[ EP: 科学に佇む心と身体 ]

進化心理学,生物学,基礎,サイエンス,利他行動,事例研究 サイトマップPt.1 旧科学ブログPt.3 楽屋のブログ用語・記事・情報庫
無料翻訳掲示板へぇボタンとは 昨日:  今日:

催事情報、みなさんお知らせありがとうございます。

戦争の心理学で「殺人当事者力」を鍛えましょう

カテゴリ[科学に佇む2008年] 2008/07/24
 自分が殺される間際、他人を命を奪うとき、死ぬほどのパニック。
 チョー危機的状況におかれ、完全にイッてしまったときのヒトの反応とはどのようなものか、その研究を尽くし、どんな修羅場でも確実に殺人や防御をなしとげる人間を作る。そのエキスパートが記したご本だ。

◆左表紙

 『「戦争」の心理学 人間における戦闘のメカニズム』
 デーヴ・グロスマン、ローレン・W.クリステンセン著
 二見書房 (2008/3/1) [ Amazon ] [bk1]

> 人を殺しても心を病まない兵士を育成する!
> 戦闘心理・生理研究の決定版


 著者は「殺人行為」の研究者だ。「人が人を殺すとき、当事者に何が起きるか」について、この本はつまびらかに教えてくれる。
 そして「命がけの殺しあいの場面で、何事にもひしゃげることなく、的確に遂行できる人間」を作る訓練についても、厚い経験と実績の蓄積を元に開陳してくれる。

 この著者は、かねてより
  その1●人間を効率の良い殺人マシンにする方法はこれだ
  その2●テレビゲームは人間を効率よく「人殺し」にする

このショッキングな主題2つについて、熱心に世に説いて回っている。
 当該書も、内容は大きくこの2つを軸に展開する。

〓〓〓 EP 〓〓〓

アンカー【覚えておくと便利な「壊れる自分」】


 先日記した●● 『アブダクション(宇宙人誘拐)とバカすキツネの共通点』は、
  慢性のストレスで萎えたときの心理反応
の話だったと言えるかもしれない。

 今回の●本 『「戦争」の心理学』が教えてくれるのは、
  急性のストレスで萎えたときの心理反応
だ。大きくくくるならば、「緊急時ストレス管理(p.35)」「「緊急時ストレスマネジメント(CISM)」ということになるらしい。

●右画
 殺るか殺られるか。
 ヒトは「土壇場」でどんなことになるのか。
 まず身体反応では、「大小便を漏らす」achar ふつうに、漏らす。

p.48『ふいにだれかに襲われて殺されそうになる。このとき、身体反応は完全に交感神経系に支配され、消化吸収のような副交感神経系の働きはすべて放棄される。』
p.48 大意:戦闘で大小便を漏らさなかった兵士も、ほとんど全員がいわゆる「ストレス性の下痢」を起こす。

 ほおお。
 でもって、「お漏らし」は土壇場ではアタリマエの現象であるにもかかわらず、「恥・不名誉」がまといつくからか、語られず知られていないんですね。秘められがち。

p.43『9・11テロほどくわしく報道・研究された事件は、世界史を見てもほかに例がないと思う。にもかかわらず、生存者の大半が大小失禁を経験していることはほとんど知られていない。』

 漏らすのはアタリマエなのだ。だのに世の中にあるのは、お漏らし情報はきれいに割愛した小説、漫画、映画、報道だらけなので、いざ現場で「大小便を漏らしちまった!」当事者は、そのことに困惑狼狽し、
 それだけでもう、かなーり戦闘や生存に不利になる
 狼狽するな。うろたえるな。
 土壇場では自分に何が起きるのか、それがどの程度自分の命に関わるのか、戦士はあらかじめ知っておくべきだ。著者は戦士が踏まえておくべき土壇場反応について列挙する。

 土壇場でイッてしまうのは身体だけではない。おもきし頭も理性も壊れるのだ。crazy

... 以下つづき...
この記事を単独で表示する◆    trackback(0) :comment(0)  

これがリスク学と科学者のエートス

カテゴリ[科学に佇む2008年] 2008/07/21
なぜ通り魔殺人は、介護殺人より恐怖されるのか。
リスクは、社会にその事象をうまく処理する意味体系が用意されていない場合に、問題となる。

◆ 精神疾患の行動遺伝学 ◆ リスク学とは何か◆ 経済からみたリスク
 『精神疾患の行動遺伝学 何が遺伝するのか』 ケリー L.ジャン (著) 安藤 寿康,大野 裕 (監訳)  有斐閣 (2007/10)
 『リスク学入門 1 リスク学とは何か』 橘木 俊詔、長谷部 恭男、今田 高俊、益永 茂樹 (編さん)  岩波書店 (2007/07)
 『リスク学入門 2 経済からみたリスク』 橘木 俊詔 (編さん)  岩波書店 (2007/10)

