
『ヒトはなぜペットを食べないか』
山内昶(ひさし)著
文春新書 文芸春秋 2005/04
●イヌ・ネコはいつからヒトの生活に入り込み、
●いつごろ食われいつごろ飼われていたか、
●ヒトはどの範囲で動物を性行為の対象にしていたか、
●ヒトはどのような時代どのような機会に人肉を食っていたか、
などなどゲテモノ話を大量に枕にもってきて、それらをツカミにしてこの先生はこんなコンパクトな本の中でヒトの思考枠構造の存在を説こうとしなさった。
冒険だね。
この先生、いつもよりたくさんこの本で遊んでおります。
... 以下つづき...

おおざっぱすぎ
すっとばしすぎ
とっちらかり
前からその傾向はなんぼかあったけど、この本でのはしょりかたは、さまざまに詰め込まれた情報はウンチク止まりで読み手の知恵にならぬおそれが。
研究家ではなく好事家レベルの記述になってしまっているきらい。説明不足。慌ててかきなぐっているみたいだ。
肝心の、思考構造指摘や境界の講釈は、シロウトさんには構造入門にいい話になっているのに、全体では勧めがたいのは… もったいないぞ。なぜ。
お家芸の獣姦や異食、書きたいのはわかるけれど、ここに入れていいのか、それをツカミにしなくても(下手するとゲテモノ話がメインディッシュとも受け取られかねない)構造の話はできるだろうに。特にこんなコンパクトな本では欲張るよりは切るところは切った方が…。
南方熊楠のような(くまぐすに比肩すべくもなくよりとっちらかっているが)なんでも取り込み知識持て余し曼陀羅おもちゃばこ遊園地、みたいなありさま?
錯綜輻輳した物語の中から、取捨選択の末に、こぎれいな理論を体裁良く取り出して妙ないざないを繰り広げる「中澤新一」の著述と比較すると、ある意味好対照(静的 vs 動的)というか、読み合わせると双方の毒味がそれなりに相殺されて面白いかもしれない。
ペットの扱いをどうこうせいなどと世の中のペットすべて血統書みたいな偏った書きとばし方の終章も、ちょっとひどい… 本人もなんぼかこのデキの悪さをわかってはいるようだけど、ほかの前著
「タブーの謎を解く:食と性の文化学」山内昶(ひさし)
ちくま新書
筑摩書房 1996
[bk1]
性行動のタブー、食ってはいけないタブー、そしてタブーそのものの成り立ちを構造的に解き明かす好著
「もののけ 1」山内昶著
ものと人間の文化史
法政大学出版局
2004/08
[bk1]
世界のもののけ、神話、文化、タブーを縦横に網羅してのびのびと
「もののけ 2」山内昶著
ものと人間の文化史
法政大学出版局
2004/08
[bk1]
などはオススメマーク充分な楽しい書き物だっただけに、今回のこの新書は…残念。
今回の新書は、上の3冊など前著を先に読んだほうがずっと楽しみやすいと思う
「もののけ」についてはこちらも参照を
…自分の厖大な知識蓄積範囲・視野と、巷感覚との遊離が埋めきれないこと度々の末のもどかしい思い、それが、このごっちゃりした世界観の吐きだし方に表れている、と見えないこともない。
好きだけどね、この先生の持つ世界観の猥雑さは。
それとも… 何かペットがらみでブルジョワな飼い主の悪行に出くわしたとかイヤな思いしたとか 何か個人的にあったのかな。

きわもの話が好きな方はこちらへ
![[ EP: 科学に佇む心と身体 ]](http://homepage1.nifty.com/NewSphere/transparent.gif)







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