2008/03 【日本語記事】BNN記者日記・井上 「子どもの人権SOSミニレター」導入で倍増したいじめ事件の把握件数
法務省が06年4月から導入した「子どもの人権SOSミニレター」で、いじめに関する把握事件数が昨年の2倍以上に
ミニレターは学校を通じて子どもに配られ、切手を貼らずに投函できる。
2008/03 【日本語記事】朝日新聞 いじめ調査法統一へ ばらつく認知数、子に話聞く機会を
先月、こんな記事が流れていたので、手元のアーカイブからいじめがらみの過去記事を拾い出してみた。

【海外のいじめ】
2002/09 【日本語記事】ワイアード 英でショート・メッセージによるいじめが深刻化
2001/05 cnn.co.jp いじめ防止法が8月施行に コロラド州
陰口やしかとが引き起こす校内発砲事件
校内トラブルの最たるもの=いじめ(アメリカ)
親に愚痴っても気休めにもならないんだ
2001/03 CNN.COM Kids rate bullying and teasing as 'big problem'
2001/04 ロイター 米国の学校でいじめがまん延=政府調査
2001/04 JAMA. 2001;285:2094-2100 Bullying Behaviors Among US Youth
2002/12 毎日新聞 <いじめ>米国の子ども8%が被害に 教育省などが調査
記事の表面からは、日本とたいして変わらないような状況に見える。
日本と異国とでいじめ行動に違いがあるとされる場合、どのように沙汰されているのだろう。

まず、いじめの定義が「理念」と「実態」とではなんぼかずれていたりする。
2004/10 EurekAlert Confusion surrounds bullying: Study
子どもと大人はいじめの定義については似た認識を持っているのに、いさそれを適用するときには、子どもと大人とでは違う認識を示すッぽい。
このへんは、児童虐待問題でよくある、「しつけ」か「虐待」かという見解の食い違いに近いものを感じる。

【いじめと行動】
なぜ「いじめる側」が発生するのか。
いじめは気持ちいいですか
2007/03 PhysOrg They love to make you mad
人を荒れ狂わせるのが好きな一部のモヒカン族
他の者の剣幕を察知すると、寄ってたかって煽り炎上させることに快感を感じる
いじめっ子の心理
やめられないとまらない
2007/09 PhysOrg Study looks at why the bullies carry on bullying
被害者の思いがわかっていても、自分の利益に押されて続けられるいじめ行為
「鬱憤が晴れる」、キモチイイ。
そういう快感を求めてしまうのは、それ以外の行動からの快感が少ないので、快感が強い方に流れてしまうという部分がある。
いじめ以外の行動が、楽しくない?
... 以下つづき...

2008/03 EurekAlert Children who bully also have problems with other relationships
いじめっ子はほかにも人間関係に問題を抱えている
男の場合は、「うつ病」やストレス、心の疲れがあると、暴力的な性向になるケースがある。
いじめっ子、眠れてないんじゃない?
2007/06 EurekAlert Sleep-related breathing disorder common among aggressive, bullying schoolchildren
攻撃的ないじめッコさんは、睡眠に関連した呼吸障害をお持ちの場合が多げ
しんどいから、安直に快感が得られるイジメを選択してしまう。

【いじめと家庭】
ストレスは、いじめっ子のご家庭にも元があるだろうか。
いじめっ子に育てるような親が悪い、という言説がまずあったりする。イギリスは子どもの非行を親のせいにする傾向が強いし。
2002/03 朝日新聞 子育てを学び直しも イギリス いじめをした子の親に罰金を科す
幼いころの家庭環境とテレビ視聴が「いじめ」行動に 4才当時から追跡調査
2005/04 EurekAlert Early home environment and television watching influence bullying behavior
2005/04 New Scientist TV may turn four-year-olds into bullies
いじめっ子の親は厳しくて冷たい?
お宅が寛容でなごやかならば、イジメは起きないのかも
2006/07 EurekAlert I forgive you for taking his lunch money
forgiveness and reconciliation at home lessens the recurrence of bullying among adolescents.
2006/07 BBC News Girl bullies 'often bad mothers'
いじめっ子は家庭に問題が? 親の暴力を学んでいじめます
2006/09 EurekAlert Violence in the home leads to higher rates of childhood bullying
家庭内暴力は、子供のいじめ率アップにつながる
その後の記事 追記:
欧米や日本を含めた調査の結果、いじめは家庭のせいなのかも
権威主義の両親(不当な要求や指図をする上に感受性が鈍い両親)に育てられた児童は、学校でいじめをやりやすい
両親から、敵意、虐待、物理的規律や他者攻撃的な行動を学んだ児童は、社会での人間関係にそれを投影してしまう
2008/08 EurekAlert The school bully -- does it run in the family?
ヒトは、成長過程で見聞き・経験した行動様式や価値観・世界観を取り入れてしまう傾向がある。
でも、親子だろ?
親と似た性格だから、「厳しくて冷たくて暴力をふるう」親から性格が遺伝しているから、まんまいじめに走るというモノの見方もできてしまう。

