[ EP: 科学に佇む心と身体 ]

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幸福になる科学的方法

カテゴリ[科学に佇む2008年] 2008/03/23
 人間が不幸になる原因、それはなにか。

 幸・不幸は、何で決まるか。

 → 2005/03 『 幸福ってなんだっけなんだっけ 』
 → 2004/01 「幸せになるコツとデータ」
の内容をアップデートしてこちらに転記します。

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★幸せにまつわる3大勘違いはこれだ

 勘違い その1:病気や障害は不幸なはず
 勘違い その2:子どもがいると幸せなはず
 勘違い その3:金持ちほど幸せなはず

アンカー【なぜ幸せを勘違いする?】


 人間は、まわりから取り込んだ「物語」になぞらえて、それぞれの状態を、実際の幸福度には関係なく「幸せなはず」「不幸なはず」と決め込んで解釈する傾向がある。

■幸福度の3大勘違い その1:病気や障害は不幸なはず

不健康=不幸だという勘違い
 不幸か幸福かは病気か健康かで決まるものではない
2005/02 EurekAlert Study finds happiness persists, despite illness


 大病を患っていても、体が不自由でも、リアルタイムの幸不幸には実際問題、関係ございません。
 いろいろな面で不自由で、肉体的苦しみにさいなまれていても、日々の幸福度は普通に高く暮らせている例が少なくないのです。
 だのになぜか「その状態は不幸なはずだ」という思い込みや価値観がそこらじゅうに染み込んでいる。実際よりも幸福度を低く感じさせていたりする。「その状態は不幸なはずだ」という思い込みのもとに、評価や排除がなされてしまう。

挿画


 逆に、実際はさほど幸せじゃないのに、「幸せなはず」と決め込んでいる面が目立つ例は「子育て」。

■幸福度の3大勘違い その2:子どもがいると幸せなはず

子供を持つと幸せだというのはガセ
 子がいると、大人はうつ状態になる率が高くなる
2005/12 EurekAlert Feeling the holiday blues? Then you must have children

女性の幸福において重要なのは子どもの有無にあらず 〜Amy Pienta.
 大事なのは、人生の伴侶がいるかどうか
 若くして母になった人より、子どもがない既婚者のほうが、実は幸福度が高いんですよarama
2007/05 ScienceDaily Deciding When To Have A Child, If Ever: The Impacts Later In Life


関連記事 追記:

幸せな結婚生活は、たいがい最初の子が生まれることによって幸福度が低下する
2009/04 EurekAlert New research shows children take a toll on marital bliss


... 以下つづき...

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 なぜ、「実際の幸福度とは違う幸福予測」が横行するのか。
 それについては過去に2つほど、講釈を済ませてあります。
 → 『 幸せはいつも妄想のちょっと隣の心理学 』
 → 『 進化心理学的相対主義者が語る「目からウロコの幸福学」 』
 幸福感についての人類の予測能力はたいへんデタラメなのです。
 いやー、そんな状態でよくここまでやってこれてますよね。

 それでは、なぜ不幸でしんどい子育てが、幸せで感動できるものとして物語されがちなのか。
 「幸せで感動できる」と信じ込んだ人が、子育てをして繁殖するし、繁殖した人は、子供を持ってしまった自分のありようを正当化する物語をこじつけて、安住しようとする。

 自分をほめようとして編み出される「こじつけ心理」については、→ 『 認知的不協和理論 』 でひととおり。
 たくさんの「子育ては幸せだ」物語があふれていれば、実際にはそんなに幸せではなくても、人間は釣られて繁殖してしまうし、「子育ては幸せだ」物語も再生産されていく。

 この世は、実際の幸福度とは違う価値観がふつうにのさばってしまえるのです。
 その、「ズレた幸福度予測」に従って、みんなあくせく勘違いしたり、むだあがきしてみたりしています。

アンカー【幸福度の3大勘違い その3:金持ちほど幸せなはず】


●右画
金で幸せは買えません
 物や商品への欲望、物質主義は、うつ状態やいらだちを引き起こしてしまう
2001/07 Yahoo! News/Reuters Materialism Link to Depression And Anger - Study
 
