[ EP: 科学に佇む心と身体 ]

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帝国医療と人類学は陶酔を避けようよ

カテゴリ[科学に佇む2008年] 2008/02/05
◆左表紙

 『帝国医療と人類学』 奥野克巳 春風社 2006

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●「帝国医療」というネーミングがどうも、という点と、異分野との交信は? という点は
 → 『 医療人類学のレッスン:異分野との交信の余地アリ』
のほうに書きました。

●ヒトには、トップダウンな視点で大仰な枠組みを作り進むことを好む性向を持つ者と、ボトムアップな「その場の齟齬の吟味」を優先し編み上げることをよしとする者がある。(後者は→ 『 医療人類学のレッスン:第7章』→ 『遺伝医療と心のケア』 のような)
 女性が主導権を持つ場合には、「帝国」という呼称での着想や音頭取りはなされなかったかもしれない、などと思ったり。

●異分野から見て、この「帝国」呼ばわりはノレる? レトロすぎてついていけない? どうなんだろう。

... 以下つづき...

〓〓〓 EP 〓〓〓

目次:

第1章 グローバル化する近代医療 - 帝国医療を手がかりとして
 世界的な感染の時代/フーコーの「統治性」を手がかりとして/植民地時代以前の疾病史/統治技術としての帝国医療/帝国医療の生成変化/人類学の課題

第2章 土着の実践から民族医療へ
 民族医療とは/帝国医療・人類学・民族医療/マラヤを事例として/民族医療研究における困難/民族医療研究の再構想/民族医療における近代医療の過剰

第3章 帝国医療の実相を探る - マラヤのラターをめぐって
 帝国医療のイメージ/マラヤの人びとをめぐる記述/コンタクトゾーンにおける交渉/読みの拡大

第4章 帝国医療の亡霊 - サラワクのコンタクトゾーンから
 先住民プナン/国立公園の動物を食べる/村の対立と分裂/闘う先住民の不安/新薬開発と生物資源/帝国医療の亡霊に出会う


●各地各種の文化結合症候群の踏査はたいへんおもしろい。
  リンク 文化結合症候群
 これをダイレクトに、そこらの日本の市井の暮らしと意味的にクロスさせてうまいこと面白い絵をこしらえると楽しいだろう。

●引用や参照文献が内輪すぎないか。
 ビジビリティが低い理由は何。
 仲間にしか通じないのか。
 需要とは離れた場所で動いているのか。帝国には勝てないのか。

●個人的に帝国医療で一番気持ち悪かったのは、この本の装丁だったりする。
 「帝国」というわざとらしさを敢えて使うのであれば、「方便なんだよ」と一歩引いたスタンスを感じさせる、気負わぬスラッとした「研究書」のようなソフトカバーで読ませて欲しかった。
 この、耽溺したような、自己陶酔したような、大仰なハードカバーはいただけない。恥ずかしい。
 試論的に、チャレンジャブルに、権威ぶらずに世に伝えてほしい。

挿画


 当該書のあとがきに記されていた、ここ数年の「帝国医療」界隈の動きをメモっておこう、としたら、なんだ、のきなみこれら、ウェブに関係テキストが置いてあるではないか。
 ビジビリティが低いだけだったのか。
 それならと、リンクを並べておきますが。

●2002年〜2004年 
 文科省の科研費補助金による研究「グローバル化する近代医療と民族医療の再検討」
 研究代表者:奥野克巳
 リンク 『グローバル化する近代医療と民族医学の再検討 研究史における私的メモワール』 池田光穂

●2002年 日本民族学会の研究大会
 奥野克巳・個人発表「帝国医療の人類学研究に向けて」
 リンク 帝国医療の人類学研究に向けて 奥野克巳

●2003年 シンポジウム「帝国医療の予感:植民地状況における医療と文化を考える」
 池田光穂・九州人類学研究会主催
 リンク シンポジウム「帝国医療の予感 植民地状況における医療と文化を考える」

●2003年 日本文化人類学会 年次研究大会
 池田光穂 分科会「帝国医療の逆襲:21世紀ポストコロニーの医療を考える」
 リンク 分科会「帝国医療の逆襲:21世紀ポストコロニーの医療を考える」

●2004年 日本文化人類学会 年次研究大会
 奥野克巳 分科会「帝国医療の問題系」
 リンク 「帝国医療の問題系 ― 近代化のレッスン」

●2004年 シンポジウム「熱帯医学と地域研究:知の実践と構築」
 ┗『地域研究』七巻二号で特集記事化
 リンク 熱帯医学と地域研究 ─ 知の実践と構築 <森・開発・疾病>
 リンク 『地域研究』発刊

●2004年〜
 国立民族学博物館 共同研究会「グローバル化がもたらす保療システムの変貌」
 池田光穂 主催
●2005年
 国立民族学博物館 共同研究会「グローバル化がもたらす保療システムの変貌」
 口頭発表「帝国医療研究の過去と未来:人類学文献の解題をとおして」
 奥野克巳&山崎剛民

 上の2つは「グローバル化がもたらす_保健_システムの変貌」の誤植だと思う。
 リンク グローバル化がもたらす保健システムの変貌
   Transformation of Health Systems under Globalization 池田光穂
 リンク グローバル化がもたらす保健システムの変貌
  国立民族学博物館|研究部 共同研究 代表者 池田光穂

●2005年 日本文化人類学会 年次研究大会
 池田光穂&奥野克巳 分科会「周縁化される他者の身体:帝国医療の諸相」
 リンク 「周縁化される他者の身体:帝国医療の諸相」

●●●○●●●

 奥野克巳氏のブログ リンク たんなるエスノグラファーの日記
 奥野克巳氏のサイト リンク たんなるエスノグラファー

 池田さんのほうは、もう10年くらい前から魔窟のようなサイトを展開なさっている。
 リンク 池田光穂の日本語ポータルサイト
 怪人たる面目躍如、構成がぐちゃぐちゃなのです。当初から 「私のウェブページの構造はとても複雑でわかりにくく作ってあります。」 と開き直っているし、発信意欲は強いが何が出てくるかわからないパルプンテ状態。ase
 玄関から入るよりは、一般のサーチエンジンを使うほうが早かったりするのだった。

 初心者は、読むなら●本 『 医療人類学のレッスン』 のほうをお先にどうぞ。
 当該書は、ある程度このかいわいの知識を備えた上で、内容を検討しながら読むことができる人向け。




追記:
●「帝国医療」の奥野さんは「人獣科研」を始めなさるらしい。
リンク 2008/04 奥野克巳 「人間と動物の関係をめぐる比較民族誌研究」という科研費研究(通称:人獣科研)




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