
『宗教者が語る死刑廃止』
「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク (編集)
現代書館 (2006/12)
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そのデータとは。
国内のさまざまな宗教宗派に対して、「死刑制度についてのアンケート」を行った。その結果が一覧表で掲載されているんだ。
「 死刑制度について、「『死刑を止めよう』宗教者ネットワーク」は、国内107の宗教団体に4問のアンケートを実施、24団体から回答を得た。」p.215

・・・回答率4分の1以下。
外部を警戒している団体が多いのか。団体外との交流をうまくこないしていない団体が多いのか。
回答するのが大変しんどい問いだったのか。アンケートはたったの4問だったんだけどね。
それともこんな問題は全く寝耳に水だった!?
当該書を編集した団体はこちら。
主催団体が、団体名にすでに「死刑反対」を掲げているわけで、そのへんも、アンケートの回答率に影響した可能性も否めない。回収できた回答にしても、完全に実態を現せるほどの正確さはないと思う。でも、そこをよっこしても、アンケートの結果はむちゃむちゃ面白いと思う。
回答を寄せた24団体の回答の内訳は・・・
賛成:2 反対:9 どちらともいえない:7 無記述:6
問い2■「死刑制度は犯罪の抑止力になっていると考えるか」
YES:3 NO:10 どちらともいえない:5 無記述:6(問い1と同じ団体)
問い3■「死刑制度に代えて、新たに終身刑を導入することに賛成か」
賛成:4 反対:5 どちらともいえない:9 無記述:6(問い1と同じ団体)
問い4■「死刑問題を検討したことがあるか」
ある:12 ない:6 どちらともいえない:2 無回答:3 現在検討中:1
ほうほう。
さらには、どの団体が、どのような回答をしたのかも、おもきし明記されている。
... 以下つづき...

設問は、
■死刑制度に賛成か
■死刑制度は犯罪の抑止力になっていると考えるか
■死刑制度に代えて新たに終身刑を導入することに賛成か
■死刑問題を検討したことがあるか
の4問。
■基督教系(かなりおおまかなので気にしないで)
・死刑反対
・死刑制度は犯罪の抑止力にならない
・刑の軽重云々よりも、更生施設の議論が必要
・死刑反対
・死刑制度は犯罪の抑止力にならない
・終身刑には社会復帰の希望がない
・死刑反対
・死刑制度は犯罪の抑止力にならない
・代替の終身刑導入に賛成:死刑以外の方法で罪を償うべき
・死刑反対
・死刑制度に抑止力はない
「命」概念に重きを置く

■仏教系(かなりおおまかなので気にしないで)
・死刑は反対とも賛成とも言いきれない
・死刑制度は犯罪の抑止力にならない
・死刑制度に代えて新たに終身刑を導入することには反対
・検討していなかった
・検討していなかった
・検討していなかった
・死刑反対
・死刑制度に抑止力はない
・死刑制度は被害者も加害者もそして被害者遺族をも救わない
・1998年以来死刑の執行がなされるたびに「死刑制度を問いなおし死刑執行の停止を求める声明」を宗派として表明
・宗教教誨の精神から、更生と社会復帰を基調とする
・検討していなかった
・住職それぞれの判断にまかせている
・死刑反対
・死刑制度に抑止力はない
・そもそも福岡事件に長くコミットしている
・死刑反対
・不殺生は仏教の根本原理の一つ、更正を考えよ
・終身刑にしても、基本的人権の問題や憲法との兼ね合いを慎重に議論・検討すべき
・死刑反対
・死刑制度に抑止力はない
・「死刑制度に関する特別委員会」を設置
・被害者救済の法整備と被害者感情を和らげることなど配慮されれば終身刑の導入にやぶさかでない
・検討していなかった
・個々の信者の判断にまかせている
・今後、研修課題にするかも
・死刑は望ましくないが、いまどきは必要かも
・死刑制度で犯罪は抑制されると思う
・死刑制度に代わる終身刑導入に賛成
・1995年、死刑制度についてのシンポジウムを開催
・現在検討中
・検討していなかった
・死刑賛成
・死刑制度で犯罪は抑制されると思う
・死刑制度に代わる終身刑導入に賛成
■神道系(かなりおおまかなので気にしないで)
・刑法の目的は遷善悔悟にあるので復讐的であってはならない
・死刑反対
・死刑制度は犯罪の抑止力にならない
・死刑制度に代わる新たな刑の導入には賛成だが、終身刑は慎重に
・冤罪の問題、被害者・加害者の家族含め救済の仕組みを考える
死刑に抑止力があるとみなしているらしい
「まず人間教育を」という話に持っていって法制度に対する態度はどっちつかず
・検討していなかった
・死刑賛成
・死刑制度で犯罪は抑制されると思う
・終身刑は服役後、減刑になることが多いから反対
・でも宗派としては死刑問題についてどれも検討していない
(以上は『宗教者が語る死刑廃止』に収録されていた一覧表を簡潔にアレンジしたものであり、元データのままではありません。正確な内容が必要な方は、直接本書で確認して下さい)