富や消費は成功や満足はもたらすが、人生の喜びはもたらさない
2001/07 BBC News Wealth's impact on mental health
 
贅沢を求めて幸せを失う人々 欲は幸せをもたらさない
2004/01 BBC News Richer, stouter, and no happier


 「満足」と「幸せ感」は、意外とズレているらしいんですね。
 何かをゲットして満足しようとすると、「満足」でいる瞬間より「不満足」でいる期間のほうが長くなりやすい。
 その上、目標達成の「満足」は冷めやすい。また次の満足を求める「不満足」が始まってしまう。「不満足」にきりがないことになる。

 特に拝金主義が強くなるのは、マスメディアが登場してからですね。
 → 『 孤独なボウリングやヒトカラの必然性 』
 金や権力を手にすることが幸せだと思い込んでいる層が、発信をしやすくなってしまった。マスメディアに登場する有名人やマスコミに従事する側が発信する、自分たちをほめる理屈に、大衆が感染してしまう。「ああ、あのようになれば幸福になれるのか」という錯覚。

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アンカー【幸福度の3大勘違い おまけ:頭がよいと幸せなはず】


 元来、幸福度と頭の良さは関係はありません。
 だのに、なぜか最近やたらと「頭が良くなればいいことがあるはず」というような強迫観念めいた思い込みがあたりまえのようになってきています。
 これは旧来の「学校へ行け」「学歴主義」とはまた様相を異にしています。

 ひとつには、高齢者の頭をしゃっきりさせて財政負担を減らそうという政策の影響が、きっちり現れているのだと言えましょう。
 で、それだけでなく、「バカでいると利口な奴にだまされてしまう」という不安から、「バカにされないような賢い頭でいなければ」という強迫的感覚が生じているのかな、のようにも見えているのですが。

 不安、つまり世間への信頼感の低下。
 世間怖い、他人に頼れない、の裏返しが、まず自分をなんとかしておかねばの「脳トレ」として、もてはやされている。

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 さて、ここで不幸になるコツをいくつかご紹介。
 幸福になるコツは、このあとで紹介いたしましょう。

アンカー【不幸になる秘訣】


不幸になる秘訣はいろいろあるけれど、目立つのはこのへん。

 不幸になる秘訣の1:変化の多い暮らしをさせられること
 不幸になる秘訣の2:誰かさんより、賢くあろうとすること
 不幸になる秘訣の3:信仰をしないこと

tear_flow ★「不幸になる秘訣の1:変化の多い暮らしをさせられること」

 これは前段の「世間への信頼感の低下」ともつながります。

幸福の研究  社会がせわしくなるほど幸福度は減少する
 欲望ある限り不満足は絶えない 裕福イコール幸せとは限らない
2001/05 New York Times If Richer Isn't Happier, What Is?


●右画
 安定して昔ながらの日々の暮らしを送ることができる環境では、その日々の暮らしを続ける自分をほめる「こじつけ」が発達してきます。共同体の中で安定していれば、共同体ぐるみで、住民の暮らしを心理的に守る「こじつけや作法」が培われます。これは住民の心を守る効果を持っています。
 都会暮らしや、社会変化の多い時代などで、日々の暮らしに次々新しい要素が付け加わったり、異文化からの異質な価値観が刺さってきたりしますと、リスクマネジメント(安心の確保)がうまく行かなくなり、心の安寧(あんねい)が奪われます。他者への信頼感も薄れます。中には心が壊れるケースも出てきます。
 → 2005/03 『 人心も物語も撹乱する都会 』
 今日はこれが一番だったのに、来週になればチガウモノが流行としてもてはやされる。大事なモノが、あっという間に時代遅れで蔑まれるモノになっていく・・・ そりゃ、こんなじゃ心が保ちません。
 同じ「変化が多い暮らし」であっても、行商人や旅芸人一座など、仲間や先達が昔から培った規範をきっちり備えた生き方に沿っているのであれば、不測の事態が起きても「このようなときにはこうすべき」という物語がじゅうぶんに編みあがっているので、心は守られます。