◆ 法律からみたリスク◆ 社会生活からみたリスク◆ 科学技術からみたリスク
 『リスク学入門 3 法律からみたリスク』 長谷部 恭男 (編さん) 岩波書店 (2007/08)
 『リスク学入門 4 社会生活からみたリスク』 今田 高俊 (編さん)  岩波書店 (2007/11)
 『リスク学入門 5 科学技術からみたリスク』 益永 茂樹 (編さん)  岩波書店 (2007/09)

 『精神疾患の行動遺伝学 何が遺伝するのか』は、自分野の管轄のみからしか世界を見ていない。対外不足、異分野軽視。これは監訳者の安藤寿康氏の姿勢にも強く通じるところだ。
 概して、科学(側を自認する者)がひけらかす科学観に感じるのは、己が寄って立つ/獲得している価値観に疑義を持っていないという、違和感。足元を疑っていない能天気さ。

 例えば、この「リスク学」5巻組。
 経済、法律、社会学、科学技術それぞれのリスク観/想定、対処があまりにも違っていてちゃぶ台ひっくり返したろかと投げ出したくなる以上に、4巻と5巻の乖離、4巻社会生活から見たリスクと、5巻科学技術が取り組むリスクが、寄って立つ次元が違っていて痛い。
 5巻科学技術は、はなから科学技術が成功しいの死者や病者を減らしいの社会の役に立ちいのするにはなんとしょう、といっこうに己が寄って立つ価値観を疑っていない(死者・病者は減らすべきものである、科学技術で言う成功とはこの方向で当然である、一括施策側の役に立つべきである・・・)というか、そこを疑わなくなって初めて科学技術の推進が云々できるのか、価値観スルー状態。4巻ではそも、その価値観のありようを疑ってかかっているのに。
 5巻は4巻を見ていないのか。科学技術は価値観の根を見ていないのか。単に編集段取りの都合で、いっせいに出すジャンケン状態になった結果、5巻は手負けしてしまっただけなのか、それとも科学技術は「あれでいい」のか。科学技術はその基本をすっ飛ばした上の段階をデフォルトにしないと成り立たない分野なのか。

 価値観の感受性が鈍磨しているその状態は、はたから見れば権力側の下僕、統括側の犬としてのマッドサイエンティスト臭ふんぷんであり、民衆の側の物語を侵犯する悪い学者キャラ立ちまくりじゃないか。
 科学の側を自認した時点で、ヒトは何か科学的モノカルチャーに呪われてしまうんだろうか。いや、基本を悩みたくない省力思考をしたい人間が、モノカルチャーな科学技術推進に安住しがちなのか。

... 以下つづき...
この記事を単独で表示する◆    trackback(0) :comment(0)  

死から見る生 自殺と終末期医療を考える

カテゴリ[科学に佇む2008年] 2008/07/20
◆左表紙

『死から見る生 自殺と終末期医療を考える』
 佼成出版社 (2007/03)


 「自殺と終末期医療を考える」ために各論者が集った論考集なのかと思いきや。
 1980年代から今に至るまでの雑誌『真理と創造』(中央学術研究所)や『平和と宗教』(庭野平和財団)に載った既存の論考を収録したもの。(収録にあたり、適宜各執筆者による加筆改稿がなされている)
 でも、巷に散在する既出文面の寄せ集めだった 『暴走する「地球温暖化」論』ほどの肩すかし感はない。

 意外に濃い佳品がそろっている。
 先日、目を通した
 『死生学 1 死生学とは何か』 島薗 進、竹内 整一編 東京大学出版会 (2008/5/22)
が、その主題のために集った者たちが記した論考であるのに、なんかぬるくてスルーしてしまったことを思えば、この既出論考の寄せ集めである『死から見る生』の濃い感(現場的実感)は、けっこうイケているのではないかと思える。4半世紀ぶんもの蓄積の中からの、選りすぐりなのか。

〓〓〓 EP 〓〓〓

アンカー【青木新門】


■青木新門「生きて、往く。だから、往生という −− 納棺夫が触れた死」

 出色の逸品。
 作家は、この角度から、こう焦点を絞って切り取り貫けば、一本厳とした心への穿ちを作れる、そう見込んで話を形成する。そういう、研究者とは異なる、作家としての流儀がきれいに結実している。
 死体を棺に収める仕事、納棺夫。
 富山地方では、納棺、湯灌は近親者が行なう風習になっているのだが、遺体を大切に扱い上手に棺/ひつぎ/に納める家は少なかった。ほとんどが村の長老や葬儀屋に指図され、男衆が酒をあおっていやいや遺体に触れるものだから滅茶滅茶になってしまうのが実情だった。見るに見かねて、納棺を手伝うようになった。ただ、それだけの理由だった。

