

『マザー・ネイチャー 「母親」はいかにヒトを進化させたか 上』
『マザー・ネイチャー 「母親」はいかにヒトを進化させたか 下』
サラ・ブラファー・ハーディー著; 早川書房 2005/05
原書:1999 Mother Nature
巻頭カラー口絵に採用されている近世日本の”妊娠図絵”。
キャプションでは説明されていないが、並ぶ妊婦と胎児の図絵のうち、初期胎児の姿はリアル図ではなく独鈷杵(とっこしょ)などの仏具に仮託して表されている。
つまり妊婦の腹の中には最初、人間の形をした胎児ではなく仏具が鎮座ましましている。(もとより生後いくばくかに達するまでは赤子には人性を定めなかった民俗文化)
江戸時代の胎児観を調べまとめた 故・米津江里氏の「近世書物に見える胎児観」が脳裏に浮かぶ。
さても。
この本は好きじゃない。
西欧フェミまんせーなお方とかフェミ言説全然知らないおぼこさんには良い本かもしれないが。
とにかく読んでいてめんどくさい。
著者の意図が。
フェミニズムな言説しょっちゅう混ぜ込んで、遺恨がどうの、誤解がどうの、反発がどうの。
それも「西欧人どうしでのお話」だし。
知ったこっちゃない、うざい。もっとさらっと書けや。
抑えた筆致ならまだしも、悪ふざけだかブラフだか、血の気の多い挑発もちらほらしているし、あんた冒頭で自分で語っているように「他の世代にはうざい」よ慥かに、あんたの話は。
大きなお世話な指摘をするならば、
...以下つづき...

で、今月流れていた記事、これ、なんてね。
背の高い女性は上昇志向血の気が多いといわれております。
2005/10 Times Tall women upwardly mobile
they set more store by a career than shorter women, and are more competitive.
なんでこんな誹謗中傷みたいなこと書くかというとね。
政治はうざくてきらいだからなんですよ。
ここで言う政治とは「意味の押し付け合い」のこと。
ダメな意味の押しつけをやっている科学者を、それじゃダメだよと指摘し諫めるのはいい。
でも、単なる指摘を越えて自己チューに「うちら特定の立場に都合のいい意味を押し付けるわよ従いなさい文句ある?」、偏った意味の押しつけを再生産し、延々同じタライの中で止揚もせずに押しくらまんじゅうを続けようってなぐちぐちは実にいただけない。
敵を想定し、勝ち負けを想定し、誤解・対立を増幅させる筆致。
進化心理学を日常価値観とむちゃに混同しすぎ。
いらぬところに意図策略塗りたくりすぎ。目的中毒、目的フィリア。
「主体」のとりこ。
「〜〜は〜〜になる」ではなく「〜〜は〜〜できる」
「〜〜しがちになる」ではなく「〜〜しようとする」とやってはばからぬ神経。
この人なら降雪や芝刈り機にも「意図」を張り付けかねないんじゃないかと思うほど。
進化研究を市井に伝える際にこんな姿勢じゃ、
自分個人にかまけるいくさ好きの大女。読後感想を一言で言い表すならこれ。
結局この人は現状に居たいんだよね。
現状の中で、自分がよいと思うものを正当化せんとして、そんな言動に終始している。
ミームの世代交代などおかまいもなく。
敵と同じ土俵に上がるな。
誰かこのおばさんの怨恨策略部分をすっぱり切り捨てて書き直してくれたら、いい本ができあがると思うけどなぁ。
ああ、良くいえばこれ、「人間味にあふれた科学書」という話になるのか。

「母性」って何?みたいな初心者はこれ読んでみてもいいだろう。
「フェミニズムに血沸き肉踊る」人なんかだとこれ楽しく読めるのかも。下巻には西欧フェミニズム的遺恨の歴史もつらねてあるし。
進化心理学にはこんなめんどくさい論客も居るんだなとチェックしておくのも吉。

ついでに著者がらみの過去記事を添えておく。(当該書の原書は1999年に出ている)
サラ・ハーディ、ヘレナ・クローニン 社会心理学と女性の視点
2000/03 FEED Eve Psych ESSAY | 03.07.00
ダーウィニスト・インタビュー:Speak, Darwinists!
トリヴァース、ハミルトン、ドーキンス、マーティン・デイリー&マーゴ・ウィルソン、リチャード・アレキサンダー、ジョージ・ウィリアムズ、E.O.ウィルソン、 サラ・ハーディ、ナポレオン・シャノン、ランドルフ・ネシー

![[ EP: 科学に佇む心と身体 ]](http://homepage1.nifty.com/NewSphere/transparent.gif)







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