 ヒトを育児に駆り立てる「子育て幸福」幻想が薄れてきて、子どもいらない・結婚面倒、が増えてきたのも、今どきのころころ新しいモノを求めて変化する社会状況の中では、共同体の中で自然に強固になって行くはずの「日々子育てをし家庭を営む自分たちをほめるこじつけ」が、発達しづらくなった結果と言える面があるかもしれない。
 子育て幸福幻想は、一昔前のほうが強力だったと思う。世の中の「子育て=幸福」観が薄れてきたから少子化したのか、それとも子供を作れない状況にある今の暮らしにそぐわないから「子育て=幸福」観が廃(すた)れてきたのか。

tear_flow ★「不幸になる秘訣の2:誰かさんより、優越しようとすること」

 これは頭の良さだけでなく、貯金の量でも、ファッションでも地位でも住まいでもマイミクの多さでもそうなんですが、「誰かより上に行こう、誰かを自分よりランク下に置こう」そういう「比較」基準で幸せになろうとすると、人間はあっさり不幸スパイラルに陥りやすくなります。
2004/08【日本語記事】UK Today (JAPAN JOURNALS LTD.)
 「嫉妬」が幸福を奪う!? 前よりいい家に移るも、さらに裕福な隣人の存在でいっそう「不満足」に

 誰かと比べる比較級で幸せを求めていたら、かえって「満足」は遠のいて行く。
 → 『 階級差別とスーパーヒューマン 』
 きりがない、不幸の連鎖。

 この、比較級で幸せを確認しようとする錯誤心理は、ヒトにとっては、たいへん根深い業(因縁)であるらしいのです。

もらったお金に満足か否かは、同僚との比較しだい
2007/11 EurekAlert Money motivates -- especially when your colleague gets less
お金が ― 特にあなたの同僚がより少なく得るとき ― 動機を与える
2007/11 【日本語記事】Science日本版
社会的比較はヒトの腹側線条体における報酬行動関連の脳活動に影響を与える
Social Comparison Affects Reward-Related Brain Activity in the Human Ventral Striatum
報酬の絶対額でな く、被験者の得た報酬の差が、腹側線条体における血中酸素濃度依存性反応に影響を及ぼす
2007/11 【日本語記事】Science日本版 満足感は人との差が大事!

●本 『比較は不幸のはじまり ないものねだりの心理学』 高畑 好秀著 ソニー・マガジンズ新書 (2008/03)

 「**さんよりはマシ」。そういうほめ方をせずに生きることができる覚悟はありますか?
 「**になるよりはマシ」。そういう安心の求め方が、幸福を遠ざけているのだという気配は、気付けますか?
 比較による満足が、幸福であるとは言えないのはなぜか。
 比較による満足は、麻薬による快感に近い性質を持っているんですよね。
 比較による満足感は、いつまた自分より上が出現するやもしれない不安感とがっつりペアになっている。
 比較による満足感は消えやすい。そのために、またさらに次の満足感を求めて不満に陥ることになる。
 消えやすい、エスカレートしやすい、何度もさらに欲しくなる・・・

 では、消えにくい満足感はあるのか。 そこは後述の「幸福の秘訣」で記します。

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●右画
この箇所へのリンク【不幸になる秘訣の3:信仰をしないこと】


 これは、ちょっとぎょっとしますね。
 今どきの日本、「信仰をしている」ことが下手をすると恥扱いにされかねない勢いの、信仰二の次、宗教=デムパ的な風潮がのさばっていたりしいております。その感覚の裏には、社会に対する不安がへばりついていたりするけれども。宗教ウサンクサイ、とか、信者うざい、とか、要するに、異なる価値観を許容しきれないいっぱいいっぱいさ。
 それなら、信仰をするとヒトはどうなるのか。
 ひとくちに宗教と言っても、幸福を支えるタイプの信仰、幸福度をアップさせないタイプの宗教、いろいろございます。
 → 『 痴呆と脳の崩壊と信仰と 』
 共同体の中で、自分の位置役割を支えてくれるタイプになる信仰は、かなり幸福度アップに有用め。
 そして、その「幸福をもたらすタイプの信仰」は、まさに「幸福になる秘訣(ひけつ)」を備えているからこそ、ヒトを救う効果を発揮するのです。


関連記事 追記:

宗派教義に関わらず、信仰者は、有意なレベルで学校生活に適応的で成績も良く、長生きで、結婚生活にも満足度が高め
2009/04 PhysOrg Researcher examines impact of religious beliefs on personal well-being
個人の幸福を大きく左右する宗教的信念


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 ではその「幸福になる秘訣」とは何か。

アンカー【幸福になる秘訣は2つ】


 幸福の秘訣はたったの2つ。(に絞ってみました)
 しあわせになる2大秘訣です。

 その1:良い人間関係にあること
 その2:お役に立てた感があること

blueflower ★幸福の秘訣 その1:良い人間関係にあること

幸福は家族のきずなと余暇活動の充実から
2005/12 EurekAlert Money won't buy you happiness
 family networks and having a full life outside work may do the trick.