 その職に就いてからは周囲からは忌み嫌われ、自尊心もやりきれなく・・・
 それが、とあるご縁のお方の父上の納棺を行うめぐりあわせに遭い、それからすべてが一変する。

... 以下つづき...
この記事を単独で表示する◆    trackback(0) :comment(5)  

科学な新刊リスト

カテゴリ[科学に佇む2008年] 2008/07/18
 :去年、読んだ ●本ミニ 家永登『子どもの治療決定権 ギリック判決とその後』日本評論社 (2007/02) にしろ、子どもが受ける医療(もしくは我が子の改造)を決定する権利があるのは誰でどの範囲なのか!という問題は、かなり深刻な眩暈もの。suji 要チェキ。

◆新刊◆新刊◆新刊
 『子どもの医療と法』 小山 剛、玉井 真理子編 尚学社 (2008/07)
 『日本における自殺死亡率の地域分布』 松本 寿昭 著 原人舎 (2008/07)
 『祈りの研究 現世利益の実現』 中村雅彦著  東洋経済新報社 (2008/7/11)
 ┗国立大学教授でありながら「プロの拝み屋」(祈祷師)さんなのだ

 :中村氏@愛媛大の著作は面白いよ。goo 四国という風土もあるのかな。
◆ 呪いの研究
 『呪いの研究 拡張する意識と霊性』 中村雅彦著 トランスビュー 2003/04 
p.21
『私は確信を持って断言する。シャーマンとは癒すだけではなく、滅ぼす者でもある。
 「裏切り者は消せ」というのも、この世界の常識である。』

◆ スピリチュアリティの心理学
 『スピリチュアリティの心理学 心の時代の学問を求めて』 安藤治, 湯浅泰雄 (編さん)  せせらぎ出版 (2007/03)
 寄稿:中村雅彦「スピリチュアリティの心理学的研究の意義」
『主観的幸福感の説明変数としてのスピリチュアリティを考える。
 たとえ、自己超越性と自己志向が高くても、協調性が低ければ、それは狂信的、妄想的なパーソナリティとなる。』


◆新刊◆新刊◆新刊
 『海洋資源の流通と管理の人類学』 みんぱく実践人類学シリーズ 岸上 伸啓編著 明石書店 (2008/07)
 『撹乱と遷移の自然史 「空き地」の植物生態学』 重定 南奈子、露崎 史朗編著  有限中間法人 北海道大学出版会 (2008/05)
 『寄生と共生』 石橋 信義、名和 行文編著  東海大学出版会 (2008/07)
 ┗昆虫、線虫、植物、サンゴ礁、干潟の生物など多様な「共生」の世界

◆新刊◆新刊◆新刊
 『死生学 3 ライフサイクルと死』 武川 正吾、西平 直編 東京大学出版会 (2008/7/10)
 『健康格差と正義 公衆衛生に挑むロールズ哲学』 ノーマン・ダニエルズ、ブルース・ケネディ、イチロー・カワチ著 勁草書房 (2008/7/10)
 『発掘された日本列島 2008』 文化庁編 朝日新聞出版 (2008/7/18)
 ┗考古学ファンにはたまらない最新情報をオールカラーで

 :話題になったネタに便乗して本を出すにしても、出版にこぎつけるまではタイムラグがある。
 :iPS細胞/幹細胞ネタの本が先月〜今月いろいろ出てきているのは、そういうタイムラグの結果なのかな。

◆新刊◆新刊◆新刊◆新刊
 『iPS細胞 世紀の発見が医療を変える』 平凡社新書 八代 嘉美著 平凡社 (2008/7/15)
 『幹細胞の基礎からわかるヒトES細胞』 アン A.キースリング、スコット C.アンダーソン著 メディカルサイエンスインターナショナル (2008/7/1)
 『アジアの試練チベット解放は成るか』 櫻井 よしこ編 文藝春秋 (2008/07)
 『世界平和のために』 ハルキ文庫 ダライ・ラマ14世テンジン・ギャツォ著 角川春樹事務所 (2008/07)

 :今回は都合により2週間分まとめてのご紹介です。

 → さらに医療や科学の新刊こんなにいっぱい・・・



この記事を単独で表示する◆    trackback(0) :comment(0)  

アブダクション(宇宙人誘拐)とバカすキツネの共通点

カテゴリ[科学に佇む2008年] 2008/07/16
 長らく読みたいと思っていた名作が、全然図書館に入荷しないので、しかたなく自分で買って図書館に寄贈したら、不要な書籍だと見做されたらしく登録もなしに廃棄された模様。
 えええええ! こんなに素晴らしい内容の書籍なのに! タイトルや装丁がそんなにうさんくさいですか? もしかしてハヤカワ文庫だというだけでNGですか? それとも主題が前世紀過ぎましたか!?