【いじめと遺伝】
性格が遺伝することについての研究は「行動遺伝学」という分野がやっている。
お子さんがいじめっ子になるのも遺伝子のせい
2007/02 New Scientist Genes may be underestimated cause of bullying
いじめっ子になるか否かは、親の夫婦喧嘩が多いか否かとは関係ない。
双子をいとこと比較
ストレスホルモンの遺伝子あたり、関係しているんじゃないか 〜K. Paige Harden
独裁的な性格の行動遺伝 発見される『冷酷さ遺伝子』
2008/04 news@nature.com 'Ruthlessness gene' discovered
Dictatorial behaviour may be partly genetic, study suggests.
でも、そのような科学的”てがかり”があったとしても、「いじめをするのは遺伝子のせいだ」という物言いは、実際無理目な部分がある。
なぜなら、「いじめっ子」は簡単に「いじめられっ子」にもなるから。

【いじめと立場】
仲間の態度がいじめを決める
2003/01 EurekAlert! Peer groups influence early adolescent bullying behavior
喧嘩両成敗
いじめっこもいじめられっこも適応障害でしょ
2004/08 EurekAlert Involvement in bullying linked with poor psychosocial adjustment
いじめっ子もイジメられっ子も状況しだい 刑務所調査
2005/09 EurekAlert Bullies who are bullied are not a special type of person
2006/11 朝日新聞 いじめ加害者・被害者、容易に変化 京大助教授が調査
2006/11 共同通信 友いないといじめ2倍に ゲームも影響、高校生調査
2006/11 【日本語記事】goo/読売 いじめ経験「加害も被害も」4割超…京大の高校生調査
なぜ簡単に立場がひっくり返ってしまうのか。
ヒトは、人生を通してしょっちゅう誰が味方で、誰が仲間ではないか、そういう確認を四六時中繰り返して生きている動物だ。
仲間、というサインに快感を感じ、仲間でない者を排除する行動に快感を感じる。そんな賤しい脳を備えている。
過度の排他行動を理性が「それはやってはいけないことだ、理不尽だ」とセーブしてくれれば世の中平和に進むのだけれど、ストレスなどで理性が弱まってしまうと、安直な「仲間区別で快感を」に走ってしまいがちになる。
「仲間区別」の基準には、特にきっちり決まったものはない。ただなにか区別しやすそうな基準が目の前にあり、モラルを保つ理性が維持できない状態にあると、ガタッといじめに踏み込んでしまうことになる。

例えば「世間学」では、「KY(理屈や論理ではなくその場の雰囲気と感情に阿/おもね/る)」日本的感性が、KY疲れを引き起こして理性を壊してしまう、そのような方向の指摘がなされていたりする。
┣「世間」や「KY」からはずれると、異端扱いが誘発される。
┗行動の把握枠に、従来にはなかった「いじめ」という枠が新たに発明された影響もある。
でも、それは日本だけのことじゃない。
上掲の 「いじめっ子もイジメられっ子も状況しだい 刑務所調査」はイギリスの事例だ。
「日本的な」という部分に拘泥しすぎると、わけわかんないまま終始しかねない。
「講座社会学 10 逸脱」 宝月誠編 東京大学出版会 1999年
『「現代型」問題行動としての「いじめ」とその制御』森田洋司
p.86
いじめ問題は,海外の事情に関する情報を欠いたまま日本にだけ突出して現れる現象であるかのような印象が形成され,その説明も,欧米と比べてわが国が抱えている社会問題に結びつけて語られたり,あるいは実証的な検討に付されることもなく日本社会論や日本人論を援用して説明しようとする試みが横行することとなった.
しかし,海外の文献から浮かび上がってくる海外のいじめ問題の状況は,現象面だけに限定すれば日本との違いというよりもむしろ驚くほど類似する点が多い.
上記「講座社会学」の引用は10年ほど昔の本からだ。
それでもいまだに、今年の「世間学」のように「日本的」にかまけた言説がふつうに横行してしまっている。

【いじめと属性】
区別しやすい基準。
そういう目立つ徴は「有徴(ゆうちょう)」と呼ばれたりするんだけども、当然「有徴」な人物がいじめの対象にされやすくなる。
転校生、吃音、癖、体型、成績・・・
それら「有徴」は、良し悪しではなく、もう単純に「区別できる」基準で選ばれるのであり、「いじめを止める要素がない」場合に最もいじめは蔓延することになる。
2008/02 【日本語記事】 UK Today (JAPAN JOURNALS)
学習障害児の80%が「いじめ」を経験
全体の6割に「いじめ」で身体外傷を負う経験
2006/08 EurekAlert Kids with OCD bullied more than others, study shows
強迫性障害をもつ子はいじめられ率が高い
2007/04 【日本語記事】読売新聞
発達障害「いじめ受けやすい」…大人のADD&ADHDの会
2007/04 【日本語記事】読売新聞 ADHD患者 8割がいじめ被害
NPO法人「SOAA」(白井由佳代表)によるネットアンケート
いじめたことがある人も46%
2007/05 EurekAlert Children with both autism and ADHD often bully, parents say
自閉症とADHD 両方とももつ子供たちがいじめに
「いじめを止める要素がない」、その状況にきょうび最も代表的に当てはまるのは、ネット。
ネットは、善人をも悪人行動に走らせかねない「歯止め」未熟な世界だ。
2007/12 【日本語記事】インプレス
いじめの内容、ネット上での中傷が21.6% MMD研究所調査
ネットいじめに逃げ場なし
2007/05 EurekAlert No escape from the bullies

