トンネルの中を歩いてみると、何カ所も右図のような非常用の消火器が設置してあるのが目につきます。
非常用なんです。
非常時以外はこの扉は開けてはいけません。
…非常時以外に開けると…
恐ろしいこと が起こります。
さて、ここにトンネルの中を工事している現場があったと思いねぇ。
トンネルん中は一車線つぶして工事やってっから、当然現場は 「片側交互」通行だ。
交通誘導要員が、 ハタ 持ってトンネルの入り口で一般車両を交互に止めてるさぁね。
で、悪いことによ、このトンネルがまた なげぇんでやんの。そんじょそこらのちゃちなトランシーバーじゃ両端まで電波が届かねぇときたもんだ。
しょうがねっからよ、俺ぁトンネルの真ん中で3台目のトランシーバー持って、中継連絡やってたんでさぁ。
さあて、ここが俺のポジションだ、もうすぐ工事が始まんべぇ。
万が一何かあっちゃぁいけねぇぜ。まずは現場確認しとかにゃな。
お。「消火器」。こりゃ点検しとかないといけねぇやな。
開けた。
消火器があった。
満足。
閉めた。
さて仕事が始まった。
俺っちも忙しく無線の中継をやっていた。「はい留萌側から3台ラストナンバー58!」「はい札幌側から現在車両無し!」
すると「札幌側から回転灯を点けた車両一台!」てな連絡が入った。
そのとおり、トンネル内を工事パトロール用の黄色い回転灯を点けた車両がやってきて…、いきなし俺の前で停車して、降りてきたおっさんがおもむろに消火器を点検して一言。
「あんたこれ開けたっしょ」
うああ”〜っ! なんでわかったのぉっ!?
聞けば、この「消火器」、誰かが扉を開けると「北海道開発局」だかなんだかの ブザー が鳴る仕組みで、即刻パトロールが巡回しに来るんだそうな。
たまたま巡回で来た人が顔見知りの土建の人だったんで、その場はなんとか笑ってごまかせたんだけどさ…。
が、消火器の呪いはそれだけでは済まなかったのだ。
翌日も工事は続いていたわけで、俺ぁまたおんなじ場所で無線中継をやっていた。
したら、資材を運んでいる工事作業員の一人が、ひょこひょこっと「消火器」に近づいて… 俺ぁ顔蒼くなったね。
「それ開けちゃダメ〜っ!」
と叫んだがもう遅かった。
その作業員、開けた「消火器」の扉の前でポカンと口開けてこっち見てやんの。(そうかい、あんたも中見たかったんだね…
)このトンネルん中にはたくさん「消火器」があるだろうに、なんでよりによって またこの「俺の真ん前」の消火器を開けんのさっ。
案の定、さっそく昨日と同じおっさんが巡回しに来て、その目つきは 「またアンタかい」てなもんだ。
しどろもどろで、今回開けたのは作業員で、俺は叫んだが間に合わなかった、とかイイワケしたんだけどよ。
…笑いこっちゃねぇぞ。
あの「消火器」ぁ絶対呪われてんにちげぇねぇって。はぁ。
本稿は、前世紀に拙サイトで公開していた「土木見て歩記(どぼくみてあるき):1997年」からの復刻です。
ちょっとまた今、土建熱が再燃してきているので再掲してみたよっ。

北海道は、持つならここですね

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