
今週の新刊ハイライト!
『なぜ女は昇進を拒むのか 職場の進化心理学』
ハヤカワ・ポピュラー・サイエンス
スーザン・ピンカー/Susan Pinker 著
早川書房 (2009/6/25)
[bk1]
多くの「逸脱」した男女のインタビューを紹介しながら、性差をめぐるタブーに切り込む。
〈スーザン・ピンカー〉臨床心理士として25年にわたる実績をもつ発達心理学者。
『グローブアンドメール』紙でコラムを担当するかたわら、カナダ・マギル大学教育カウンセリング心理学部で教鞭もとる。
進化心理学を語る「スーザン・ピンカー」とくれば、その筋の人はすぐにピンとくるだろう。
この『なぜ女は昇進を拒むのか 職場の進化心理学』の著者「スーザン・ピンカー」は、スティーヴン・ピンカー Steven Pinkerの妹さん(現在51才くらい)である。
兄、スティーヴン・ピンカーの著作:
『言語を生み出す本能 上』 スティーブン・ピンカー著 NHKブックス 日本放送出版協会 1995
『心の仕組み 人間関係にどう関わるか 上』 スティーブン・ピンカー著 NHKブックス 日本放送出版協会 2003/06
『人間の本性を考える 心は「空白の石版」か 上』 スティーブン・ピンカー著 NHKブックス 日本放送出版協会 2004/08
『思考する言語 上 「ことばの意味」から人間性に迫る』 スティーブン・ピンカー著 NHKブックス 日本放送出版協会 (2009/03)

今回のスーザン・ピンカー『なぜ女は昇進を拒むのか 職場の進化心理学』の原書はこちら。

『THE SEXUAL PARADOX : Men, Women, and the Real Gender Gap』
■性のパラドックス:男と女と本当のジェンダー・ギャップ
By Susan Pinker
Scribner (March 11, 2008)
シンプルな装丁にクリアな原題。
ご覧のとおり、原題は全然『なぜ女は昇進を拒むのか 職場の進化心理学』ではございません。
邦題は、内容的には当たらずとも遠からず・・・ではあるとしても、いきなり書名で「女は昇進を拒むものである」と偏向光線を光らせる下品さはあまりいただけない。
... 以下つづき...

以下、スーザン・ピンカー関係のリンク。

■スーザン・ピンカー ご本人のサイト。
┗ Susan Pinker is a psychologist and newspaper columnist who writes about social science for the daily press.
これまでのGlobe and Mail誌掲載のコラムもひととおり【PDF】で公開されている。
けっこうなボリュームです。
「職場の人生相談」を進化心理学的解釈も援用して承ります、みたいな。
職場で発生するいじめ、お仕事中毒、見栄張りもほどほどに、怒りのマネジメント、うつ病問題、上司対策・・・大学で教鞭をとる臨床心理士の著者は、これだけの蓄積を巷間向けのフィールドでもこなしてきたからこそ、初の著作であっても水準をそつなくこなしているということか。

■New York Times 掲載の『なぜ女は昇進を拒むのか』書評
By EMILY BAZELON

■スーザン・ピンカーの週刊ブログ「ビジネス脳」
・・・まだ連載始めて5回目(一カ月め)なのかな。今年の5月からのログが載っている。

■ようつべのスーザン・ピンカー動画
著書『なぜ女は昇進を拒むのか』についてのインタビュー
「基本的性差が職場の性差がなくならないことについて、スーザン・ピンカーは著書『なぜ女は昇進を拒むのか』で論じる。実際にはどれが本当の性差なのか。攻撃ホルモンのテストステロン量が、どんな男女差を生み出しているのか。我々の行動を生物学から考察する」
はいはい、テストステロンね。あとオキシトシンとか。
テストステロンについてはこちら。
オキシトシンについてはこちらをご参照下さい。

[ Amazon ]にある出版社側の売り文句より:
子ども時代に自閉症やADHD、読み書き障害をかかえて苦労するのは、圧倒的に男が多い。男は学校中退率も高く、成績でも概して女に後れをとっている。しかし社会に出ると事情は逆転し、成人してから天才的偉業をなしたり、企業などで重要なポジションを占めたりするのは、多くが男だ。
男と女は、やはり本質的に「違う」のではないか? 統計的にもあきらかな生物学的違いを無視して、杓子定規に「平等」を求めることは、本当にわれわれを生きやすくするのだろうか?
[〜中略〜]
性差など存在しないと執拗に強弁するのではなく、職場に男女格差がある原因を理解することが、男と女の双方にとってよりよい道を拓く
えーと、この流れは、最近下記のような「性差教育バックラッシュ」めいた論争がわらわらしてきているあたりとも、平行しているのかな。
■『男の子危機』と性差別
2009/06 PhysOrg What about the boys?
Judith Kleinfeld 曰く、男の子は不当な扱いを受けている
アメリカの男の子は学校からドロップアウトしやすく、自殺、早死に、外傷、非行の率がやたら高く、読み書きの能力や成績がかんばしくない
女の子は、うつ病や自殺念慮、摂食障害などの問題に見舞われている
※ 『六次の隔たり』の仮面をはぐ 科学者 Judith Kleinfeld ジュディス・クレインフェルド
■挑戦を受けている男女共学
2009/04 【日本語記事】東亜日報@韓国
男女別のクラスで成績が向上した男子の多くが、男女一緒のクラスでは注意力欠乏過剰行動障害(ADHD)と診断されていた。
男女分離クラスが、学業習熟度の向上に有利だという研究結果が殺到すると、米政府は06年、「男女分離授業の禁止」原則を撤回。多くの公立学校が単性学校や男女分離授業へと転換。
米国では男女共学の廃止を求める単性公教育協会(NASSPE)が猛活躍を行っている。
韓国では、男子生徒の保護者らの間で男女共学に反対する声が高い。女子生徒が内申成績の上位圏を総なめする現象が、男子生徒の保護者らの心配をあおり、男女共学の廃止論に一役買っている。
2009年1月に放送された、NHKスペシャル『女と男』最新科学が読み解く性シリーズに描かれた部分にもからんでくるだろうし、「教育や職場の男女差研究」について概況を見ておきたい人は、この『なぜ女は昇進を拒むのか』を読んでおくと吉っぽい。

とりあえず、おあとは本書を読んでからのお楽しみ。
心の男女差、能力の男女差についてのおさらいはこちら:
┗ この手の話は「男女」で語られ続ける限り、どうころんでも「性差別」からは脱却できないのだよ


![[ EP: 科学に佇む心と身体 ]](http://homepage1.nifty.com/NewSphere/transparent.gif)







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