【職場のいじめ】
日本だけじゃないいじめ。
いじめは子どもだけのものでもない。
ヒトに根深く巣くう、恥ずべきいじめは、大人もやっている。
医者の卵、イジメにさいなまれている@英国
2002/04 EurekAlert! Many junior doctors experience bullying
2007/05 【日本語記事】 UK Today (JAPAN JOURNALS) 日常化する「いじめ」に、行政への対策を訴え(イギリス)
アメリカの職場いじめはスカンジナビア半島より50%多い
2007/05 EurekAlert Workplace bullying 50 percent higher in the US than Scandinavia
2008/01 【日本語記事】共同通信 8割が仕事でいじめを経験 英国でストレスの世論調査
子供時代のいじめは将来にひびくが、大人になってからのいじめも、負けず劣らず将来にひびいてくる。
被虐待経験のある子は卑怯者に育つ?
2004/10 news@nature.com Bullied children hide from stress in later life
Victims are more likely to plot revenge than to confront problems
2004/10 New Scientist Effects of bullying worse for teens
中学で言葉によるイジメを経験した子、高校で飲酒率高い
2005/12 PhysOrg.com Bullied children abuse alcohol
2005/12 EurekAlert Bullying in middle school may lead to increased substance abuse in high school
初めて経験するイジメが大きくなってからだと影響深刻げ
2004/11 FuturePundit: Initial Bullying In Late In Adolescence Causes Most Harm
小児期のいじめ体験は成人後に不安症など感情障害をひきずるかも
女性で高いリスク
2001/08 BMJ 2001;323:480-484 Does bullying cause emotional problems? A prospective study of young teenagers
それだけでなく、いじめの発生は、所属する企業や職場全体の生産性まで落としてしまう。
2008/03 EurekAlert Bullying more harmful than sexual harassment on the job, say researchers
職場いじめはセクハラより有害
2008/03 EurekAlert Bullying threatens nurses' health and careers
看護婦の健康とキャリアをおびやかすいじめ

【いじめの生産性】
なごやかな職場はロスが少ない(〜スウェーデン)
職場でのいじめは病を引き起こす 残業の多い職場も休みを取る人を増やす
2001/02 BBC NEWS Bullying bosses 'cause sickness'
学校でも、いじめを放置すれば学校の業績に、生徒の成績に、あらわにダメージが来る。
2008/03 EurekAlert Cooperative classrooms lead to better friendships, higher achievement in young adolescents
協力的な教室は、生徒により良い友情とより高い成績をもたらす
敵対的な雰囲気のクラスだと、成績が落ちてしまう。
不安があると、成績が落ちるという話は先日したね。

【いじめの対策】
いじめの唾液手がかり
2007/05 EurekAlert Saliva clue to chronic bullying
トラウマの生物学的指標:子供たちの唾液におけるホルモン、慢性的いじめの指標に
2007/08 【日本語記事】時事通信 自殺者の心理、半数は誤解 「いじめへの相談重要」がトップ−内閣府調査
2007/11 【日本語記事】毎日新聞 問題行動調査:いじめ認知件数全国2位 1000人中36.2件−−昨年度 /福井
2008/02 EurekAlert University of Denver bullying victimization study
カリキュラムに基づくいじめ予防プログラムは、いじめを20%減らした。
生産性を考えた場合、いじめ対策は「日本的」などという狭視野は取っぱらった通文化的な対策(国際比較検証)が、もういいかげん表に出てきてもいい頃じゃないだろうか。
「社会心理学」は理念はともかく応用にはまだふじゅうぶんですか?

追記:「日本独特のいじめ」という考え方はしないほうがいいであろう示唆の一つ。
2008/02【日本語サイト】在日米国大使館
「いじめの現状とその解決策」
ドロシー・エスペラージュ インタビュー
いじめを招く三大要因
・子どもが暴力的な環境に置かれている(家庭内暴力、同胞間暴力)
・感情を抑えて問題を解決する術を会得していない(家庭内の話し合い不足)
・いじめについての規範がない学校に通っている(いじめ行為の手本が学校にある)
進化心理学的に言うならば、霊長類の集団内での攻撃的行為は、人間の中学生の集団内での攻撃的行為と酷似している
![[ EP: 科学に佇む心と身体 ]](http://homepage1.nifty.com/NewSphere/transparent.gif)







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