◆ なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか cover
『なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか』  ハヤカワ文庫NF スーザン・A. クランシー (著) 早川書房 (2006/08) [ Amazon ] [bk1]

原書●宇宙人にさらわれた人々:どんな人がアブダクションに取り憑かれやすいのか
Abducted: How People Come To Believe They Were Kidnapped By Aliens Susan A. Clancy (著) Harvard Univ Pr (2005/10/01)

原書の書評:2005/08 New York Times Explaining Those Vivid Memories of Martian Kidnappers

 「宇宙人/エイリアンがヒトを誘拐し実験する」アブダクション。その被害者(?)達は、なぜその体験を持つに至ったのか。
 なぜ、ヒトは証明不能な事象を信じるのか。
 この本にはヒト心理解読のチップス、それも汎用性の高いヒントが潤沢に詰まっております。

 自分の前世は***だったと信じる人がいる理由。
 水がすべてを知っていると思う人がいる理由。
 通行人を何人か殺せば自分は救われると結論する者がいる理由。
 かつてキツネが人をだますことができていたわけ。
 妖怪、神仏、前世占い、アダルトチルドレン・・・

〓〓〓 EP 〓〓〓

アンカー【UFOを信じる3つの基準】


 昔々の前世紀、日テレやテレ朝でアブダクションやキャトルミューティレーションなど、矢追系UFO番組が花盛りだった頃。
 SF書き仲間が3人寄り集まり、「何があったらUFOの存在を信じるのか」という点について盛り上がったことがあった。

1 ニーベルング系ファンタジー書き=「たしかそうな話を聞いたら」
2 「うる星」系日常SF書き=「自分で体験したら」
3 ハードSF書き(自分)=「研究データがあれば」

 あまりにあからさまでtang、しかもこの差は、各人の「信じる」基準だけでなく、ふだんの趣味にも、言動にも、思考にも、作風にも、人生観にもすべて一貫して見られる差だった。
 この差(個体差/性向の差)は、一生変わらないんだろうなと思えた。

1・知り合いから確かそうな話を聞いたら信じる/報道されていたら信じる
2・自分で体験したら信じる
3・メディアのみならず自分の体験さえも疑う、研究データがあれば信じる

 あなたはどの基準で日々暮らしているだろうか。

●右画
 人によって、「信じる」閾値は大きく違う。
 安易に信じて周りに合わせ流される者もいれば、無粋に疑いの横槍を入れて「真実」のためには場の流れなどどうでもいいのだととんがる者もいる。
 人それぞれの「信じる」閾値のまま人生を送り、それぞれに適職に就き、それぞれに世の中を成り立たせているんだと思う。適材適所。人類全員が科学者である必要は、さらさらないと思うし、一部の者が夢見る「科学知識が普及した世の中」なんてのはヒトとして不自然だとも思う。

 ヒトは、何があったら、その事象の存在を信じるのか。
 今信じていることが、どうして確かだと判断できるのか。

 世の中にある情報のすべてを確認しきることはできない。
 世の中には「体験していない/確認できない」情報が、あまりにもたくさん存在する。世界中の人間から体験や物語が発信されているが、自分は自分の範囲内でしか体験は培えない。
 呼吸している空気に酸素がどれくらい含まれているのか、酸素がない空気で生きていられるかどうか、自分で確かめたことがある人はいったいどのくらいいるのか。確かめていなくても、人は「酸素を吸っている」と信じている。
 日本のインターネットはいったいどのくらい検閲されているのか。確かめていなくても、人は「検閲のない自由なネットを見ている」と信じている。
 腐るほどあふれている情報の中、どれを真実だとみなして受け取るのか。各人、何を基準に「信じて」いるのか。

 ヒトは結局、「たいした証拠がなくても」雰囲気や気分で、物事を信じて生きている。どんな懐疑主義者でも、どっかこっか、気分でいつのまにか信じている部分はごちゃまんとある。

 当該書の著者クランシー博士曰く、
●p.49「実際、わたしたちのほとんどは、たいした証拠がなくても信じることができる。わたしが出会ったアブダクティーがほかの人とちがうのは、_特定の_奇妙なことを信じているという点だけだ。」

〓〓〓 EP 〓〓〓

アンカー【どんな人が宇宙人にさらわれるのか】


●右画
 クランシー博士が見る限り、基本的に、「エイリアンにさらわれた、UFOに連れ込まれて実験された!」という感覚を抱える人は、ごくノーマルな人々であり、頭がオカシイ人々ではないらしい。
 ノーマルではあるけれど、特定の信念に惹かれ、それなりに納得している。それがアブダクティー(さらわれ体験者たち)。

