
『犯罪捜査の心理学 プロファイリングで犯人に迫る』
DOJIN選書
越智 啓太著
化学同人 (2008/05)
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前編(「通り魔殺人」の話)はこちら。
こちらは後編です。ストーカーの研究をご紹介。
【ストーカーのタイプはこれだ!】
【 ミューレンによるストーカー5分類】(第4章「犯人の危険性を推定する」より大意)

1■拒絶型ストーカー
ふられがきっかけになるストーカー。(元恋人、元妻・・・)
過剰依存タイプで自尊心が高い。
ふられていることを認めずになれなれしい態度で甘えたりする。
傷ついたプライドから、怒りや復讐に走りやすい。(攻撃や嫌がらせ)
2■憎悪型ストーカー
些細な怒りがきっかけになるストーカー。(被害者にはほぼ落ち度はない)
日頃から不満が多く怒りを溜め込むタイプで、社会的につまずきやすい。
被害者に対して行う嫌がらせは、社会に対する仕返し。
被害者は「金持ち」「威張っているやつら」「自分を軽く見るやつら」のような、犯人が想定する社会的カテゴリーの代表にされている。
3■無資格型ストーカー
きっかけは恋愛感情。片思いストーカー。
まちぶせ、つきまとい、贈り物を繰り返す。
拒否されても動じないし理解しない。このあたりは心の病っぽい。
ストーカー全体の3分の1が、このタイプ。
4■親密要求型ストーカー
極度の自己中ストーカーさん。
自分は、自分の気を惹いた相手とつきあう権利があり、相手は自分とつきあわなければならないのだ!
告白、贈り物、まちぶせを繰り広げる。
5■略奪型
(ミューレンの分類の5分類の最後のこれは、レイプ犯や殺人犯になるので本書では扱わないとのこと)
で、『犯罪捜査の心理学』において重要視されるのは、「どのタイプのストーカーが危険なのか」という点だ。
警察としても、すべてのストーカー申し立てに対策をしつくすのは実際問題無理なわけで、どれが最も危険なストーカーなのかがわかれば、適切に危険度を見抜くことができれば、悲劇は効率よく防いでいける。
どのタイプが一番ヤバイと思う?
まずもって、最も危険度が高いのは、「1■拒絶型ストーカー」なんだよ。
つまり、「元彼」や「別れた夫」が(ストーカーの8割以上は男です)、ストーカーになると最悪の結果につながりやすい。

... 以下つづき...

【ストーカーの危険度はこれだ!】

1■拒絶型ストーカー
これが最悪にヤバイ。ふった元彼や別れた夫がストーカー化するケース。
被害者の暮らしや弱点が筒抜けな上に「ふられた憎しみ」が動機に加わっている。以前からデートレイプや家庭内暴力があったりするとヤバさはより倍増する。暴力から殺人に至ることも少なくない。
かほどにヤバイわりに、相談窓口は「痴話喧嘩は犬も食わない」「夫婦喧嘩の延長か」などとろくに取り合ってくれなかったりするんで、そんなダメダメな心構えの窓口に出くわしたら、まっさきにこの本を突きつけてやるのがいいでしょう。
2■憎悪型ストーカー
社会に対する不満から、社会の代理としての被害者に仕返しをするわけで、被害者との面識はないし、正体も明かしたがらない。そのぶん、直接の攻撃は少なめで、遠回しの嫌がらせがねちねち続く。
ただし、自分の正体が被害者にばれた場合、遠回しをやめて直接攻撃に出ることがあるので、「犯人が誰かわかった」場合は早急に警察にストーカー対処をお願いしたほうがいい。
3■無資格型ストーカー
一方的な妄想的恋愛感情で、まちぶせ、つきまとい、贈り物を繰り返すストーカー。
さほどヤバさは大きくはないけれど、それでも2割のケースで暴力事件に至ることがあるらしい。
特に、このタイプのストーカーが被害者に対して「脅迫」を始めた場合、暴力事件に至る率が高いので要注意。
4■親密要求型
相手は自分とつきあわなければならないのだ!と考える極度の自己中ストーカーさん。
このストーカータイプはけっこう行動を予測しづらく、研究の余地がまだありそうなんだそうな。
とりあえず、犯人が普通の非モテの自己中ストーカーさんなら安全なのだが、人格障害などの自己中異常ストーカーだと危険度がアップする。

【ストーカーをやばくする8つの要素】

ストーカーが暴力行為に出る確率を上げる要因8つ
(ローゼンフェルド(ニューヨーク州での研究)のロジスティック回帰分析より)p.135
a■ 犯人の年齢が低い
b■ 低学歴
c■ 非白人
d■ 元恋人・夫婦
e■ 脅迫がある
f■ 精神疾患でない
g■ 飲酒や薬物乱用がある
h■ 知能低め
だそうです。
「a■ 犯人の年齢が低い」は、青年期のヒトオスは全般に攻撃性が高いことから来ているんでしょう。思春期〜青年期の過剰な攻撃性(アグレッシブさ)は、25才を越えるとおおむね大人っぽく影をひそめていきます。
「c■ 非白人」は、日本では無理目な指標ですね。
「f■ 精神疾患でない」は要チェキ。「精神疾患や妄想を抱えている犯人のほうが、暴力的ではない」p.131のです。「心が健康な人」がストーカー化したときのほうが、危険なのです。
その後の記事 追記:
2008/10 New Scientist VIP stalkers prone to serious mental illness
有名人につきまとうストーカーは、8割になんらかの精神的異常
一般市民に対するストーカーでは2割止まりなのに
自分とは関係のない有名人を追っかけるストーカーは、妄想性のアレが多いんだそうです。

犯罪捜査の心理学は、『応用心理学の中でも現在進行形で最もエキサイティングに発展している分野』であり、『紹介した研究のほとんどは、ここ数年に行われたもの』なのだそうです。 〜あとがきより
ホヤホヤにホットなんですね。
大量殺人犯、通りすがり殺人、ストーカーなどの研究のほかにも、犯罪捜査に関わる心理学の研究は、
・立てこもりの説得手法
・人質救出の突入タイミング
・ウソの見破りに関する研究
・子供や高齢者の目撃者の信頼性を査定する研究
・冤罪を防ぐ取り調べの手法
・脅迫状の文体分析
・テロリストの行動予測
などなど、犯罪捜査に関わる心理学の守備範囲は多岐にわたっています。そんでもってそれら研究はこの数年で格段に進歩してきているのだそうです。
うーん、実に若くてイキのいい研究フィールドだ。
同じ著者が編んだ、専門家や学徒向けの
当事者がどうすればいいのか、心構えや手がかり、解決策を示してくれる良書は貴重です。


以上は本書に関するエントリの後半です。
前半をお読みになられていないのであれば、ぜひそちらもどうぞ。

![[ EP: 科学に佇む心と身体 ]](http://homepage1.nifty.com/NewSphere/transparent.gif)







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