『ふたごの不思議に学べ!老化予防から子育てまで』
NHK:総合/デジタル総合:2009年 2月11日(水)午後7:30〜午後8:45放送
ふたご研究が世界的に注目されている。一卵性双生児の違いを詳しく見ると、老化予防、子育て、教育、病気などに遺伝や環境がどう影響するか、貴重な最新情報が明らかに!
今、ふたごに関する研究が世界的に注目されている。まったく同じ遺伝子を持つ一卵性双生児の似ている点、違っている点を詳しく見てみると、人間の能力を引き出すヒントや老化予防に役立つ情報がわかってきた。赤ちゃんから90代まで、さまざまな世代のふたごの皆さんを取材。暮らしぶりや人生の軌跡をたどりつつ、老化予防や子育て、教育、病気など、誰にとっても役に立つ貴重な情報を教えてくれる、ふたごの不思議に迫る。
【司会】陣内智則, 神田愛花 【解説】生命科学者 中村桂子
【ゲスト】 山口もえ, 中川家(兄の子は一卵性), 武田双雲(書道家), 三倉茉奈, 三倉佳奈, 黒沢年雄
■ 双子の番組で、特番で、ゲストはこれでいいんだろうか、というところから考えさせられてしまう。
司会の陣内っちが中川家弟を過度にいじくりたおしていたのが、なんかやる気のない番組という印象を倍加させていた。
■ 昔NHKの各番組で重宝されていたポップコーン(双生児のお笑いさん)は今どうしているんだろう、と検索してみたら、一人は引退、一人はピン芸人として頑張っているというウィキの記述だった。へぇぇぇ。

■ 拝見したのは録画。
本放送の時間は自分は忙しかったので、家人に「あんどうさんが出たら教えて」と声をかけていたのだが、あんどうさんは全く登場せずじまいだったらしい。日本で双生児研究と言えば、安藤寿康(あんどうじゅこう)さんじゃなかったのかな。気のせいなのかな。それとも何か問題かしがらみか何かあって、この番組にはノータッチということになったんだろうか。
こっちのほうが勉強になるよ:
┗ 国家援助と首都圏の双子1600〜1700組(!)の協力を得て、双生児研究5年プロジェクトを展開した安藤寿康さん

以下、先週のNHK特番 『ふたごの不思議に学べ!老化予防から子育てまで』 の内容についてつらつらと。
『ふたごの不思議に学べ!老化予防から子育てまで』
第一のコーナー★「ふたごに学べ! YES! NO! クイズ」
ゲストの皆さんはどれだけ双子のことを知っているでしょう
・「一卵性の双子が生まれる確率はほぼ0.4%である?」 YES!
世界中どの民族でも共通です
・「一卵性の双子は老化のスピードが同じである」 NO!
肌の老化の三つの要因について、双子の研究でわかってきました
・「遺伝の影響を受けやすいのは国語より算数である?」 NO!
・「双子の一方が癌になると、もう一人も必ず癌になる?」 NO!
・「茉奈さんはどっち?」中川家・兄はほくろで見分けて正解
いつもは茉奈-佳奈の順で並んでいる
■ザ・タッチもホクロで見分けがつくよね。
せっかくホクロの話が出たのに、このくだりでは一卵性双生児においてどうしてホクロの差が生じるのか、についてはフォローは無くスルーだったと思う。
■「一卵性の双子が生まれる確率はほぼ0.4%である?」
0.4%だそうです。1000回産んだら4組双子。・・・一学年に一組くらいいそうですね。
■番組では言及ありませんでしたが、こんな話もございます。
双子の出産率、背の高いお母さんで多め
乳製品をたくさんとる女性でも多胎率は高め
2006/09 EurekAlert Study by LIJ obstetrician confirms taller women are more likely to have twins┗人工授精で妊娠をすると、双子が生まれるケースが多い
(「多胎(たたい)」とは、双子、三つ子、四つ子・・・をひっくるめて指す言葉です)
『ふたごの不思議に学べ!老化予防から子育てまで』
第二のコーナー★感動の再会! アメリカふたご物語
清掃会社経営50歳
日本人として九州で生まれ、養子に出される
40歳の時に生き別れたもうひとりとの再会 カンサス-ニュージャージー
二人とも、中学以来のウェイトリフティングの選手でジムを持ったことがある

