[ EP: 科学に佇む心と身体 ]

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メカ好きにオススメだ「寒地土木研究所」祭り

カテゴリ[土木見て歩記] 2009/07/06
 土木のお祭りに行って来ましたよ。kira

寒地土木研究所●
【札幌】2009年07月03日〜04日
 寒地土木研究所 所内一般公開
 「知って納得、北の知恵」

 北海道のような極寒の地では、暖か内地と同じような工事をしてたらだちかんね! コンクリ割れる、土壌は崩れる! 過酷な気象条件の中、内地(本州以南)と遜色のない「土木」を確保するにはどんなテクノロジーを駆使すればいいのか、試行錯誤の北海道の研究最前線がここなんだ!


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 「所内一般公開」というお堅いネーミングだけれど、中身はちょっとした「土木テーマパーク&エンタテイメント」状態。なんつーか、土木の技術開発をやっている研究所さんが、手持ちの大仰なハイテク機器を使って「文化祭」をやってるかんじ?

寒地土木研究所●地震体験
 ※【ここに画像が表示されない場合は】

寒地土木研究所●走行実験


 クイズに答えて綿菓子をもらおう!とか、振動耐性を検査するばかでかいマシンを「地震体験コーナー」に流用しちゃうとか。
 地上波テレビでエヴァ序(一部で土木萌えアニメと称されている)を初放映した翌日だったもんで、けっこうyata

 以前、「ジオフェスティバル」など地学のお祭りには何度か足を運んでいるので、
  → 『 北海道ジオウィーク2007:地質学のお祭だ 』
この「寒地土木研究所 所内一般公開」も、その手の「文化祭ごっこ」と大して変わらないもんなのかなーと思ってしまったのだけれど、いやいや、そんなもんじゃなかった。中身はかなり趣が違う!

土木● よくしゃべる!

 地学屋さんと比べて、所員(プレゼンター)が積極的に来客に話しかける話しかける! しかもしゃべりが(地学系に比して)うまい!
 考えてみれば、「新しい技術を開発してその意義を世に問いさらに先を目指す」現場の人たちだから、プレゼンできてなんぼのもんだ。研究の意義をアピールし続けなければならない立場なわけで、お役所や企業さんとの交渉でふだんからいろいろと磨かれているんだろう。よりよい未来に取り憑かれた、けなげな優等生達の集団!みたいな印象を受けてしまった。

土木● 対外に気を使っている!

 内向的なリアクションが多かった地学系さんに比べると、自分の専門外の隣接分野に関しても、問いかけに対しては真摯に位置関係を鑑みながらできる範囲で回答を尽くそうとして下さる。「専門外の隣接分野に関しても」という点がポイント高い。市井の人間は、相手の専門分野の担当範囲になんざ頓着しない質問を発してくるのが普通だ。そこをよく理解していて、その上で適切な回答をするにはどの程度のさじ加減をすればいいのか、体得なさっていらっしゃる。
 「土木」と名を耳にするだけで、つっかかってくるような変な運動家や偏見持ちの「市民」さんが少なくないこのご時世、実際、そのような敵対的な意図の質問なのかとかなり構えて回答に臨まれる所員さんもいらっしゃった(ごめんねおどかして)。
 市井からの質問に対して「それは自分の専門外だ、専門外の質問をしてくるとはけしからん、そんな質問者は無視されてしかるべきだ!」と平気でふんぞり返るような大学教授がフツーに世間に実在する中、ここの所員さんたちは皆さんはるかに人間がデキていらっしゃる。hyaaa

土木● 変化が見込める!

 地学のお祭りは、新しい話題とかその後の進展とか「変わってきている」感があまり感じられなかったので、数回行くと「また次もおんなじようなもんだろう」と行く気がなくなってきちゃったんだよね。
 しかし、こちらの「寒地土木研究所 所内一般公開」では、各人各チームがいま自分が携わっている技術やアイデアをプレゼンしてくれるわけで、「次回はどんな進展が見られるんだろう!?」というその後の話が聞きたくなってくる。未来萌えがある。

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 所内にはいろんなチームがあるらしい。
 リンク 各研究チームの紹介
  防災地質調査のチーム、
  寒さに強い材料を調べるチーム、
  北国の河川工事を考えるチーム、
  冬の路面を考えるチーム、
  雪崩対策や地吹雪対策を考えるチーム、
  ドライブで見える風景を考えるチーム、
  ナマコやホタテの殖やし方を考える「水産土木」チーム・・・!
 土木研究所の見学で「小学生が素手で生きたナマコをいぢめまくる」光景が見られるとは思わなんだ。nigawarai

寒地土木研究所●防波堤 プール 拡大表示

 上の写真のでかいプールは、漁港の防波堤や消波ブロックの効果を検証する「いろんな波を起こせる水槽」。壁が自在にグインムグインムと動いて水を押し曲げる。
 かっこいいよね!(だから土木アニメ「エヴァ序」の放映翌日だったんだってばー)

... 以下つづき...