幸せとは何か
 人気、権力、金ではありません
 幸せとは:自律できること、人の役に立つこと、他者と親しくあれること、そして自尊心
2001/02 APA News Release  WHAT MAKES PEOPLE THE HAPPIEST? RESEARCHERS SAY IT'S NOT MONEY OR POPULARITY
 Study Finds Autonomy, Competence, Relatedness and Self-Esteem at Top of List of Psychological Needs
 
幸せな中年期をもたらしてくれるもの
 楽しい大学期、円満な夫婦生活、女性には信仰、男性には子供
2001/07 Yahoo! News  Study Reveals Secrets of Happiness in Middle Age


blueflower ★幸福の秘訣 その2:お役に立てた感があること

地域活動への参加は幸福感をもたらす(アメリカ)
2001/03 nandotimes.com Study finds community work linked to happiness
  Social Capital Community Benchmark Survey

豊かさは幸福度をあらわさない
 物質的「満足」というまぼろしを追い続ける我々
 「人の役に立つこと」「良い人間関係」で幸福は得られる
2003/03 SocietyGuardian.co.uk We can't get no satisfaction
2003/03 Guardian Money and happiness

2002/07  【日本語記事】ワイアードビジョン 他者との協力は脳内の快楽が動機? 協力行動を説明する新理論


★幸福と協力の進化心理学

 ヒトは集団営巣で繁栄してきた動物です。
 集団で生活をする生物は、互いの適応度を上げるような協力行動をとると、血統が長続きしやすい。
 つまり、互いの適応度を上げるような協力行動をとったときに、満足感を覚えるような身体になっていると、血統が長続きしやすい。
 何十万年もかけて、協力できた、役立てた、という信号によって「満足感」が引き起こされるような身体に進化してきてしまったのが、人間なのです。

★負け犬スパイラル

 幸福な人は、お役にたてることを大事にする人、まわりと良い人間関係を保つ人。
 → 『 ポジティブ人間は健康も前向き 』

 逆に、不幸な人は、敵対する人間関係や、誰かより抜きんでることに拘泥(こうでい)していることが多いようです。

 あられもないことに、負け犬や弱者は、寛大さが少なくて幸福度を落としがちだよ、という話があります。
 → 『 負け犬ほど炎上する 』
 他人に情けをかける心の余裕がなく、仕返しをしたがる人ほど、悪者をこらしめたがる層ほど、不幸になりやすくなっていくという不幸スパイラル・・・

★自律しすぎという罠

 誰かのお役にたてること。たてていること。自分の存在意義があったという事実。
 それが、長続きする幸福感をもたらしてくれる。
 自尊心。

 ただ、これがちょっとねじれてしまうと、「自律できていない」者は不幸で恥である、という、とっきんとっきんした幸福崖っぷちを生み出したりしますので、注意は必要です。
 → 『 自律からホームレス、自立と女のホームレス 』

★情けをかけさせてあげるという幸福の贈り物

 情けをかければ、長続きする幸福度アップが得られます。
 援助を求め、自分に対して情けをかけさせてあげることは、援助者の幸福度を上げる効果があったりします。
 → 『 自己救済的あがき 』  救わせてあげることで、救う
 かといって、福祉現場で働く幸福につけ込んで、薄給で介護福祉士をこき使うなんてのは言語道断ですが。

他の人に情けをかければ、自分のためになるのです
 慈悲の心、他者を許す心を持つことは、ほかならぬ本人の心身に良い影響をもたらします
2001/08  USA TODAY Learning to forgive can benefit the forgiver
 
情けは他人のためならず 心の健康は利他的行動から
2003/10 Health Behavior News Service ALTRUISTIC ACTIONS MAY RESULT IN BETTER MENTAL HEALTH
 
