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新刊:「ホモ・フロレシエンシス」NHKブックス

カテゴリ[科学に佇む2008年] 2008/06/06
「フロレス原人は新種だ」派の親玉による話題の書籍が邦訳されました。

◆ホモ・フロレシエンシス◆ホモ・フロレシエンシス
 『ホモ・フロレシエンシス 上 1万2000年前に消えた人類』 NHKブックス
 マイク・モーウッド, ペニー・ヴァン・オオステルチィ (著)
 日本放送出版協会 (2008/05)  [ Amazon ] [bk1]
 『ホモ・フロレシエンシス 下 1万2000年前に消えた人類』 NHKブックス
 マイク・モーウッド, ペニー・ヴァン・オオステルチィ (著)
 日本放送出版協会 (2008/05)  [ Amazon ] [bk1]

 基本的に、フローレス人は「新種だ」とも「現世人類の病態だ」とも、ずっと結論は出ていない。決着はついていないのに、ナショナルジオグラフィックが噛んだ大規模な仕掛けのせいか、はなから「新種の人類だ!」という流れが世間に大幅にでばってしまった。
 NHKも国立科学博物館も、ずっとその路線に追従して「新種です、スゴイですね」扱いしてきたと思う。

 マイク・モーウッドは、インドネシアでフロレス人を発掘し、インドネシア側の科学者に仁義を切らずに世界に向けて「新種だ」と発表し・・・、科学的さ以上にかなり諸般の条件をぶっちぎって「新種」方向にまとめるベクトル堅持で走り続けている印象がある。
 でもって。日本放送出版協会ってさ。徳間書店あたりとはまた別な意味で、危なさをはらんだいまいちな科学本を次々出す印象が強いんだよね。
 当該書が日本放送出版協会から出たと聞いては、なんとも「そうか、さもありなん」という印象が加速するんだが。

... 以下つづき...

〓〓〓 EP 〓〓〓

2008/05 【日本語ブログ】雑記帳
 フロレシエンシスの近縁集団はオーストラリアに進出? 〜マイク・モーウッド

2008/05 Northern Territory News Hobbit relative 'lived in NT'
 フローレス人と同じ系統の生物は豪州北部にも存在したと信じる
 インドネシアで「ホビット」を発見した科学者曰く


 つまり、彼は地元のオーストラリアでも発掘調査をするつもりだよ、やりたいな、とおっしゃっている。

 モーウッド含め、オーストラリアの研究者は、前々から地元インドネシア側と悶着を重ねていた。
 オーストラリアでは、先住民アボリジニを尊重する必要から、古代先住民がらみの発掘が少なからずはばかられているんだと思う。
 インドネシア側は、オーストラリアの連中は自分とこで発掘研究ができないから、ヨソサマの庭を好き勝手に掘り返しに来てやがるとみなしている部分がある。そして、インドネシア側の研究者テウク・ヤコブ先生などは、フロレス人は新種ではない/ヨソのオーストラリア人が勝手に新種呼ばわりするとはけしからん、とみなしている。
 「新種ではない」派の急先鋒であったテウク・ヤコブ先生のことは、当該書ではどのように描かれているだろうか。もしかしてシカトされていたりしないだろうか。
 残念ながら、テウク・ヤコブ先生は、去年の10月にお亡くなりになっている。
 それでも、新種だと決めつけがちな日本の風潮からは大きく離れる形で、「新種ではない」派の学者は英米にけっこうな勢力を保っている。

→ 2005/12 『まだまだ続くフローレス人論争(フロレス原人)』 ひととおりのいきさつはこちら
→ 2006/08  『炎上続行:まだまだフロレス原人は新種じゃない』
→ 『 フロレス原人に関する記事の集積所 』

 :自分はどっち派でもない。
 :単に、「新種」扱いにはなから偏向している報道姿勢が、科学的ちゃうからいやだよとごねているだけであります。

〓〓〓 EP 〓〓〓

当日の夜に追記:
 ああそうか!
 モーウッド的には、フロレス人がヒトと同種だとすると、先住民アボリジニに遠慮して自国オーストラリアの発掘が難しくなるのだが、「ヒト以外の動物」だとしておけば、オーストラリアで大手を振って古人類の発掘ができる!
 科学側的には、特定の方向に社会をたばかっておくほうが、自分らの利益になる。
 ねぇ、そういうこと!?


〓〓〓 EP 〓〓〓

追記:同書についての言及
リンク 2008/06 【日本語ブログ】雑記帳
 『ホモ・フロレシエンシス』上・下(日本放送出版協会、2008年)


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