[ EP: 科学に佇む心と身体 ]

進化心理学,生物学,基礎,サイエンス,利他行動,事例研究 サイトマップPt.1 旧科学ブログPt.3 楽屋のブログ twitter
用語・記事・情報庫 無料翻訳掲示板 昨日: 今日:

男が欲しけりゃ女を大事に:男女産みわけ性淘汰

カテゴリ[科学に佇む2004年] 2004/11/19
●右画
 子ども、男が欲しい?女が欲しい?
 ゲットしたキャラが気に入らなかったらリセットしますか?
 男の子が欲しいのに女の子を妊娠してしまったら、堕胎しますか?

 人工的男女産み分けのいまどき商売については 男女産み分け出生前診断 でひとしきり。

 で、そういうバイオなサービスに金をかけなくとも、けっこう昔から
「肉をよく食べる妻は男の子を産みやすい、野菜好きな妻は女の子を産みやすい」
というような話はあったりする。


栄養が足りているお母さんは男の子を孕みやすい
2003/05  BBC News Famine link to girl births
2003/05  New Scientist Strong mums more likely to bear sons


 概して「良い条件に置かれた女性」は男子を産む率が高め。

2003/10 韓国・中央日報
 「経済状況が新生児性別も左右 ストレスを受ければ男児出産率が減少」


 男の子が欲しいのに女の子ばかりが産まれてしまうご家庭は、何か間違ったことをしていませんか?

暖かい土地では微妙に男の子が産まれやすい
2000/03  BBC NEWS More boys 'born in warmer countries'


 逆境に置かれた女性は、男子を妊娠しづらくなるんです。

お偉いさんは男の子の出生率が多め  庶民は女の子の出生率が多め
 これは進化的に適応的なのです
2001/06  Lingua Franca Sons and Lovers  A Neo-Darwinian theory of the leisure class.


 良い環境、良い精神状態なら、男子が生まれる率が高くなる。

悲観的な女性が産む子供は女の子
 将来を楽観視している母さんは男の子をはらみがち
2004/08  BBC News Optimists more likely to have boys
2004/08  New Scientist Women who believe in long life bear sons

2004/08 韓国・中央日報 「楽観的な妊婦は男児を産む」


 不安を感じるような、しんどい条件に女が置かれていると、男の子は生まれづらくなる。chitchit

... 以下つづき...

〓〓〓 EP 〓〓〓

シングルマザーは女子を産みやすいかも
2004/10 New Scientist Boy babies less likely for single mothers
2004/10 BBC News Baby sex link to domestic status
 parents who were married or living together before conception were slightly more likely to have a boy than those who were not.
2004/10 Economist.com Girl power
2004/10 韓国・中央日報 「独り暮らしより同居のほうが、男子を生む確率が微妙に高め」


 ↑もちろんパートナーと同居しているほうが、環境的にも将来的にも安定&安寧である率は高いであろうので、順当な結果ですな。

挿画


〓〓〓 EP 〓〓〓

この箇所へのリンク【壊れやすい男子】


 男子と女子、生まれたあと、どっちのほうが手間がかかるか。

 男は女よりもいろいろな面でコストがかかる。
 男子は壊れやすいし、扱いづらいし、失敗(早死に)も起きやすい。

2004/07 【日本語記事】朝日新聞  妊娠初期の男児死産の比率、女児の10倍に

初の妊娠は、男児だと流産リスクが高め 〜デンマーク
2003/07  Discovery Male First Birth Triggers Subsequent Miscarriages
2003/07  EurekAlert Women are more likely to suffer recurrent miscarriages if their first child is a boy


 タバコだけでも、男子の胎児は死んでしまう。

妊娠前の喫煙で男児の出産率が低下、女児の出生が増える
 男性の染色体は弱い? デンマークと日本共同研究
2002/04  BBC News Smokers produce more baby girls
2002/04  Guardian Smoking linked to lower incidence of boy babies


 生まれるだけでも支障をきたしやすい男児。

男の赤ちゃんだと難産になりやすい
2003/01  BBC News Boy births 'more trouble'
2003/01  New Scientist Boys' births more complex than girls
2003/01  Discovery Boy Babies Make for Complicated Births
2003/01  BMJ 2003;326:137  Effect of fetal sex on labour and delivery: retrospective review

男の出荷時初期不良  男性の胎児は女性より障害や発達の偏りを受けやすい
2000/12  British Medical Journal 2000;321:1609-1612  The fragile male
2000/12  NEW YORK TIMES  Boys Not As Tough As Society Thinks


〓〓〓 EP 〓〓〓

この箇所へのリンク【めんどうな男児】


 男子は手間もコストもリスクも女子よりかかる。

やたら食べたがる妊婦さん、おなかのお子さんは男の子?
2003/06  EurekAlert Pregnant women carrying boys need more energy
2003/06  New Scientist Sons make mums eat more in pregnancy
2003/06  BBC News Boy babies 'boost appetite'
2003/06  Telegraph Boys make expectant mothers feel hungry
2003/06 韓国・中央日報 「男児妊娠すると女児妊娠より食事量が増加」