「それがなければみじめ。でも、それがあるなら誰かに譲ると幸せになれる。これなあに?」
 ふつうはお金では幸福は買えないけれど、こうすれば幸福は買えるんです!
 「誰かのため」になるお金の使い方をすれば、あなたは幸福になりますよ!
2008/03 news@nature.com Money buys happiness Especially if you give it away.
2008/03 New Scientist Give away your money and be happy
慈善で幸せに
2008/03 BBC News Charity 'makes you feel better'
2008/03 【日本語記事】Science 与えることが大きな幸せに ‘Tis Better to Give
 自分のために金を使うより、他人にお金をあげるほうが、幸福度アップ
 幸福感を増すには、所定の日にわずか5ドルの寄付をするだけで十分
"Spending Money on Others Promotes Happiness"


 ボランティアをしたことがありますか?
 「お役にたつ使命」を果たしたことはありますか?

関連記事 追記:

簡単に幸福度を上げる方法:感謝の手紙を書きなさい
 書けば書くほど、幸せ度合いがアップする
2008/11 EurekAlert Study: Want to be happier? Be more grateful

お金で買える幸せ
 幸せが欲しいなら、モノではなく経験を買いなさい
2009/02 EurekAlert Buying experiences, not possessions, leads to greater happiness
 物を購入するより、体験や経験のためにお金を使う方が、幸福度が確実にアップします

新しい幸福研究は、証明する ― 経験を買うより、モノを買ったほうがましな場合
2009/02 EurekAlert New happiness research demonstrates when material items are the best option
 過去の研究は、休暇や劇場チケットのような共有経験は、物質的商品の購入より、長期の幸福につながるとしていた
 しかし、それは時々逆効果になるわけで
 良い経験と良い商品購入を比べた場合は、経験の勝ちだが、いやな経験と失敗した商品購入を比べた場合は、いやな経験のほうが長いこと幸福度を落としてくれる


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 以上、ヒトにおける幸福度の話でした。

 一部、宗教ボメのくだりもあって、なんや思いきり宗教勧誘っぽいかな。

 筆者は特には信仰は持たない。
 ただ、価値観的に密教方面の影響をけっこう受けた独特の信念は抱えている。
 → 『 科学と宗教、東西生死の進化心理学と世界観 』

 まあ、宗教云々はよっこしても、そこらじゅうに蔓延している、「社会の進歩は明るい未来」「科学技術の発展は幸福につながる」その手の「進歩史観」は、科学的に見て、ただの錯覚でしかない。そこは言っておきたい。

 ヒトは、世間に蔓延している「こうすれば幸福になれるはずだ」という虚妄に導かれて、不幸に足を踏み入れる。
 → 『 幸せはいつも妄想のちょっと隣の心理学 』
 → 『 進化心理学的相対主義者が語る「目からウロコの幸福学」 』
 科学的に見れば、ヒトの幸福予測はこんなにめちゃくちゃなのに。

アンカー【国民の幸福度】


物質的豊かさは、幸せをもたらしはしないし国を強くするわけでもない
2004/09 EurekAlert Wealth does not create individual happiness and it doesn't build a strong country, either


●右画
 国と言えば。
 地球上でダントツにリッチな国なのに、たいへん国民の幸福度が低いことで有名な国がある。
 いや、日本よりひどい国があるんだ。
 それは、アメリカ合衆国。
 アメリカ国民の幸福度は、先進国の中でもダントツに、低い。イラク戦争やなんやをよっこしても、低い。
 → 『世界の幸せ比べ:幸福度の各国間比較』 幸せな国はどこかご存じですか?
 そんな状態なのに、「アメリカ的なやり方で行けば幸せになれる」という間違った勘違いを世界中に見せびらかすことを良しとしている、まるで不幸の手紙を地球規模で大盤振る舞いしているようなとんでもないお国柄。

 「社会の進歩は明るい未来」「科学技術の発展は幸福につながる」
 そういう妄想に包み込まれて、現実に不幸に陥っているのは、アメリカだ。科学技術と経済効率で世の中を変えることによって神の理想を実現しようとしているアメリカが、不幸を歩んでいる。

 「社会進歩」しなくても「科学技術が発展」しなくても、幸福な暮らしはできる。
 ていうか、進歩観・科学観で、幸福のありかを設定し間違っている例が多すぎるんだ。
 死者が減れば幸福度が増えるわけじゃない。
 事故が減れば幸福感がアップするわけじゃない。
 儲けが出れば、人類幸せになるってもんじゃない。
 ●● 『リスク学に見る科学者の勘違い』
 ヒトの、人類の、幸福を追求してくれているつもりなのであれば、まずそこから考え直すべきだ。
 実際の幸福感は、進歩観や経済とは別の機序で発生する。