なんか、聞いたことない団体名がけっこうぞろぞろと。
中にはおもきし事実誤認したまま思い込みで回答している事例もありますね・・・。
・・・しかし、アンケートに答えなかった残り83団体(!!)の団体名を知りたいよね。
どこかでリークされてないかな。まあーともあれ、こうしてみると、宗教は、信徒の死生観を統べるものだとは限らないんですなぁ。
あ、もとい。
宗教を標榜する団体の元締めは、死生観を統べる方向に動いているとは限らないらしい。
社会をどうこうするという方向性も欠いているのがけっこうあると。・・・うーむ。(社会への働きかけを積極的に行っている団体と差がありすぎ、渉外能力の差ありすぎ。「宗教団体」というくくりでこゆのをいっしょくたに扱うのはまずいのかもしれない)
本書には、このほか各宗派による論考や主張も収録されており、アンチ宗教者さんがたにも、オススメ。ていうか、科学の学徒や科学ファンには宗教オンチさんが少なくないので(宗教を十把一絡げにしすぎ)、敵陣視察だというスタンスでもいいから、他者を観察しておくべし。
目次
■事例から考える
シスター・ヘレンとの出会い 古川さゆり
「福岡事件」と再審助命運動 古川龍樹
パウロ袴田巌さんの再審を求めて 門間幸枝
人権のための殺人事件被害者遺族の会 千田和枝
アミティー更生プログラムから見えてくるもの 柴田幸範
■死刑廃止の主張
死刑のない未来のために 廣瀬静水
カトリック教会における死刑廃止 柴田幸範
聖書と死刑廃止 大河原礼三
死刑がないという「幻」 志村恵
世界の死刑廃止…国際基準と日本の現状 柳下み咲
聞き取り「教講師の働きに関わって」 聞き手・木谷英文
聖書的立場から見た被害者と加害者の和解 根本和子
■集会記録
第三回死刑廃止セミナー
基調講演「犯罪被害者と加害者」菊田幸一
パネルディスカッション 高木日出喜 池住圭 玉光順正
第五回死刑廃止セミナー
基調講演「いのちを見つめて」 シスター・ヘレン・プレジャン
死刑執行停止を求める −− 諸宗教の祈りの集い
真宗大谷派「死刑執行の停止、死刑制度廃止を求める」 雨森慶為
天台宗からのメッセージ 西郊良光
日本聖公会からのメッセージ 濱生正直
大本の祈り 死刑執行停止祈願祝詞 高木日出喜
■死刑制度についてのアンケート 木村且哉
本書が出版されたのは数年前。
その後、死刑問題は 『山口母子殺害高裁集中審理(光市母子惨殺事件)』などで、 さらに社会的に大きな盛り上がりを見せたわけで、その後の宗教界の動向をフォローアップした新版/続編を拝読したいところです。

【追記】ちょうど、現在の各団体が、メディアに対して裁判員制度がらみで表明した見解が報道されていた。
2009/01/11 【日本語記事】読売新聞宗教界、裁判員に悩む…「人裁けるか」「正式な制度だから」
浄土真宗:「引き続き検討していく」
真宗大谷派:「裁判員に選ばれたら、門徒として死刑という判断はしないという態度が大切」
曹洞宗の某僧侶:「人を裁くことはできないと思う一方、宗教者としての意見表明も大切だし・・・」
カトリック中央協議会:「私的な裁きは認められないが、 法治国家の正式な裁判制度まで否定はしない。」
神召キリスト教会(プロテスタント)の山城晴夫牧師:「すぐには答えが出ない」
神社本庁:「国民の義務として、裁判員に選ばれたら原則参加する」
渉外(外部との交渉をこなすこと)は大事。意見交換に備えておくことは大事だよ。「賛成」でも「反対」でも「中庸」でもそこはかまわない、少なくとも外部との関係を適切に処理する「面」について、しかと考えておくべきだ。おのおのを守るためにも。
(世間と交渉しないことで自分を守るにしても、最低限、誰か渉外係さんがうまくやっておいてくれないと、おのれを守りきれないようなまずい状況に陥りかねない)
■ 「はてブ」とはまた違った書き捨てリアクションをいただいておりま。

はてな系より渉外が弱い系ではこのように反応する、と見えないこともない。
↓
■その後の関連記事:
2009/06 PhysOrg Death Penalty Does Not Deter Murder, According to New Study
死刑は、殺人の抑止としては有効ではない

![[ EP: 科学に佇む心と身体 ]](http://homepage1.nifty.com/NewSphere/transparent.gif)







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