[ EP: 科学に佇む心と身体 ]

進化心理学,生物学,基礎,サイエンス,利他行動,事例研究 サイトマップPt.1 旧科学ブログPt.3 楽屋のブログ twitter
用語・記事・情報庫 無料翻訳掲示板 昨日: 今日:

脳科学と芸術 恋う・癒す・究める?

カテゴリ[科学に佇む2009年] 2009/03/24
◆脳科学と芸術 恋う・癒す・究める

 『脳科学と芸術 恋う・癒す・究める』
 小泉 英明編著  工作舎 (2008/11/4)
 [ Amazon ] [bk1]
執筆・談 :岡ノ谷一夫、齋藤亜矢、港 千尋、入木篤史、川畑秀明、金沢 創、山口真美、保前文高、多賀厳太郎、川村光毅、北浜邦夫、北澤 茂、河内十郎、斎藤公子、野田 燎、舘野 泉、吉松 隆、緑川 晶、河村 満、中井久夫、伊福部 達、檀 一平太、大橋 力、湯浅譲二、篠田桃紅、高橋アキ、北岡明佳、藤井直敬、高田みどり、梅若猶彦、渡辺英寿


 たくさんの研究者が、さまざまな論考を寄せている。

EP 〓〓〓

●右画
 収録筆頭は、鳴鳥と言語の研究の、岡ノ谷一夫氏。
リンク 生物言語研究チーム(岡ノ谷 一夫) (理研脳科学総合研究センター)

 先日、NHK教育の『サイエンスZERO』で、いつもならおとなしくしているコメンテーターの佐倉統さんが、いきなり冒頭で岡ノ谷氏に握手を求めていたのが印象に残っている。
 リンク 『サイエンスZERO』「人の謎に迫る」言葉はどう生まれたか?
 佐倉さんは進化心理学や神経倫理学、行動遺伝、ロボティクスなど、広範に調停役をこなしていなさるが、根には言語研究に対する強い興味が脈々と流れていなさるんじゃないだろうか。以前、何の脈絡かよくわからなかったけれど、「海外の言語研究で、シンタックスの最節約原理によって単語の発生は必然的であることがわかったんだ」(というような話だったと思う)といきなり萌え告白を流していたりしたし。
 ゆえに日本の進化言語研究の先頭を走る「あこがれの」岡ノ谷氏と共演できることが、学際唱道者冥利に尽きる嬉しさゆえの「握手して!!」みたいな図を、番組冒頭でやらずにはいられなかったと思われ。(すんません、勝手な想像です)

 録画を見ることができる場合は、
 → 『 安心社会信頼社会「サイエンスZERO」山岸俊男氏+佐倉統氏 』
のときのガーディアン佐倉統さんと見比べてみると面白いと思うぞ。wink

EP 〓〓〓

 本書収録の中、
北澤茂「目や手の動きで変わる時間の流れ」
この項については、過日●● 『触覚の錯覚7種類をご体験下さい』でご紹介しました。

EP 〓〓〓

この箇所へのリンク【脳損傷と造形芸術】


 自分的に興味津々だった項目は、
河内十郎「脳損傷と芸術 特に造形芸術について」
 脳機能の異常が、素人にも直感的に把握しやすいパッと見てわかる現象なので、さまざまな図版・事例の紹介がとても嬉しい。ビジュアルのパワーだ!

... 以下つづき...

〓〓〓 EP 〓〓〓

●右画
 画家や塑像家の作品が、脳卒中などのトラブルによって、どのように変質してしまうのか、その実例画像がコンパクトにたくさん紹介されている。
 発症前・発症後。うわ、リアル。
 なにより、日頃から「描画」の不思議に悩まされているので、脳機能障害が引き起こす描画の異常は、マジ身につまされる。

自分的に抱える描画の不思議の一部:
・どうして自分はヒト顔輪郭をこのようにしかアウトプットできないのか
自分の描画は半側空間無視っぽい
・描画がすべて右に斜行する某漫画家さんもいたし
→ 関口雄揮は風景画はスゴイのにヒトや動物がヾ(*`Д´*)ノ" だよ
・学生の石膏デッサンは、たいがい石膏像より画者本人に似ていて笑える
・漫画家が描くキャラの顔は、作者自身の目鼻の配置をなぞっていることが多い
(このへんはヒトは繁殖相手を自分の血縁者に近い目鼻配置の人間から選びがち/だから似たもの夫婦が多くなる/という、脳内顔認識経路への刷り込みが発動している結果だろうか)

 描画は、五感の中でもあからさまに脳機能がベロッと出やすい技巧だったりする。
 「無理なものは無理」とあきらめざるを得ない一線は、いろいろあるよなーとか、そのハンデを逆手にとって、生かすすべを考えるのも手だよなー、とか。ねぇ。つくづく。