 「イゾラド」の話は読んでくれたことはあるだろうか。
 → 『 科学メモ:先住民イゾラドの尊厳、FUNAIとインディオ 』
 現代世界と交流したことがないアマゾンの少数民族達を、そのままに暮らさせてやろうとするたいへんな福祉作業を続ける人々。
 自給自足で生活が足りる種類の文化は、ヨソの文化と交流しないことが最も幸福度が高くなる、そういう性質を帯びやすい。その幸福の尊厳を、異文化が異文化から守ってやる。この作業のたいへんさは日本では想像ができるだろうか。

挿画


 で、なんだかんだ書いたけれども、チベットの宗教は、幸福度がかなり高めなんだよ。
 貧しかろうが、遅れていると言われようが、チベットは現実の幸福度でかなり世界の最先端を行っている。
 欲の根を見きわめ、慈悲と喜捨で幸福を培い、良い死を構築する。共同体の中での合意が成員の心を守り支える。
 進歩観の不幸より上。

 幸福になろうという錯誤の進歩観より、はるかに実際的に、今生(こんじょう)を幸福にする。
 そのチベットの安寧を、幸福度でははるかに劣る中国が、「間違った幸福観」を振りかざして中国のようになれよと踏みにじりに来ている、来続けている。

 今、中国でチベット暴動が起きている。
 チベット的には力より、権力より、幸福度を優先するからこそ、国としての対外アピールに無頓着であり、そのせいで中国にあっさり征服されちゃったし、征服された状態にも頓着せずに中国の横暴を許してきたし、非暴力で我慢してきたし。
 この好機を迎えてもまだ、チベット亡命政府は独立の要求をするでなく、信教と文化の自由だけでいいからと言ってしまう無鉄砲な上品さ。
 でも自分は信者じゃない。
 外部の人間だからこそ、心が狭いからこそ、中国が許せないんだよ。
 チベファン的に、絶対許せない。

 不幸になる秘訣の1:変化の多い暮らしをさせられること
 不幸になる秘訣の2:誰かさんより、賢くあろうとすること
 不幸になる秘訣の3:信仰をしないこと

 チベットに自由を。

→ チベットを救え チベットから中国文化を排除しろ

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アンカー【追記】


 リンク 2008年3月25日(翻訳公開 2008-05-13)
 陳思:サロンでのチベット事件についての討論ノート

「チベット人の習慣は我々と異なり、たいていある程度お金がたまったらそれで止めてしまう。生活できればいいという考えだ。また、人によってはある程度稼いで、縁があって活仏と知り合って人生の道理を悟ったら、すぐに財産を喜捨して、最低生活を維持できるだけしか残さない。したがって、彼らは全く内地商人と競争にならず、急速に周縁化されている。」


 幸福の基準が違う。
 そして、確実に先住民であるチベット人とその共同体のほうが、商業社会より幸福度が上なのだ。

※「国民総幸福量 GNH」は、主に下記4柱から測られる。
 ・持続可能で公平な社会経済開発
 ・自然環境の保護
 ・有形、無形文化財の保護
 ・良い統治
 リンク Yahoo!辞書 国民総幸福量 (こくみんそうこうふくりょう)

◆ 中国はいかにチベットを侵略したか◆ チベットを知るための50章◆  チベットの死者の書◆ チベットの生と死の書
 『中国はいかにチベットを侵略したか』 マイケル ダナム (著) 講談社インターナショナル (2006/02)
 『チベットを知るための50章』 (エリア・スタディーズ) 石浜 裕美子 (著)  明石書店 (2004/05)
 『原典訳 チベットの死者の書』 (ちくま学芸文庫)  川崎 信定 (翻訳)  筑摩書房 (1993/06)
 『チベットの生と死の書』 ソギャル リンポチェ (著) 講談社 (1995/10)