●p.195-196 大意:
>彼らは頭がおかしいわけではないけれど、社会の主流を占める常識からは自由な考え方や信じ込みをする傾向がある。超能力や占い、チャネリングや代替医療などに親和的であることが多い。


 上で挙げた3タイプからすれば、
 1ニーベルング系ファンタジー/知り合いから確かそうな話を聞いたら信じる/報道されていたら信じる
あたりに多そうな気がする。
 でもね。実際問題、「3」の懐疑派データ主義を自認していた自分でさえ、「自分は宇宙人にさらわれたことがあるのではないか」と考えたことがあったわけで。
 こらこら、懐疑派がアブダクションを信じてどうすんねや!
 ん? 懐疑派がアブダクションを受け入れ信じる? もしかして、そうすると、アブダクション信仰には、高学歴の物理学徒や化学学徒がオウム真理教に走ったのと同じ機序が働いているのか!? そんな直感が沸いてくる。

●p.204-207 大意:
アブダクティーたちは、さらわれ体験にたどりつく前に、悩みの原因を理解しようとして、本や映画や研究者や催眠術師を探していた −− なぜ眠れないのか? なぜのけ者にされているように感じるのか? なぜ体に奇妙な痕があるのか? なぜ・・・・・・・


 信じやすさには、ふだんのその人の「懐疑レベル」とはまた違う要素が大きく作用している。
 まずは「悩みありき」であるらしい。
 ヒトは、不安な感情に見舞われると、その原因探しをせずにはいられなくなるようにできている。「なぜなのか」うろうろうろうろ。原因が見つかれば、その不安な感情が解消される。不安はヒトを原因探しに駆り立てる。

... 以下つづき...
この記事を単独で表示する◆    trackback(0) :comment(0)  

サルでも出せる「はじめての行動経済学」日本語版

カテゴリ[科学に佇む2008年] 2008/07/12
◆左表紙

『経済は感情で動く はじめての行動経済学』
 マッテオ・モッテルリーニ著
 紀伊國屋書店 (2008/4/17) 原書2006年
>最新の行動経済学と神経経済学のエッセンスをクイズ形式で説く
 [ Amazon ] [bk1]


 たぶん元は良い本だったのだろうけれど、はるばる日本にやってきて日本語の本になるときに、何やら納豆臭い混ぜものがされてしまった微妙な香りの一冊。

 イタリアの先生が、バツグンの講釈センスと構成で、いかにヒトの判断と論理性がぐだぐだで、偏ったまんま日々の判断を下していて、どんな損をしがちなのか、消費者は何を選びがちなのか、神経経済学などかなり近々の知見まで含めて楽しく読ませてくれる。
 次々と読者に選択を迫るのもいいね。「AとB、あなたならどちらを選びますか? たいがいの人はAを選びますが、実はBのほうが…」と「意外な事実」を重ねまくる。
 適宜、カギになる概念についても別項で解説をはさんでくれる。ヒューリスティクス、フレーミング効果、プロスペクト理論、ピーク・エンドの法則。いやあ、わかりやすいよ。
 ヒトの心理はこんなにナニカに縛られているんですねーと。
 ヒトという哀れな生物が生きていく上で抱えている妥協点ここにご開帳というか、うぬぼれた衆生のスネをコシコシ「おまえちゃうんちゃう」とイヤミに小突いて教える側のポジションを著者が満喫しているというか。

 で、モノは良い本だと思う。サラリーマンなど経済と心理について「学んでおかなきゃ」と感じているような層には(行動経済学や神経経済学に詳しくない層には)オススメだ。明日の選択にプラスになる即戦力の知恵を掴み取ってくれ。

 それはそれとして、自分的には・・・、そういうマーケティング的な本筋とは別の線で、この本に、かすかな疑問や大きな落胆を感じたんだが。

1● 日本側の編集者がオカシイ
2● ハンパになっている設問例
3● フィニアス・ゲージの誤謬

... 以下つづき...
この記事を単独で表示する◆    trackback(0) :comment(0)  

オランウータンの文化、絶滅はいつ?