男児は負担? 息子1人ごとに母の寿命8カ月縮む フィンランド調査
2002/05 BBC
News
 Boys 'shorten mums' lives'
2002/05 New Scientist Sons cut short their mothers' lives


 飢饉のさなかなど、母体が逆境にある場合、産むことが失敗に終わりやすい男子よりは、どうせなら女子を妊娠したほうがマシっぽいわけで。

挿画


〓〓〓 EP 〓〓〓

この箇所へのリンク【時と場合によっては有利な男子】


 いや、それ以前に、こんなに男子に不利な点があるんじゃ、オスなんか、はなから妊娠も産みもしないほうがいいんじゃないかと思うほど。

 が、性淘汰的に行くと、資源潤沢な安定した環境にある場合は、男子を産んだほうが結果的に子孫数が多くなる可能性がある。

女の子をご希望であれば春にどうぞ 秋は男の子を受胎しやすい季節
2003/03  Ananova Autumn conception increases likelihood of having a boy
自然はどのように男の赤ちゃんの脆弱さを補償しようとするか
 男の胎児は逆境に弱め  ゆえにサバイバルが難しい季節には男を多めに受胎する
2003/03  EurekAlert  Italian research reveals a new twist in the battle of the sexes
2003/03  Telegraph 'Autumn for boys, spring for girls'


 余裕があるときは、壊れやすいオスも産んでみてよ、みたいな。
 これらの出生性比の偏り現象、動物でも顕著な例が観察される。

いつ、何匹、どんな性比で仔を生むか自在なリス
2003/11  EurekAlert Natural selection in a nutshell
 Super squirrel moms provide silver spoon beginnings
 
子孫の性比を調整できる哺乳類
2004/02  BBC News Mammals 'choose' sex of offspring
 Leopards may never change their spots, but some mammals can adjust the sex of their offspring, according to a study by biologists.
2004/02  New Scientist Mammal mums can alter their offspring's sex


 ↑これらは動物が「今日はオスを妊娠しよう」とか考えて自在に性比を調節するんじゃなくて、環境条件に呼応した性比で妊娠してしまう体になってしまっているのであります。
 いきおい、人間の体もその延長、そんな体になってしまっている

 逆境と楽園でどっちの性が産まれやすくなるのか、は、その動物種によって異なりうる。
 育児に手間がかかる種や母体に負担が大きい種では、逆境で壊れやすいオスを妊娠するとムダ玉になって損、オスは妊娠しないほうがトク。
 産みっぱなしで勝手に育ってよ、みたいな種では、逆境では「数打ちゃ当たる」と壊れやすいオスを多めにこしらえる方がトクだったりする。

人工授精と性淘汰の邂逅
 男女産み分け、性比操作ウォルバキア、子の性比を調整する生物…
 豊かな地ではメスを産み、厳しい土地ではオスを産む
 こってりギラギラメシでメス、あっさり精進料理でオス?
2004/07  The Loom: Evolution meets IVF


 人間においては、逆境で女子、楽園で男子を産みやすい個体が、結果的に繁殖してしまいやすかった、そんな経緯を我々の体はひきずってきてしまっている。

挿画


 ストレスがあると男の子は産まれにくい。
 男の子が欲しいあまりに押し付ける「男の子を産め」という暗黙のプレッシャーは、逆に母体には「女の子を産め」というサインとして作用していたりしうるわけで。

 条件を良くするより、悪くするほうが世の中概して簡単なわけだから、男の子を産もう、と計画するより、女の子が欲しいね、と計画する場合のほうが簡単かもしれない。
 単純計算で言えば女子の出生率を上げるには母体にストレスを与えて栄養状態を悪くすればいいんだから。

 とはいえ、上はすべて「統計上」の話。%の話。
 つまり天気予報みたいなもん。
 80%雨が降る、と言われても、20%降らない可能性が残されている限り、雨が降らなくても予報ははずれていない
 条件を実行しても希望の性を妊娠できない可能性はつきまとう。

 確実に男が欲しい、確実に女が欲しい、そういう欲望に応える商売として、男女産み分け出生前診断が成り立ってしまう。
 そこには、性別に対する思いこみと幻想が、社会制度や慣習と渾然一体となったまま色濃く渦巻いている。

 …「男子を産め」というプレッシャーが女子をはらむ率を高める。
 「男子を産め」というプレッシャーが女子をはらませ、すなわち「女の子は要らないから」と男を妊娠するまで女子堕胎を繰り返すケースを増やしかねない。
 これは、何だ?
 【壊れやすい男子と殺されやすい女子】という図式にターボ?