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 ほらほら、これは何だ!?
 ジュゴン、イグルー、ワーロックにネプチューン。

テトラポッド●ジュゴン 拡大

 これみんな消波ブロック(テトラポット類)の製品名。kira

武好 テトラポッド ジュゴン 昔、武好(ぶよし)の海岸で見かけたこれは「ジュゴン」だったんだね!ni 武好の海岸→

 テトラポッド図鑑とかあったら、旅が面白くなるかも!


土木● ■ 寒地河川チーム

 河川チームもでっかいメカメカ施設の中で頑張っております。こゆのもお子さん大喜び。

寒地土木研究所●河川 模型 寒地土木研究所●河川 メカ

 かつて行われた河川の流路変更工事が、最近は水質の悪化などの懸念から「昔通りに」変更される事例があるのだよー、という興味津々のお話の中、その復旧要請はどこから出てくるのか、という現場の話になると急に推測調の曖昧な話になって、専門家である所員さんがリアルに語れる部分と、とくだん把握はなされていない部分との分水嶺がどのへんから出てくるかが面白かったり。

寒地土木研究所●遠心分離器
土木● ■ 寒地地盤チーム

 地盤改良や泥炭対策(泥炭地=軟弱でたいへんやっかいな地盤:北海道に多いのだ)を考えるチームでは、わかりやすいところでは地下の巨大遠心分離器「遠心力載荷装置」が目玉アイテム。(右図はその地下入口だよ:雰囲気ナイス)
  リンク 遠心力載荷装置


寒地土木研究所●遠心分離器 最大200G!
 泥炭層の変形を、巨大遠心分離器(毎分220回転!)にかけることによって小型模型でも効率的にシミュレーションをこなしてしまえるんだそうな。こじんまりとした地下部屋の中一杯に、威容をおさめてある。
 十数年前に設置。一機総額数億円。いまどきは同様の試験をパソコン上でシミュレーションするケースが多くなってきているからか、費用に関して「当時はバブルだったから」めいた言い訳をなさっていたのは、これはやはり「市井のむやみなツキアゲを喰らったことがある経験」から来るリアクションだったんだろうかな。

※ ドレーンなどの地盤改良技術を検討する部署でありながら、七五三掛地区の状況についてはあまり把握なさっていなかった。このあたりも「開発研究側」と「現場」の微妙な守備差・温度差なのかなー。

土木● ■ 寒地道路研究グループ

 寒地道路研究グループでは「凍結路面とタイヤの関係」を調べる巨大な「凍結路面シミュレーター」を公開なさっていた。
 まー、昔から「雪が降る地方でそもそも車は無理があるっしょや!」と呆れてはいたんだけれど(世の中すべて降雪地帯ばかりだったら交通機関としての車両は発明されなかったかもしれないじゃないか!)、自動車企業さんはむりくり「雪国にも車を走らせることは常識的な行為である」と持っていきなさっておりまして。
 部屋ごとマイナス20度に冷やし、凍結路面を模した巨大ドラムを最高時速80kmで回転させる。その内部にタイヤを接触させて走行試験をする。
 部屋丸ごと冷やすってのがすごいやな。

 でもって、最近は試験の発注は減ってきているんだけれど(大手のタイヤ企業なら自社内で研究施設を作ってしまうだろうし)、こないだ「台湾の企業から試験の発注があった」んだそうな。
 台湾
 ・・・台湾って雪降らないし、路面も凍結しないよね??? どうやら、中国北部など、新興国の積雪地帯向けの製品を開発しなさっているらしい! 南国発北国行きしかもグローバル!!

土木● ■ 寒地機械技術チーム

 ここでは、展示物ではないけれど、その場にドテンと転がされて威容を誇っていた巨大な鋼矢板(こうやいた)が面白く。
 聞けば、30年間「遠別 えんべつ」の極寒の潮水に晒されていた鉄板だと言われましたよ。このチームでは、港の水中にある構造物の劣化とかを調査するマシンを開発していなさるんだそうな。だもんで、漁港でイイ感じにボロボロになっていた現物をはるばる持ちかえって、ラボで試験材料にしていると。
 リンク 遠別港 ●空撮  北海道各開発建設部
●右画    ↑
 この空撮画像を見ていて思い出した!
 ここの所員さんたちなら、鬼鹿や厚田の謎の「人工砂浜」について、何か話を聞けたかもしれなかったじゃないか!
  → 『 鬼鹿ツィンビーチ/厚田人工なぎさの謎 』
 いや、現場の問題についてはちょっとウトそうなのでアレなんだけども、でもダメ元で聞いてみりゃよかった! しくった。achar


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寒地土木研究所●岩尾・湯泊覆道
土木● ■ 防災地質チーム

 オロロンライン、岩尾の湯泊覆道で去年、規模の大きな落石があったことを、このチームのポスターで初めて知る。(右図)
 このお話をうかがったときも、現場にやってくる地質コンサルさんや、帳場の判断・計画の語りとは「違うなー」と「差異が面白い!」myアンテナが反応しまくり。w

 落石が多くて危ない道路は、別途トンネルを造って路線変更する、トンネルが多くなると風景が見られなったり、沿線地元がさびれたりするので残念だね、みたいな話になったところで、
  トンネルより覆道を作ればいいのではないか、コストはどうなんですか
という話をふってみたところ、なんと、トンネルより、オープンな覆道を作るほうが、「高価くつく」んだそうな!