カテゴリ[科学に佇む2008年] 2008/07/08
オランウータンたちが危ない!
あと10年で絶滅してしまうかもしれない!
オランウータン激減中 あと10年で絶滅してしまうかもしれない
2001/02 EurekAlert  Organgutan numbers plummeting worldwide; species may vanish in ten years, study says
2001/02 毎日新聞「オランウータン、10年以内に絶滅の恐れ 不法伐採や密猟が横行 米団体が警告」

 ・・・と騒いでいたのが7年前の2001年。
 2003年には「絶滅まであと20年だ!」という説も流れた。
2003/10 cnn.co.jp オランウータン、20年以内に絶滅の恐れ
2003/10 共同通信 オランウータン20年で絶滅 違法伐採で米学者ら警告
オランウータンの絶滅まであと20年
2004/01 BBC News Orang-utans 'may die out by 2025'

 あれ? じゃあ、絶滅するのはいつなの?

 そうやって、危機感を煽って注目を集めて、だんだん保護が手厚くなっていき、危ない期日がやがて順々に伸びていき・・・、いつしか「もう絶滅の危機は去ったね」となればいいのだけれど、中には絶滅予定日が延びていくことに対して「科学者はいいかげんだ」と罵る者もいたりする。

●旭山動物園のオランウータン

 オランウータンはマジ危ない状態に置かれている。一族がこの世から抹殺されてしまいそうなんだ。
 それを救えるなら、科学者の予測がはずれてくれるなら、それは喜ぶべきことであるはずだね。

遺伝子プールに刻まれた悲劇
 ヒトによる森林破壊と同時に発生したオランウータンの激減
2006/01 BBC News Genes record orangutans' decline
2006/01 EurekAlert Genetic evidence shows colonialists pushed orang-utans to brink of extinction

栄養に恵まれないオランウータン、脳が縮む フロレス原人みたいだね
2007/01 Journal of Human Evolution Volume 52, Issue 1
doi:10.1016/j.jhevol.2006.07.010 Variation in brain size and ecology in Pongo

2007/02 BBC News Orangutans 'face greater threat'
オランウータン、違法伐採で『より大きい脅威に直面』
 懸念されたよりはるかに急速な東南アジアの森林破壊
2007/02 Discovery Orangutans Threatened by Corporate Logging
企業の伐採によって危機にさらされているオランウータン

2008/07 cnn.co.jp オランウータン生息数が激減、緊急対策なければ絶滅もと
2008/07 EurekAlert Great Ape Trust's Wich lead author of Oryx paper on continuing orangutan population declines


... 以下つづき...
この記事を単独で表示する◆    trackback(0) :comment(5)  

サピア=ウォーフ仮説再考・2008

カテゴリ[科学に佇む2008年] 2008/07/08
 学習した言葉や、単語や、概念が、ヒトの思考を縛りますか?

 ソレを指す語や概念の習得があってはじめて、ソレを思考できるのではないか、というお説が『サピア=ウォーフ仮説』。(サピアーウォーフモデル, Sapir-Whorf model; Whorf,1956/1993)
 エドワード・サピアさんとベンジャミン・リー・ウォーフさんによる仮説ですね。
 「人間は、使う言語によって現実を認識する方法が違ってくる」

◆左表紙

 『朝倉心理学講座 10 感情心理学』 鈴木直人・編 朝倉書店 (2007/09)

大坊郁夫「感情と文化顔コミュニケーションの様相」

●サピアーウォーフの仮説:これは,アメリカの言語学者サピアとその弟子ウォーフが唱えた説である(互いが共同して主張したものではなく,両者が同じ主旨の主張をしていることから,両者の名を冠した名称で現在も呼ばれている).
 当該の文化において日常的に使用される言語が人の認知や思考に影響を与えるという見解である.言語がもつ意味と個人内の習慣的思考,そして文化のパターンが結びついているとの主張であり,言語相対性仮説の一つといえる.


●本 「シリーズ心理学の 中の論争1:認知心理学における論争」 丸野俊一編著 ナカニシヤ出版 1998/04
p.262
 「サピア-ウォーフの仮説」は,当然研究者からのさまざまな議論や批判をひき起こした。しかし「サピア-ウォーフの仮説」の証明は,認識に関する普遍性の否定ではない。一方,認識の文化的固有性も「サピア-ウォーフの仮説」の否定によって証明する前に,私たちが日常生活において実感することであるように思う。


cover
「文化と心理学:比較文化心理学入門」

 D.マツモト著 北大路書房 2001/06
 (2000/Culture and Psychology)
p.174
 言語相関性ともよばれるサピア・ウォーフ仮説(Sapir-WhorfHypothesis)は,「異なる言語を話す者は,その言語の相違ゆえに,異なったように思考する」と示唆している。
 [〜中略〜] 
 もしサピア・ウォーフ仮説が正しいとすれば,言語の性質,構造,機能のゆえに,異なる文化の人々は異なったように思考するのだ,と提示できるわけである。たとえわれわれが同じ出来事を知覚したとしても,思考プロセス,連想,世界に対する解釈の仕方は,話す言語が異なるがゆえに,異なったものとなるかもしれない。そして,この言語というものが,思考プロセスを形成するのに役立つのである。また,この仮説によれば,2つもしくはそれ以上の言語を話す人が異なる言語を話している際に,異なる思考様式を取り入れているのかもしれない,と考えることができる。