■ひところ、臓器移植をすると、臓器提供者の記憶が移植された患者に移る、という現象が騒ぎになったことがある。真偽のほどはともかく、
・お互いに違っている部分は違っていてアタリマエなので印象に残らない
・お互いに同じという印象を得る部分は、ものすごい強調されて語られる
という心理的機序が働いて、かなり偏向した扱いになって検証も難しい、という展開になっていたと思う。
それと同じ偏向問題が、「感動の再会を果たした一卵性双生児」にはまとわりつくわけで、普通はそのあたり慎重に取り扱うところなのだけれど、本番組ではただただ単純に、「こんなに同じことがたくさんあってビックリ」路線で描き飛ばしている。
・・・やけにシンクロ(似ている度合い)を強調する方向に編集している。何かの都合があるのだろうか。こうしたほうが国民にはわかりやすいという、NHK的配慮だろうか。
パンピーである家人でさえ、見ていて途中で「おかしくないか」とか文句を言っていたらしい。
【解説】中村桂子氏曰く「何気ない動作に遺伝的影響が出やすい」
『ふたごの不思議に学べ!老化予防から子育てまで』
第三のコーナー★ふたごの不思議なコミュニケーション
ツイントーク
【ツイントーク】■双子に見られる、極端な以心伝心コミュニケーションのことを「ツイン・トーク」として紹介していた。
この「ツイントーク」なる呼称は、日本では全然一般的なものではないらしい、検索しても脈が薄い。
海外では「twin talk」でサイトがヒットする。
けど、やっぱり海外でもあまり一般的な呼称ではないっぽい。
あー、ふつうは「ツイントーク」ではなく「ツイン・ランゲージ twin language 」もしくは「イディオグロシア Idioglossia」と言うらしい。
そんでもって、それらは日本では「双子語」で通っているんだそうな。
・・・最初から「双子語」と言ってくれれば話が早かったのに、「ツイントーク」なんて言われるからうろうろしてしまった。orz
『ふたごの不思議に学べ!老化予防から子育てまで』
・一卵性の双子は気持ちが通じやすいのか
【カリフォルニア州立大学フラートン校】双生児研究センター
ナンシー・シーガル(自分自身も双子の心理学者)
双子に同じ質問をしたときどのくらい答が一致するか
138組で検証 20問 「相手の答えそうな答を書かせる」
一致率は、他人、二卵性、一卵性の順で高まる
■グラフの数値を見てみると、一致率の差はそんなに大きなものではない。僅差でとりあえず他人、二卵性、一卵性の順で高まる結果ではある。
でも、番組で表示されたグラフは、差の部分を強調するように調整された感じだった。ぱっと見では、一卵性がものすごい正答率が高いような印象を与えかねない。
... 以下つづき...