覆道●
※ 覆道(ふくどう)ってのはこれね。

  道路を落石から守る屋根のこと。

覆道● 拡大


 おおざっぱな話で、
 トンネルは、1m300万円
 覆道は、1m400万円
くらいの経費の差が出るんだそうな!
 地上を通すより、地下トンネルのほうが安い・・・! 残念!

土木● ■ 寒地構造チーム

 緩衝材とパイル打ちを施した新型擁壁とか、ニュータイプの覆道の研究発表をなさってたりした。(覆道の天板を、鋼板でコンクリはさんだ構造にすると、柔軟性と耐性がアップ&軽量化&経費節減。さらに緩衝材を上に乗せれば完璧だ!)
 と、「より安い新型覆道」のお話だったもんで、こちらでも「トンネルより覆道は安くなりますか?」とふってみたところ、覆道はメンテナンスのコストがかなりなものになるので、トンネルに太刀打ちするのは難しいとのこと。

 あああ、なんとなく「経費節減のために地下に潜りゆくありがちな未来人類SF/ザイオンとかー」の絵がリアルに見えてくる。

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寒地土木研究所●筋肉マン 展示内容もさまざまなら、お客さんも多様。
 半分くらいは小学生ですね。キャピキャピ。 なんか学校関係方面に告知しているらしく、「地元の人との交流を」みたいな方向性で行っているイベントであるらしい。
 お子さん軍団以外は「最先端事情を知りたい」業界関係者さんとか、元土木作業員で「昔話を愚痴りたい!」的なおじさんとか、「土木のことを教えたい!」土木関係のお父さんがお子さんを連れてきているとか、あとどういう関係だかよくわからないけれどうら若い女性のグループとか(なんでだ!?)、かな〜りさまざま。

 で、お迎えするほうも、どの層にターゲットを絞ればいいのかなんぼか混乱している気配があったりする。
 子供用のイベントコーナーをこさえておきながら、子供を御しきれずにぐだぐだになってしまっているエリア。(なんかよくわかんないけど著作権を無視したような子ども向けプリントを配布していたり)
 子ども向けとは思えないレトロ&マニアなキャラがそちこちに。(筋肉マン?タチコマのフィギュア?)

 ポスターを多用した展示物はかなり専門的な最先端チャレンジっぽいものもあり、でも、それらには全然「フリガナがない」わけで。イベントとしてデキが悪いわけではないので、あとちょっとの峻別を、みたいな部分が残念に思えてくる。


EP 〓〓〓

寒地土木研究所●スナツブくん
 一番キテいたのは寒地地盤チームかなー。
 わざわざティシュこさえてます。
 キャラも作ってます。
スナツブ君(砂粒)とデイタン君(泥炭)。
 さすが「地盤チーム」。
 でもってコピーが

Yes. we 寒地(かんち)! 地盤をChange!!

 オヒ。ase
 そこらじゅうにオバマ大統領のお顔をプリントして張り出してるし。


 聞けば、スナツブ君をこさえたのも所員の若手君で、デザインがアレすぎたあまりに「バボちゃん」と揶揄されてやんの。

 提言しよう。スナツブ君にはせめて「ソバカス」を入れて砂っぽくしなさい。

EP 〓〓〓

寒地土木研究所●土壌検査 実験室 ほか書ききれなかったけど、クリップ浮かべや水中レーザー、リン酸検出、フェノール紫、用水路の補修や埋設管の浮上/沈降対策など、どれもかなり面白うございました。

 リンク 独立行政法人 土木研究所 寒地土木研究所

 来年はまた新たな研究成果が発表されたりするだろうか。

 ひとつ、蛍光鉱物の資料に混ぜ込むなら、ただのタチコマじゃなくて蛍光仕様のモネラフィギュアとかにしなさい。じゃなくて、「蛍光鉱物の資料が拝見できる博物館の情報」をお聞かせいただいたのですが、記憶では「幌延(ほろのべ)の地質博物館」とうかがったとなっているのだけれど、検索してもそれらしい施設が見つからないのです。
 ・・・幌延ビジターセンター(泥炭博物館)のことでしょうか?
 それとも幌延深地層研究センター「ゆめ地創館」?
 そも地名を聞き間違ってしまったのかな。ちょっと気になってます。

 ・・・幌延深地層研究センター「ゆめ地創館」ってすごいな。はんぱないゴージャスコケオドシ。あんな僻地なのに。
  リンク 幌延深地層研究センターPR施設「ゆめ地創館」 日本原子力研究開発機構
 原子力研究はすごいお金持ちなんだなー。uhee



メタル


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筆者:雨崎良未
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