TwitterへTwitterへ「読んだよ!!」とつぶやく [カテゴリ 科学に佇む2008年] : 2008年03月23日 
* * *

→ 上掲のお話についてのコメント

1721 #MJWiGxv6 コメントアンカー 雨崎 さんのコメント 【2008/12/06】

「比良坂竜二」名義のコメンター曰く、
>『ソーシャル?キャピタル仮説』
>人間関係が希薄な社会ほど心や健康に悪影響を及ぼす、
>と言う説で、これもまた社会調査で知られるようになってきました。
>人と人の繋がりの弱さや信頼感が乏しい社会ほど、
>ストレスを溜め込みやすくするのです。(2008/12/06 16:17記)
http://d.hatena.ne.jp/aoneko_rock/20060207/p1

えーと。
ソーシャル・キャピタル仮説と、ソーシャル・キャピタル論は、別物ですよね。
おおせの仮説はいつ発生した仮説ですか?具体的にはどのような調査が報告されていますか?

人間関係以前に、関係がなくとも自己正当化を強化できる言説にふだん接することができているか否か、という点が大きいのではないかと、自分はみなしておりますが。
手元には2001年にオスロの調査などがあります。
「科学に佇む心と体 Pt.1: 人心も物語も撹乱する都会」
http://am.tea-nifty.com/ep/2005/03/storycity.html

1957 #SAu5W79E コメントアンカー 比良坂竜二 さんのコメント 【2008/12/06】

雨崎様 勉強させてもらっています。

おおせの仮説はいつ発生した仮説ですか?具体的にはどのような調査が報告されていますか?

新書で、高田明和著「健康神話にだまされるな」の第一章 9 格差社会でも命は平等?
近藤 克則 (編さん)検証「健康格差社会」-介護予防に向けた社会疫学的大規模調査 (単行本)

人間関係以前に、関係がなくとも自己正当化を強化できる言説にふだん接することができているか否か、という点が大きいのではないかと、自分はみなしておりますが。

「主観的な精神状態を傷つけている」という点は同じかとみなしております。
えーと「食育」ナンダロアヤシゲと 食事と疾患に関してで、コレステロール論争が最近の
興味です。

2150 #MJWiGxv6 コメントアンカー 雨崎 さんのコメント 【2008/12/06】

お。m(__)m ご再訪&レス&情報源ありがとうございます。 φ(・_・ )memomemo!

「人間関係」や「社会関係」ではなく、「自己正当化を強化できる言説にふだん接することができているか否か」という「個の正当化」に話をふったのは、先日話題になっていた「テレビを見る時間が多い人は幸福度が低い」という報告が頭にあったからです。

2008/11 EurekAlert Unhappy people watch TV, happy people read/socialize
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2008-11/uom-upw111408.php

 これは、人間つきあいが少ない人がテレビを見るからだ、という話にとどまりません。
 テレビは、テレビを放送する側の人間の自己正当化理論に沿った内容を一方的に放送します。マスメディアは、マスメディアにたずさわる立場をほめあげる理論によって立つものであり、それに即した特権的・都会的・・・な自己正当化の理屈を流しやすい。それらは受け手側個々の自己正当化理論とは齟齬をきたすものであり、受け手は、田舎の家にいながら価値観を攪乱する都会にほうりだされているのと同じ影響をこうむりうる。この心的悪影響の構造は、いわゆる犯罪不安社会よりも一段根深いものがあります。
※ 犯罪不安社会 http://ep.blog12.fc2.com/blog-entry-947.html

マスメディアではなく、
・読書であれば、自分のありようを正当化する取捨選択が可能
・家族間やリアルご近所であれば、自分のリアルなありように即した自己正当化理論(安心醸成効果)が強化でき幸福度がアップする
・ネットのSNSなら似た者どうしを取捨選択できるので幸福度がアップする
・ネットの見知らぬとおりすがりの類だと、自己正当化の理論がつぶしあいをする頻度が高くなるので幸福度は低下しがちになる

自分は、立場によって自己正当化の理屈は全く異なっているほうが適切であるとみなす者です。ゆえに和解や分かり合いは必須条件だとはみなさない。
※ たとえば尊厳死 http://ep.blog12.fc2.com/blog-entry-1118.html

コレステロール言説やメタボ言説たち、なかなか怪しげでいいですよね。w
多数の人間を動員するためのマス用唱導は、どっかこっか怪しくなりがちですね。「不安のポピュリズム」?

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  突進したのに相手は古い日付の記述だった、みたいな食い違いがたまに発生しています。

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