〓〓〓 EP 〓〓〓

この箇所へのリンク【追記】

その後の関連記事 追記:

2005/05 【日本語記事】UK Today (JAPAN JOURNALS LTD.)  生まれてくる子供の性別は、親の職業で決まる!?
ふつう、産児の男女比は女児100人に対して男児が約105人。
ところが。
男性が就きがちな職業(技術系、保険、建設、会計士…)の親には男児が産まれやすい(女児100人:男児140人)
女性に人気がある職業(保育、看護師、教師…)の親は女児の生まれる確率が高い(男児100人:女児135人)
2005/05 SundayTimes  Want a son? Then get a man's job

女の子ばかり産まれるのは環境汚染が原因
2007/10 PhysOrg Excess female to male births in Canada linked to chronic dioxin exposure
 カナダで発生した慢性のダイオキシン暴露


裕福な家庭には息子が多め。ストレスの強い親からは娘が多めという現象は、
 「トリヴァース&ウィラードの仮説」と呼ばれている。

トリヴァース&ウィラードの仮説 Trivers & Willard (TW) hypothesized
 よい状態の親はより多くの息子を持つ、貧しい親からは多くの娘。
2007/08 The Royal Society Trivers-Willard at birth and one year: evidence from US natality data
米国の出生率データからの証拠
 高学歴の若い既婚女性は息子が多め
 未婚の若い女性では、幼い息子の死亡率が高め


参照:→ 「 美男美女カップルには娘が産まれがち伝説 」

最初の子を産んでから太った母さんは、男の子を産む率が高めになる
2007/09 EurekAlert Weight gain between first and second pregnancies associated with increased odds of male second child

毎朝シリアルを食べれば、男の子を妊娠しやすくなる
2008/04 New Scientist Breakfast cereals boost chances of conceiving boys
2008/04 【日本語記事】時事通信 男の子を生むには栄養のある食事を=英国の研究
 http://news.goo.ne.jp/article/jiji/life/jiji-AFP017435.html
2008/04 news@nature.com An appetite for sex
 Calorie intake before conception may mean the difference between boys and girls.
2008/04 BBC News High calorie diet linked to boys
高カロリー飲食物で男が生まれやすい
2008/04 ABC@オーストラリア Healthy breakfast? Your baby may be a boy
毎朝健康的な朝食? それなら赤ちゃんは男の子かもね

母体が何をよく食べていたかで、オスを産むかメスを産むか確率が変わってくる
2008/06 EurekAlert Diet prior to pregnancy determines sheep's gender
妊娠前の栄養状態は、産まれてくる羊の性別を確定する
 受胎前1ヵ月に不飽和脂肪酸を強化した餌を食べていた雌羊は、オスをはらみやすい

ひなを母のストレスにさらすと、長期の繁殖成功度につながる
2008/10 EurekAlert Exposing chicks to maternal stress leads to long-term reproductive success
 ヨーロッパムクドリの卵を、母由来のストレスホルモン、コルチコステロンに暴露してみました
 実験的に卵黄のコルチコステロン・レベルを増大することによって、低い品質の母だと示す「信号」を子に与える
 そして、信号ありヒナと、信号無しヒナを、低品質母鳥に世話をさせて比較する
 すると、オスのヒナは死にやすく、メスのヒナが元気に育つ傾向が出た
 これは繁殖成功度上、理にかなっている結果である

2008/12 BBC News Man's genes 'key to baby's sex'
生まれる赤ちゃんの性別を決めるのは、男の遺伝子
 男性の遺伝子構成は、彼が息子あるいは娘を持つかどうかを左右する可能性がある
2008/12 EurekAlert Boy or girl? It's in the father's genes

2009/04 Discovery More Girls Born in the Tropics
熱帯地方で女の子が多く生まれる
2009/04 ABC@オーストラリア Tropics are a boon for baby girls
2009/03 BBC News Hot climate produces baby girls
 People who live in the tropics have more baby girls
{熱帯地方で暮らす} 人々には、女の赤ちゃんが産まれがち


◆男女産み分け完全ガイド
 『男女産み分け完全ガイド 最新決定版 改訂版』
 Baby−mo特別編集 主婦の友社 (2008/09)






 このお話は→ 「科学に佇む心と体 Pt.1: 男が欲しけりゃ女を大事に:男女産みわけ性淘汰」 を転記したものです。
メタル


TwitterへTwitterへ「読んだよ!!」とつぶやく [カテゴリ 科学に佇む2004年] : 2004年11月19日 
* * *

→ 上掲のお話についてのコメント

→コメントを送りますか?

 → コメント送信ページに進む

 → Twitterもあります:Twitter iTatazm [たたずむ]

  コメントするときは、お話の日付を考慮に入れましょう。
  突進したのに相手は古い日付の記述だった、みたいな食い違いがたまに発生しています。

★START-POINT

筆者:雨崎良未
XML RSSフィード
→ ブログ新着通知(RSS)の見方

→ 併設ブログ 楽屋【Dorm B】
→ 併設ブログ 旧【科学ブログ】
→ Twitter:iTatazm [たたずむ]

進化心理学 併設サイト
【巨大記事庫】
→ 記事庫の新着・更新情報

→ 最近の主なコメント
→ トラックバック類
→ 科学なポッドキャスト

お気に入られ記事

etc.

amasakiさんの読書メーター
なかのひと
フィードメーター
科学学問