●危ないことをやるのは普通の人たちのほう
退院した元精神病者による犯罪はめずらしい
2004/05 EurekAlert Offending by psychiatric patients is rare
●統合失調症を発症しても、暴力がらみの犯罪率がアップすることはない
2009/05 EurekAlert Schizophrenia does not increase risk of violent crime
●犯罪者でも、精神病の既往歴が「ある」ほうが再犯率が低い
2000/05 Yahoo! News Mentally Ill Offenders Less Likely to Repeat Violence
●2001/06 和田秀樹 精神障害者の犯罪について考える
「現実には、少なく見積もって100万人以上いると考えられる精神障害者のうち、平成11年の統計をみると、精神障害者による殺人事件は52件、精神障害の疑いのある者による事件は72件である。精神障害になったからといって凶悪事件を起こすとは限らず、むしろ二万人に一人というオーダーなのである。殺人 と放火を除くと一般人口よりむしろ犯罪を起こす確率は少ないくらいである。」
実際には「めったに起こらない珍しい例」であっても、印象が強ければ「たくさんあることだ」と間違って記憶される。
目立つ事件、不可解な事件、感情に訴える事件は、よく記憶に残る。
ありふれた事件は、たいして印象に残らず、数の多さにも関わらず記憶の中で平板化していく。
突出するのは目立つ事件。
『 犯罪不安社会になる百人村の世界 』
目立つ事件は「多い」と思いこまれやすい『確証バイアス』
2009/08 【日本語記事】スラッシュドット ジャパン 量を考えないメソッド
加減を知らない素人考え
「常識」や「通念」は、正確だとは限らない。
冷静にデータを取ると、実態は大きく異なることがある。
実際問題、心の病を持つ患者さんは、加害者より「被害者」になりやすいらしいのだ。
... 以下つづき...

●加害どころか 心の病患者は犯罪の被害者になる率が高い
2005/08 EurekAlert Individuals with severe mental illness at high risk to be victims of crime
●精神病患者は、症状がひどくなるにつれ、暴力の犠牲者になりやすくなる
2009/04 EurekAlert Increased symptoms lead mentally disordered to become victims of violence
●心の病を持つ人は殺される率が高い 自殺率、事故死率も
精神障害者に関わる事件報道は偏っていないか(殺人は少ない、殺されるほうが多い)
2001/12 BBC News Murder risk 'higher for mentally ill'
2001/12 Lancet 2001; 358: 2110-12 Death by homicide, suicide, and other unnatural causes in people with mental illness: a population-based study
恐がり、恐がられるべきなのは誰なのかと見ていくと、どちらかというと、心の病を持つ者のほうが、健常者のことを恐がっておびえているケースのほうが、多くなる。
うまくコミュニケーションをとれなくなったのが心の病の患者さんだったりするわけだから、「普通の人」のことがとても恐い。普通の人の目が、恐くてしょうがない。
しかも、健常者のほうが実際精神障害者に対してつらくあたりやすい上に、健常者のほうが犯罪をおかす率も高いというわけだから、リアルに恐ろしい存在なのは健常者たちのほうなのだ。
「精神病者が恐いのではなく、患者さんのほうが、あなたがた健常者のことを恐がっているのですよ」

〜

精神障害者が引き起こす事件は、増えているのか減っているのか。
精神障害者による殺人の減少
2008/08 New Scientist Killings by the mentally ill reach new low
イギリスやウェールズでの心の障害をもつ人々による殺人は、過去4分の1世紀で3分の2に減り、今や歴史的に低いレベルにある。
精神障害者による暴力事件が増えているという世間の認識は無根拠だ
日本でも、心の病当事者が引き起こす事件の数は、減ってきていると報告されていたと思う。

が、近年イギリスではどうやら、とある原因によって、精神障害者が起こす事件の数が増えてきているという。
その増加の原因は、「麻薬」。
精神障害自体は、暴力行動リスクにおいて健常者と大差ない
2009/02 PhysOrg Mental illness by itself does not predict future violent behavior
しかし、精神障害が麻薬中毒あるいは依存関係を伴う場合、未来の暴力リスクを上げる
メンヘル殺人の増加
2009/07 BBC News Mental health killings increase
1997〜2005年の間、精神障害者によって殺された人々の数は増大していた
しかしそれらは「雷に打たれた」くらいにレアな事件であり、しかもたいがい心のお医者にかかっていない患者さんの仕業だったのだ。偏見を解消し、メンタルケアの充実をはかるべし
薬物乱用、統合失調症と暴力の危険性
2009/08 EurekAlert Substance abuse, schizophrenia and risk of violence
患者が暴力沙汰を起こすとしても、そのリスクは薬物濫用(酒や麻薬)が常人に引き起こすリスク以上のものではない
注意して欲しいのは、これ「数が増えている」だけであって「精神障害者だけが犯罪率がアップしている」という話ではない点。
イギリスからの報告では、世間に「薬物濫用(酒や麻薬)」が蔓延すると、悲惨な事件の発生数が増えるぞ、と。
酒や麻薬に手を出して、事件を引き起こしてしまう率は、精神障害者と健常者とでは変わりはなく、同じくらい。そこにイギリスで麻薬が蔓延してきたものだから、「精神障害者も、健常者も」犯罪を起こす数がアップしてしまった。
2009/08 【日本語記事】 UK Today (JAPAN JOURNALS)
コカインの過剰摂取による死者数、大幅増加
事件の数を減らしたければ、「麻薬を取り締まれ」。
もしくはメンタルヘルスケアが面倒を見ていれば、麻薬や酒で破滅する事例は減るぞ。
日本でも麻薬がらみの事件数が増えてきている気配の今日このごろ、上記の結論が日本においてもあてはまるかどうか、どなたか調べてみて下さい。

【追記】当日に追記:
2009年9月2日 毎日新聞
路上生活者:心の病深刻 失業、就職難が原因に
路上生活者の6割以上がうつ病や統合失調症など何らかの精神疾患を抱えている
この報が流れていたことを忘れていた。
ホームレスも、殺されることを含め、健常者からの攻撃の「被害者」になる率が高い人々の代表だ。
心の病を抱えているホームレスは、社会的に放置をせずに、メンタルヘルスケアを含め公的機関などが保護をするほうが、社会的には(皆さんにとって)オトクになるという調査結果報告があるので、ご参考までに。
ホームレスを「救わずに」放置したり取り締まったりするのは、社会にとって良くないことなのです。

上のお話は、2004年に旧ブログのほうに上げた同名エントリの更新改稿版です。
![[ EP: 科学に佇む心と身体 ]](http://homepage1.nifty.com/NewSphere/transparent.gif)







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