『ふたごの不思議に学べ!老化予防から子育てまで』
・ふたご同士では脳の働き方も似ている
【東大】酒井邦嘉(さかいくによし)准教授
言語と脳の関係を研究
fMRIを使って、脳の働き具合を見てみた
英語の文法処理部位は学習によってより活動が高まる
2ヶ月間の学習で、脳にどのような変化が見られるかをふたごで調査
ふたごでは脳を同じように使っているっぽい
茉奈-佳奈 談:なんとなく互いの考えていることがわかるので、ほかの人とより会話が少なくなる
■酒井さんはこちらの研究室の人。
このサイトの玄関にある掲示を見てみると、
●爆笑問題のニッポンの教養 FILE060:「おしゃべりな脳」, NHK (2009年2月3日).
●フロンティア「言葉の誕生 私たちはいかにして人間になったのか」, NHK (2009年1月15日).
と、このところ、たてつづけにNHKで取り上げられている。・・・その関係で、安藤寿康さんではなく酒井さんになったのかな。聴取料収入がままならない今日このごろ、これで取材費を節約できたのかな。
紹介されたのと同じ酒井氏の研究は、
でも取り上げられていたのでご参照を。
『ふたごの不思議に学べ!老化予防から子育てまで』
解説コーナー★遺伝子が同じとは?
【解説】中村桂子氏曰く「ヒトの遺伝子は23000個」
■超初心者向けの「遺伝子が同じということはこういうことですよ」解説でした。深くは語りません。
『ふたごの不思議に学べ!老化予防から子育てまで』
スーパーふたご登場★シンクロナイズドスイミングふたご
【大阪大学 産業科学研究所】八木康史
防犯用に開発した「歩容認証システム」で、シンクロナイズド歩きをする双子を見てみよう!
訓練されたシンクロ歩きでは、脅威のシンクロ率を叩き出す
しかし自由歩きでは、二人は別人と判定される
ふたご同士の違いが重要です
・ふたごの似ている似ていないに注目する研究を見てみよう 教育から健康まで
■そうか、前半はワザと「一卵性双生児はこんなに同じだ!」と強調しておいて、後半は「そんなに同じなのに違いがあるのはなぜ、そこからわかってくることは何?」と持っていきたかったのか。
うーん、番組構成の手腕がちょっと生煮えの上に、お子さまランチ仕上がりになってしまっているんだが。