●河内十郎氏が噛んでいる脳神経認知科学本のいろいろ



EP 〓〓〓

 本書 『脳科学と芸術 恋う・癒す・究める』の話に戻って。

 本自体のデキはどうかというと、微妙。
 あまりにも多くの人間が、てんでに短い原稿を並べている。メンツはいいと思うんですよ、だから、「これらの人間の論考に注目していけばいいのかな」という目星にはなるのでそのへんは有用だと思う。

 しかし、短いぶん、「自分の手持ちの中で今短く書くべきこと」を的確に濃くコンパクトに記してくれている者もいれば、「あなたが進めている研究作業を考えると、なぜこの内容の短文を出したのか腑に落ちない」ミョーなことになっている寄稿者もいる。
 加えて、この工作舎という出版社独特の色もマイナスになっている。ミョーに読みづらいレイアウト、アイコンの使い方が不適切、小見出しのデザインがクソ。70年代ならこんなのでもイケイケで礼賛されていたかもしれないが、もうそんな時代じゃねぇだろ。読みづらいったらない。(直感的に内容を把握して処理することが困難な不親切造本)
 さらには、おそらくその出版社の独特さが、内容の編集方針にも悪影響を及ぼしていると思われる。「このような企画の本にこう書いてくれないか」の姿勢が、集まった論考に少なからず見られるピンぼけさを招いているんだろう。芸術の科学本を纏めるという姿勢に感服するよりは、編集がかぶせたオルタナへの媚び売りの気配のほうに萎えてしまう。

 別の出版社がこのメンツに企画を持ち込んだなら、もっと異なる質の本になっていたかもしれないんだ。orz

◆脳科学と芸術 恋う・癒す・究める
収録論考:

岡ノ谷一夫 小鳥の歌に見られる美の進化
斎藤 亜矢 絵筆をもったチンパンジー描くことの起源を探る
港  千尋 心の洞窟一イメージの起源へ
入来 篤史 脳内の時空処理
川端 秀明 脳はなぜ美に魅せられる魑られるのか
金沢創・山ロ真美 赤ちゃんの運動視の発達からみた「物世界」の起源
保前文高・多賀厳太郎 言葉と音楽を育む赤ちゃんの脳
川村 光毅 音楽する脳のダイナミズム
北浜 邦夫 夢・幻想・芸術
北澤  茂 目や手の動きで変わる時間の流れ
河内 十郎 脳損傷と芸術 特に造形芸術について
斎藤公子・小泉英明 幼児に芽生える芸術の心
野田  燎 音楽運動療法による癒す力の喚起
館野  泉 左手のピアニストとしての新生
吉松  隆 音楽の神が降りてくるところ
緑川晶・河村満 脳損傷による芸術活動の障害と発現 神経心理学の視点から
中井 久夫 共感覚者のイメ一ジ世界
伊福部 達 音楽の起源 福祉工学の前線から
檀 一平太 料理するサルと脳の進化
大橋  力 至福の音体験と脳 全方位非分化型アプローチの射程から
湯浅 譲二 音楽の始源性への道
篠田 桃紅 玄のおもいとかたち
高橋 アキ 新しい耳をひらく鍵
北岡 明佳 錯視アートの醍醐味
藤井 直敬 直感と推賛:香道からみた創造的脳機能
高田みどり 寂静の世界へ旅
梅若猶彦・小泉秀明 世阿弥の秘伝書の極意をめぐって
渡辺 英寿 能楽師の脳内観賞
小泉 秀明 脳科学と芸術の明日にむけて
小泉 秀明 「感性」という言葉の意味するところ 芸術と脳科学の架橋に向けて


 「これらの人々の論考に注目していけばいいのかな」という目星にはなるので、そのへんは入門者には有用だと思う。






メタル

TwitterへTwitterへ「読んだよ!!」とつぶやく [カテゴリ 科学に佇む2009年] : 2009年03月24日 
* * *

→ 上掲のお話についてのコメント

→コメントを送りますか?

 → コメント送信ページに進む

 → Twitterもあります:Twitter iTatazm [たたずむ]

  コメントするときは、お話の日付を考慮に入れましょう。
  突進したのに相手は古い日付の記述だった、みたいな食い違いがたまに発生しています。

★START-POINT

筆者:雨崎良未
XML RSSフィード
→ ブログ新着通知(RSS)の見方

→ 併設ブログ 楽屋【Dorm B】
→ 併設ブログ 旧【科学ブログ】
→ Twitter:iTatazm [たたずむ]

進化心理学 併設サイト
【巨大記事庫】
→ 記事庫の新着・更新情報

→ 最近の主なコメント
→ トラックバック類
→ 科学なポッドキャスト

お気に入られ記事

etc.

amasakiさんの読書メーター
なかのひと
フィードメーター
科学学問