 自分が生まれた地方にある言語だけでは、ヨソの地方の言語にある概念がうまく把握も表現もできないことがある。既存の言語ではうまく表現できない事象もある。
 新しい事態や珍しい状態は、「表現しようもない」「言葉にできない」「言い尽くせない」よね。言葉というものは、「すでに特定の範囲の複数の人間が共有できている概念」が、この世に通用し、保持されているものだから。そんなしばりのある言葉の世界。
 でも、どこまで言語はヒトの思考を縛ってしまうんだろう?

〓〓〓 EP 〓〓〓

アンカー【言語は概念を縛りますか?】


 タガログ語を知らないと、ロシア語を知らないと、思考できない概念はありますか。異国の人々には把握できない概念を、日本語は生みますか。
 言葉が違うと思考そのものも違ってしまうだろうか。例えば、主語が後ろにある構文の言語では思考の筋道が違ってくるんだよ、とか、主語を省略できる言語では自己主張よりはKYに重きが置かれるよ、とか。

バベルの子ら 〜David Gil
 予想以上に言語は異なっているかもしれない
 言語は人の思考経路を左右するのか
2004/01  Economist.com Babel's children
インドネシアには名詞や動詞がない言語で暮らしている部族がいるぞ


... 以下つづき...
この記事を単独で表示する◆    trackback(0) :comment(0)  

今日の科学メモ:非モテは礼拝に行こう

カテゴリ[科学に佇む2008年] 2008/06/30
自分の作品をネットでひけらかしたがるのは女より男
●NEWS2008/06 EurekAlert Men share their creative work online more than women
 製作にたずさわる度合いには性差はないのにね

「■」

●右画
セックス太り?
●NEWS2008/06 New Scientist Does sex make you fat?
 オーガズムで増加するプロラクチンが脂肪を溜め込ませる説

「■」

礼拝に行く目的は、良き伴侶のゲットです
●NEWS2008/06 New Scientist Church provides hope of faithful spouses
 教会は、誠実な配偶者の希望を提供する
 性的な要素は、教会通いへの最も強いリンクを示した。

「■」

日本は貧困国の漁業をダメにする
●NEWS2008/06 BBC News Japan blamed on Africa fish fall
アフリカの魚激減問題で非難される日本
 日本が「漁獲の減少はクジラのせいだ」などというから、貧困国たちが漁獲減少の真の原因に取り組むのをさぼってしまうじゃないか というツッコミ

関連ブログ 【日本語ブログ】 「漁獲減少の犯人はクジラ」?

... 以下つづき...
この記事を単独で表示する◆    trackback(0) :comment(0)  

良い科学者、悪い科学者:摩周湖車両規制のウソ?

カテゴリ[科学に佇む2008年] 2008/06/30
●北海道大学サステナビリティ・ウィーク2008

 ふらっとまた、北大に見物に行って来ました。
 サステナビリティ・ウィークだそうです。・・・持続可能週間? 洞爺湖サミット便乗祭?
 今回の出し物はこれだった。

●北海道大学サステナビリティ・ウィーク2008

 へえぇぇ。
 リンク 秋元信一氏の北海道産バッタの生殖隔離検証 は結果がきれいで面白かった。
 パラタクソノミスト養成の企画は去年ひととおり紹介もしたんだが、実際はこんなにコストパフォーマンスの悪さ全開だったのかよびっくり、とか。
 細かいところでは、管轄外の「進化」について生物学者の前で一席ぶってしまう野放図な***氏、自分野のことを健全な興味の対象であり21世紀のフロンティアなのですと一人ファンタジー放談する***氏など、ビミョーな香りも楽しめた。

 なく子も黙る天下のCEOを獲得したぞ。特定のお題目の元に巨額の予算がついたんだ。誰が使う。どう使う。研究費を求めて、そのお題目に少しでも関係があるならあわよくば。最寄りの研究者はあわてて研究計画を掲げて馳せ参じ、予算を分けてもらってみんなそれぞれ少し景気良さげに研究をすることができました。
 とてもゆるい枠のお題だったので、とても幅の広い研究者が名前を連ねました。お互い、研究ができさえすればほかはどうでも万々歳、てなところが本音なので、同じCEO内でも隣の研究者が何をやっているのか、しかとは存じないままでございます。

