[ EP: 科学に佇む心と身体 ]

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環境考古学は大丈夫ですか?

カテゴリ[科学に佇む2005年] 2005/11/02
 環境考古学の名が付く新刊をゲットしに行ったつもりだったのに、手がすべって別のこんなトンデモ本を持ち帰ってしまいました。
 (トンデモ=本人の意図とは違った面で味わい楽しめる珍品)

左◆表紙
 「環境考古学のすすめ」
 安田喜憲
 丸善ライブラリー 丸善 2001年 [bk1]

 環境・気候変動が昔の文化や民族の趨勢を大きく左右したという環境研究からの見解が、ようやく受け入れられはじめて嬉しいな、というのが主題。
 それを覆い隠すようにでしゃばっている伴奏は、考古学者たちが自分の説を異端視してけんもほろろだった怨恨はいまだ忘れがたいゾと愚痴グチにじむ著者積年の恨み節。abon
 この人、イロモノ扱いされたと言って他人の無理解を非難しているけど、もとより本人イロモノの香りをぷんぷんさせていて、「そりゃ無理ないわな」と思わされること度々。(自覚してないらしいところがまた…whoa

 堆積層の縞を指して「ジェオゲノム」と名付けるわ(ゲノムの呼称をそんなもんにつけたらそりゃあかんでしょ)、自分の分野外の常識を知らなさすぎるというか、お行儀悪く言えば、専門バカが無神経に異分野のことを見下して知ったかぶりまくりみたいな。
 どんなに良い研究をものしていても、説得力が礼儀がダメダメだったらイロモノ扱いされますよ。仕方ない。
 説得力も研究もダメダメな人ってのは掃いて捨てるほどいて、特に考古学あたりはさんざダメダメな素人横槍に悩まされている分野だから、ダメダメなアプローチをしたら簡単に混同されますよ、水準以下のゴミと。
 自分の感覚のズレ方にさっぱり気づかないまま、自説が受け入れてもらえないのは「旧弊な因習に囚われている異分野の無理解のせい」にしているのも、実にトンデモというかイロモノっぽくてよろしいのですけれど。(因習の害が全くないとは言わないけどさ)

 そいでもって本文中、
...以下つづき...

〓〓〓 EP 〓〓〓

なにごとにつけいちいち遺恨扱いというか、私怨を愚痴りたいのはわかるけど、これもっとさらっと書けないか。相手に<呪>(マイナスの評価)をかけたがっているのかもしれないけれど、初心者レベルの稚拙な呪でさっぱり効いてやしないし読みづらい。

 しかし、この人の考えるところの民族性、社会的な枠設定のまずさもなぁ…。
 「環境・気候変動が昔の文化や民族の趨勢を大きく左右した」のはいいとして、それをアメリカだの中国だの日本だの漢民族だのとレトロに屈折した異文化失礼なくくり方を平気で振り回しながら開陳なさる…。
  「アングロサクソンは森の破壊者だ」
  「もう一つの大きな森の破壊者は漢民族だ」
p.136
日本人はまず家畜を飼うことをやめた。そして魚を食べ、刺身を食べた。刺身をつくるのには全然エネルギーは要らない。包丁で切るだけですから。これは森を破壊する必要がないのです。いかにわれわれは森にやさしい生活を、食事をとってきたかということもわかると思います。

 …やめた? 刺身が主食?
p.137
日本民族は、世界のなかでもきわめて残り少ない「森の民」の少数民族・少数言語国家であるということです。先ほど申しましたが、われわれは雲南省に逃げていった少数民族と同じ世界観や文化的伝統をもっているのです。そして日本語というのが少数言語であるということです。私の予想では、おそらく二一世紀の中ごろには世界はインド・ヨーロッパ語族の英語文明圏と漢民族の中国語文明圏に支配されると思います。そのなかで日本語と日本民族がどうやって生き延びていくか。森の民としての文明の伝統をどう受け継ぎ伝えていくかが問われているのです。しかも歴史的にみたときに、インド・ヨーロッパ語族も漢民族も森を徹底的に破壊してきました。この「家畜の民」の猛威に、「森の民」としての日本民族がさらされているのです。

 この理学博士は、単に「文化移植の功罪」「文化生態の変貌」ととらえるような、自分の所属をよっこして止揚したような無機的(科学的)な見方はできないのかな。そうする必要さえも感じていないのか。
 文化内の構造にまでちゃんと立ち入って検証すればまっとうな道にもたどりつくだろうところを、これでは余談偏見レベルに終始しかねない講釈…
 で、これ、自文化中心主義ね。
 著者は「自分野中心主義」もばりばりで。一事が万事というか。
 神話伝承研究者とも全然交流不十分で、「え?しめ縄ってヘビだったの?」と感動して神話を調べ始めたばかりみたいな神話初心者でありながら、これだけ神話論をぶってくれる神経も、いかにも人生自分中心的でエライと言えば偉いんだが。(他者の知識量を察知尊重できないのかな)

 ということで、いびつです。
 自分野については確かなことを書いているのだろうけれど、異分野についてかなり平気で飛ばしてます。
 一人勝手に不愉快を相手のせいにしてくさす前に、この先生は自分の言動を省みさせてくれる良い友人、各関係異分野の友人を増やすべき


 さても。
 残念なのは、日本で「環境考古学」と言えばこの人です、みたいに、この著者が環境考古学の代表的な存在になってしまっているらしいこと。
   ネット 『WEB講義 - 環境goo  第23回 環境考古学』
     安田喜憲(国際日本文化研究センター教授)
 そういえば****学の分野で○○さん、◇◇◇◇研究で■■さんがそれぞれ一人日本代表みたいにしてしきっちゃっているのも想起するけれど。

 考古学は先達の見解や派閥にガチガチで新しい知見を受け入れない、と愚痴る著者、天につばするはめになってやしないか、かなり老婆心が… damedaroo

 まあ、この本はずいぶん前(2001年)のものらしいし、今はもっと卓越した見識を備えた立派な先生になられていることでしょう。silent

〓〓〓 EP 〓〓〓

安田氏については、その後こちらにも → 2007/01 『「地球のDNA」とマヤの漆喰』

これよりはるかにまともで絶対オススメな内容の環境考古学本はこちらに。
 → 2005/11 みなさんを環境考古学にご招待 

●情報庫: → 文化人類学




メタル


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