みにしていると,ときに逆効果になり命を落とすことになりかねない.このような誤判断を防ぐためにも,過去の事例や教訓をただ単に受け取り学ぶのではなく,津波の一般的な物理的特性についても併せて理解しておくことが必要である.
2011/03 【日本語記事】スラッシュドット ジャパン
「世界一」の防波堤、津波で破壊されていた
「世界最深」のギネス記録を持つ防波堤
過去の津波災害を基準に考えていると、さらに大きな津波が来たときに、あっさり命を落としてしまうことになる。


伝承や巷説に頼り過ぎないこと。
日々進歩している防災の科学を学んでおくこと。
・津波のメカニズムを学ぶ
・津波災害に弱いところを学ぶ
・津波対策を学ぶ
【減災と防災】
■ベストを尽くした減災を
津波災害に関しては、「被災損害ゼロ」を完遂するのは、どんなに努力しても非常に難しい。
巨大津波災害に対して、できるだけ被害を減らすことを目指す。さすれば、小規模津波に対しては、「被害ゼロ」を達成することができる。
■命を守る命を、守れ
『TSUNAMI 津波から生き延びるために』
大変厳しいお願いです.津波警報が出て多くの人が避難している際に,子供やお年寄り,あるいは何らかのハンディキャップのある災害時要援護者の救助をしなけれぱならない状況になることがあります.大変冷酷のようですが,まず自分自身の命の確保が第一です.自分自身の命の確保ができてはじめて救助ができるのです. [~中略~] 避難時には,まずは自分自身の命の確保という冷静さのもとでの臨機応変な行動をお願いします.
『津波と防災 三陸津波始末』
『津波いろは歌留多』より抜粋
(と)遠い地震でも油断はするな
(に)逃げ口必ずふだんの用意
(へ)下手な思案より先ず退避
(う)海を背に近道逃げよあわてずに
(い)一度逃げたら二時間お待ち
(よ)よしましょう、ためらい、あわて、よくばり
(さ)三陸海岸津波の本場
(て)天災は今すぐにでもやってくる
(こ)子供の時から津波の教育
(ま)毎年つづけよ津波の訓練
(め)滅多に起こらぬ津波を忘れず
(く)苦しい経験記念碑に
(ん)運より準備.


![[科学に佇む心と身体]](http://homepage1.nifty.com/NewSphere/transparent.gif)


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