 ・・・なんかそんな、統一感(もしくは方向性)を欠いた雑多な印象を受ける講演会(というか各自好き勝手な方向を向いたままの研究アピール大会)だった。

北海道大学●サステナビリティ・ウィーク2008

   ※【ここに画像が表示されない場合は】

 さて、その中でも今回主役に取り上げるのは、弟子屈町のツラに泥を塗りたくるお話をなされた角皆准教授とそのご発表内容。
リンク Tsunogai, Urumu 角皆 潤 つのがい・うるむ
北海道大学大学院 理学研究院 自然史科学部門 地球惑星システム科学分野・准教授

彼の父さんは、地球環境科学の名誉教授・角皆静男氏。 2代目さんだね。
●本 角皆 静男 (著)『化学が解く海の謎 赤潮・マリンスノー・マンガン団塊など』  (共立科学ブックス)   共立出版 1985年

 つのがい・うるむ准教授 40才。
 さて。 彼の話を簡単に記すならば、以下のとおり。

・摩周湖(ましゅうこ)周辺のマイカー(自家用車、レンタカー)立ち入り規制が行われる。
・弟子屈(てしかが)町は、自然保護のためだと称して、科学的に間違った理由を掲げて車の乗り入れを禁止した。
・弟子屈町は、金儲けのためにエコにかこつけた偽装をやっている!

 ohyo

〓〓〓 EP 〓〓〓

アンカー【弟子屈町はウソツキか?】


 詳しく記すならば、彼の話は下記のようなものだった。

●摩周湖車両規制の間違い
 弟子屈町が、期間限定で摩周湖周辺の道路に車が乗り入れることを規制する。
 水の透明度の高さを誇る観光資源の摩周湖が、排気ガスのNOxによって濁ってしまうから、マイカー規制を実施するのだと説明されている。

 地球惑星システム科学の角皆潤殿はここに噛みついた。
 観光客の車による排気ガスが摩周湖の水を濁らせるという話はいったいどこから出てきたんだ!?
 排気ガスが湖水を濁らせる成分になるには、いったん上空へ上がって3日くらいたたないと無理なはずだ。
 弟子屈町が示した条件下では、排気ガスは風で飛ばされてしまい、湖水を濁らせる成分になって降りてくるのはもう、はるかかなたの太平洋上でのできごとになっていたはずだ。さっさと風に運ばれてしまったガスが、地元の摩周湖を濁らせるとは思えない。

 こんな間違ったデータで車両規制をしてしまうのはおかしくないか。
 おもむろに、彼は『2006年12月の弟子屈広報』の、このような文面を紹介する。
 「本町の観光を再構築し、現在の通過型観光から長時間本町に留まって頂く、滞在型観光を目指すことが重要である」

●摩周湖車両規制の地図

 さらに彼は手がかりを並べ立てる。
 摩周湖には展望台が3箇所ある。そのうち、マイカー規制をするのは弟子屈側の2箇所だけ。残る「裏摩周展望台」は車入りほうだい。
 車両規制をする弟子屈側にしても、そばのゴルフ場は車両出入り自由。
 観光客のマイカーは規制するが、タクシーや観光バスは、出入り自由。

●摩周湖車両規制の真実

車両規制を企図したのは、「環境保全」担当の部署ではなく「企画財政課」。

財政課?

この車両規制を決定した委員会のメンバーには、科学者がいない。
商工会議所が中心になっている。

 目的は、金だ。

あからさまじゃないか。


... 以下つづき...
この記事を単独で表示する◆    trackback(0) :comment(0)  
特定のカテゴリーのみ表示するモード:  || to BLOG TOP || 次のページがあります

★START-POINT

筆者:雨崎良未
RSSフィード
→ ブログ新着通知の見方

→ 併設ブログ 楽屋【Dorm B】
→ 併設ブログ 旧【科学ブログ】

進化心理学 併設サイト
【巨大記事庫】
→ 記事庫の新着・更新情報

→ 最近の主なコメント
→ 過去のトラバ類
→ 科学なポッドキャスト
→ リンク集

アクセスの多いページ

  1. [科学に佇む心と身体]
  2. 再生医療、ES細胞、幹細胞
  3. 遺伝病/遺伝子治療/DNA鑑定
  4. 性犯罪研究
  5. 脳や心の男女差の科学
  6. 五感 視覚、触覚、味覚、嗅覚、聴覚 音楽、芸術
  7. ADHD、注意欠陥障害
  8. うつ、躁鬱病、自殺の科学
  9. 無料で翻訳 便利サイト
  10. 心の理論/志向意識
  11. 自閉症/アスペルガー症候群
  12. ヒトの祖先/人類進化の科学
  → 歴代一覧

etc.

科学学問

なかのひと

フィードメーター View blog reactions @ technorati


スカウター : [ EP:  end-point 科学に佇む心と身体Pt.2]