『ふたごの不思議に学べ!老化予防から子育てまで』
違いを見よう★子育て・教育
・一卵性の子でも、性格の違いがけっこうある
ふたごの個性の違いを教育に生かす試み
【東京大学教育学部付属中等教育学校】毎年10組ほどのふたごが入学してくる
全校生徒約700人中、116人がふたご、という世界でも類をみない学校
クラスメート曰く「けっこう見分けつきますよ」
福島昌子教授 60年間(!)蓄積されたデータを見せて下さる
まずは900組1800人ぶんの「運動能力」の記録
・一卵性双生児の短距離走のタイムは近くなる
短距離では遺伝的な影響が大きい
・一卵性双生児の持久走はバラツキが大きくなる
遺伝的な影響が小さい 持久力は、意欲によって能力に開きが出やすいのだろう
■示されたのはデータの結果の集約であって、解釈が正しいかどうかはよくわからない。
次は勉学の記録
『ふたごの不思議に学べ!老化予防から子育てまで』
・五教科の内、数学は最も成績のバラツキが大きくなる
一卵性双生児で成績のシンクロ度が高いのは社会
共同研究者:石川県立看護大学教授 大木秀一 曰く、
数学は遺伝の影響が最も小さい
数学は、本人の努力ややり方によって成績が大きく伸びる可能性がある
中村「子どもの得意なところを探してあげることが大人の役目」
■数学に関してはね、それ以上のことがわかってきているみたいだよ。
数学は、ほかの教科よりも脳内の「ワーキングメモリ」をたくさん使う教科なんだ。(ワーキングメモリ:その場の短時間だけ数字や情報を記憶する作業用記憶のこと。長期記憶や判断力とは別のもの)
そして「ワーキングメモリ」は、不安や暗示、自信の度合いによって、発揮できる能力が大きく変化してしまうんだ。
【ティム・スペクター】
『ふたごの不思議に学べ!老化予防から子育てまで』
ミニコーナー★ドクター陣内の「こんなコトまで遺伝の影響!?」
(ロンドン大学ティム・スペクター博士の論文より)
ふたご一万組の協力を得て行動や病気と遺伝の関係を研究
「遺伝率」=遺伝の影響の大きさを数値化したもの
・近視 89%
・音感 80%
・甘党 男の場合54%
・企業家精神 41%
・楽しいユーモア 49%
・自虐ネタのユーモア 34%
・浮気 女性の場合 41%
中村「一個の”浮気遺伝子”があるわけではない」
■わはは。ティム・スペクター。
自分的には、ティム・スペクター氏はかなりトンデモの香りが高い科学者だとみなしている。
■「企業家精神」というのは、もしかしたら心理学でいう「性格のビッグ5」を一般向けにわかりやすく表現したものかもしれない。
でも「企業家精神」という訳し方のまんまで紹介したのでは、さすがにゲストの皆さんも「ほんまかー」みたいなリアクションに。
■「楽しいユーモア/自虐ネタのユーモア」に関しては、これはイギリス独自の「お笑い」事情がからんでいるとおもうぞ。アノ国は妙なお笑いセンスとコダワリでゴーイングマイウェイしていらっしゃるから。
【遺伝子のメチル化と老化】
『ふたごの不思議に学べ!老化予防から子育てまで』
★ふたごの研究でわかった老化のヒミツ
【オハイオ州ツインバーグ ふたごまつり】毎年全米から2000人以上が集結
一卵性はそっくりだ。でも、やがて似なくなるふたごもいる。
似なくなった双子に注目した医師:ダリック・アンテル(双子の美容整形)
手術をした双子は30組以上
ふたごまつりで数百組の写真を撮影、生育環境などを調査した
・肌の老化の三大要因
喫煙、日焼け、ストレスが老化を加速する
日焼けをしないお尻の肌で老化を測る
■・・・双子研究をしなくても、老化は喫煙、日焼け、ストレスでやばくなるよということは昔からいわれていたような気もするんだけど、
「双子の美容整形をたくさんやった医者」を担ぎ出してくる着眼点はおもしろかった。
ていうか、「お互い似てこなくなったから、似るように美容整形をした一卵性双生児」というくだりが、この番組の中で一番おもしろかったよ。似ていないと一卵性のアイデンティティが崩壊するんかい!みたいな。
■似てこなくなった双子と言えば、
で取り上げていた日本の一卵性双生児さんがインパクト強くて乙だったんだけれど、今回は取材しなかったのかな。
お一人はインドア派ホワイトカラー系でおっとりした風貌。
もうお一方は、農業の筋金入りアウトドア派で頑健闊達なご風貌。
人生の妙を体現してあまりある一卵性双生児さんだった。
■きんさんぎんさんも、一卵性だったよね?
『ふたごの不思議に学べ!老化予防から子育てまで』
最新ふたご研究 ★ がんと遺伝子
【スペイン カタルーニャがん研究所】
マネル・エステイェール博士
祖母のふたごと孫のふたごの染色体を比較
孫どうしでは互いに遺伝子の機能はほぼ同じ
かたほうが癌になった経緯を持つ祖母どうしの比較では、遺伝子の機能に大きな差が!
遺伝子が、年月を経るにつれて異なる「メチル化」が進んでいく
遺伝子がメチル化すると、その遺伝子はスイッチがオフになり働かなくなる
・メチル化の異常が起きると病気になる遺伝子の事例がリストアップされる
エステイェール氏曰く「ライフスタイルによって遺伝子の働き方は変えられる」
・自分らしく生きる! 92歳のふたご姉妹
健康な生活で、元気にご長寿!
■エピジェネティクス研究の成果によって、生活習慣が引き起こす遺伝子のメチル化が、老化を推進することが確認された。
つまり、どっちかというと双子研究にかこつけただけの、「国民は、生活習慣病にならないように、よくよく生活習慣を改めなさい」という、建国記念日の特集だったのかな。
そうじゃないとしても、なぜ、あの日に双生児の特集だったのか、何か意味があるのかなー。
関連記事:追記
生活が乱れていると、早く老けます
2009/03 EurekAlert First sister study results reinforce the importance of healthy living
最初の姉妹研究結果は、健康への生活習慣の重要性を強化する
{健康な体重を維持し、ストレスが軽い} 女性は、老化に関わる染色体変化が少なめになるようです

とりあえず、以上で番組についてはひととおり。
■双生児研究について、いろいろお知りになりたい方は、番組が取り上げてくれなかった大先生、安藤寿康さんのご本をあたってみてはいかがでしょう。

『心はどのように遺伝するか 双生児が語る新しい遺伝観』
安藤 寿康 講談社ブルーバックス (2000/10)

![[ EP: 科学に佇む心と身体 ]](http://homepage1.nifty.com/NewSphere/transparent.gif)







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